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コロナ禍でのニーズにすぐ対応、インターネット限定商品、注目各社の取り組み方は?

2020年12月 3日 07:30

 コロナ禍で高まるネット販売のニーズに対応すべく各社ともEC展開を強化している中、目立ち始めている取り組みの1つがインターネット限定商品だ。販路をネットに特化させることで他の販路展開に左右されることなく、コロナ禍で必要とされる商品をスムーズに展開できる利点などもあるようだ。注目すべき各社のネット限定商品の特徴などをみていく。


 


メーカーとステイホーム快適にする商品開発

アスクルの「ロハコ」

 「日本の建物や家具の規格に合うティッシュを」。アスクルは11月6日から、運営する日用品通販サイト「ロハコ」で寝室や洗面所、台所、冷蔵庫の中など家の様々な場所で邪魔にならずに置くことができる形状の異なるティッシュボックスがセットになった「nepia fitLDK(ネピアフィットエルディーケー)」の販売を開始した。

 アスクルは大手メーカーを対象に運営する日用品の通販サイト「ロハコ」で収集した各種データをもとにマーケティング戦略や商品開発などの研究ができる「LOHACO ECマーケティングラボ」を運営し、生活空間で浮かない暮らしになじむ商品を参加メーカーと開発中。そうしたコンセプトをもとに開発した商品を「ロハコ」限定または先行販売しており、同商品も一環として王子ネピアと共同で開発したもの。

 同商品はティッシュボックスの形状を日本の建物や家具の規格になるべくぴったり合わせるように開発した。小さめの長方形や三角形など5種類の形状の11個のティッシュボックスが特徴的な外装の中にパズルのように入れられたもの。

 小さいティッシュは洗面所や化粧台の隙間に、長方形のティッシュはテーブルやキャビネットの上に、三角形のティッシュは書斎や子供部屋の机の角、薄型のティッシュはマガジンラックやテーブルの引き出しに邪魔にならず設置できる。コロナ禍で自宅で過ごすことが多い今、生活の質を高め、快適に暮らせるよう工夫したという。

 各ボックスとも日本の建材に多く使用されている木材を再現したデザインとし、生活空間になじむように配慮した。同商品は「ロハコ」限定で税込1280円で販売している。「届いた際のプレゼント感がすごくわくわくしました。(中略)もったいなくて逆に使えません」という購入者のレビューもあり発売後の反響も上々のよう。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンと共同開発し、9月末から販売を開始した「バンドエイドオリジナルストッカー(マグネット付)セット」(税込1380円)もユニークだ。コロナの影響で親子で、また父親が料理をする機会が増えたことで、調理中に指を切るなどのけがもまた増える中で、救急箱やハンドエイドの収納場所はなかなか見つからず、大変だった、という同メーカーの社員の声を受けて開発したというもの。マグネット付きの専用ケースにバンドエイドを入れ、例えば冷蔵庫などに貼っておくことですぐに使用できるというわけだ。

 「ロハコ」ではこれら商品を含めて大手メーカー23社と開発した暮らしになじむデザインや機能性を持った30商品を特設コーナー「暮らしになじむLOHACO展.com」で紹介、販売している。




初のECブランド、在宅向け

青山商事

 紳士服の販売を手がけている青山商事では10月21日、新型コロナウイルスによるEC需要の高まりを受けて、通販サイトの刷新を実施。それに伴い、同社初となるネット限定ブランド「ブルーパッケージ」を立ち上げている。

 実店舗の販売商品とは異なるD2Cモデルの商品カテゴリーとなっており、ウィズコロナも考慮して「テレワーク」向けも意識した品ぞろえで展開している。

 第1弾となる今秋冬向けではジャケット、パンツ、ブルゾン、ボタンダウンシャツ、ニットソー2種類の合計6種類を販売。ジャケット(税別価格1万3000円)、パンツ(同8900円)、ブルゾン(同9900円)はジャージー素材で動きやすく快適な着心地で訴求。摩擦に強い素材を使用している。シャツ・ニットソー(同7900円)は、コーディネートしやすいベーシックなデザインを心がけた。また、すべての商品が自宅での洗濯が可能で、ジャージー素材の着心地と合わせて、”ビジカジ”の仕事着としても提案していく。

 制作の段階からECだけでの限定販売という前提でモノづくりが始まっていたため、商品企画では従来とは少し異なる部分もある。その一つがサイズ表記で、通常、ジャケット類は「AB体(がっちり型)」、「BE体(ゆったり型)」などと合わせて「号数」別など細かいサイズ分けとなる場合が多いが、同商品についてはS、M、Lのシンプルなサイズ分けにしており、店頭で試着をせずともネット上でサイズを迷わず買えるように配慮している。

 そのほか、サイト内では上下合わせたコーディネート画像を例示するなど、組み合わせた1セットでまとめて購入できるような提案も行っている。

 立ち上がり1カ月の販売状況としては、予想通りの好調な滑り出しとなっているようだ。今後は春夏向けでの展開も視野に入れている。


旅行用マスクを共同開発

テレコムスクエア

 モバイル通信機器のレンタルサービスなどを手がけるテレコムスクエアは11月24日、縫製メーカーの和興と共同開発した、抗菌力と調湿性に優れた国産の旅行用マスク「和紙×旅(わしたび)マスク」をクラウドファンディングサイト「マクアケ」で先行予約販売を開始した。

 テレコムスクエアは、旅行者に向けてWi―Fiルーターのレンタル業やSIMカードの販売などを行っているが、サービス提供の原点として、ビジネス渡航や観光旅行がより充実したものとなるように安心や便利、楽しさを軸としたソリューションを提供してきたという。

 そこで、ウィズコロナ時代にも安心して旅行を楽しむには何が必要かを考え、旅行者の不安を軽減できるものとして、似たコンセプトの商品が少ない”旅行用マスク”の開発に着手。6月に広報の3人でプロジェクトチーム立ち上げた。

 同社では、抗菌性と調湿性があり、一日中肌に触れていても安心な素材で、化学薬品を使用せず環境負荷も少ない和紙に着目。さまざまな和紙素材のマスクを調査した結果、和紙100%の天竺ニット「和紙のふく」を手がける縫製アパレルメーカーの和興に協力を仰ぎ、国産の和紙マスクを共同開発することになった。

 両社によると、和紙をマスクの素材として採用するメリットは多く、多孔質なマニラ麻を原料とする「わしたびマスク」は和紙本来の力だけで抗菌効果があるため、洗濯後に他素材との違いが鮮明となり、例えば10回洗濯後の綿と比較して約8倍の効果があるほか、消臭効果についても、アンモニアに対して綿の2・2倍の効果が確認された。

 また、旅行用マスクとして飛行機内の快適さも重視した。機内の湿度は10~20%と乾燥しており、喉の痛みや目の乾きなどを感じる人が多いが、和紙には湿度を調整する働きがあるため、乾燥した環境下では水分を逃さず保湿し、湿度が高い場所では余分な汗や水分を吸水・速乾させてドライな状態を保つという。

 加えて、飛行機のフライトは長時間に及ぶことがあるため、絶えずマスクを着用していると耳や頭が痛くなることも想定されるが、「わしたびマスク」の紐部分はTシャツの襟リブや袖口に使われる横編みのゴムを採用。締めつけ過ぎず、伸び過ぎず、それぞれの顔の形状にフィットして着用時の耳の負担を軽減するという。

 売り場としてクラウドファンディングサイトを選んだのは、「旅行時の”安心”に対する取り組みに力を注いでいる企業ということを知ってもらいたい」(田村正泰取締役)からで、とくに「マクアケ」でマスク商品への関心が高いことから当該サイトでのプロジェクト開始を決めた。

 「マクアケ」での販売期間は12月20日までの予定で、通常価格は3190円(税込、送料込)だが、当該サイトでは5%の早割となる3031円でサポーターを募る。その後は和興の自社通販サイトを通じた販売を予定している。

 「わしたびマスク」のカラーはどんな場面にも合わせやすいホワイトとネイビーの2色展開で、紐部分のみ本体と別カラーが楽しめるバイカラータイプもそれぞれ用意して全4種類で展開する。サイズはMとLの2サイズとなる。

 また、「マクアケ」での目標金額は20万円に設定しているが、大幅にクリアして注目を集めたい考え。

 テレコムスクエアは今回の縫製メーカーとの共同開発を布石にさまざまな企業と協業し、旅の安心、便利につながる商品・サービスの提供を強化していく。

 
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