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国土交通省 提言の骨子案討議、次期物流大綱の施策策定に向け

2020年11月19日 07:30

 国土交通省は11月4日、「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」の第5回会合を開催した。2017年度からの現行総合物流施策大綱は20年度が最終年度となるため、次期の総合物流施策大綱施策策定に向けた提言の骨子案について討議。人口減少・少子高齢化による労働力不足、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会・経済環境の変化、AI・IoTなど先端技術の進化など様々な変化が発生している中で、物流に関する課題へ対応する施策の策定を進めていくため、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)と物流標準化の推進、労働力不足対策と物流構造改革、強靭で持続可能な物流ネットワークの構築といった3本を柱に提言していくことにした。

 第5回の検討会では最初に、これまで関連企業・団体などのプレゼンテーションやヒアリングした意見をまとめ、披露した。それによると、EC市場拡大による多頻度・多品種・小ロット化や物流のデジタル化の遅れなど時代の潮流・社会の変化に関する意見や、新型コロナウイルス感染症による新常態における働き方改革の必要性があるといった意見があった。

 また今後の物流のあり方に関しては、DXの進展を見据えて省人化・標準化を通じた物流の装置産業化・投資産業化を進める必要性を訴える意見が寄せられた。SDG'sという国際目標の達成も設定することが重要との意見も見られたほか、災害大国としての災害時の輸送対応の拡充を求めるといった内容もあった。

 意見の披露に続き、施策策定に向けてまとめた提言の骨子案を報告。現行の大綱に新たな社会等の変化に伴い、EC市場の一層の拡大、コロナ対策のための新たな生活様式、物流の社会的価値の再認識といった要素が加わっていることから物流が直面する課題は先鋭化・鮮明化していると捉えた。そこで、「物流DXと物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素でなめらかな物流)」「労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流)」「強靭で持続可能な物流ネットワークの構築(強くてしなやかな物流)」を骨子案として提示した。

 骨子案に対して検討会の委員からは、物流DXと物流標準化について「標準化は莫大な作業と時間を要するものであり、また(まとめ役を)担う機関の設置などが必要では」「物流DXでは、協業や共有できるものは全体最適化につながるのだろうが、難しい課題。標準化もどういった手順で、どこから始めるかについてノウハウ的なことをどれだけ盛り込めるか」といった意見があった。一方で「(国内では)デジタル化が遅れていると認識されているが、従来の業務に関するスキルが高いため、システム化しなくても対応できているという背景がある。グローバルな観点から見てもスキルフルな人材が多く、またセンタ技術を使いこなす力がある」との意見も寄せられた。労働力不足対策や強靭で持続可能な物流ネットワークに対する意見も活発に出された。

 今回の検討会での意見を反映した提言案を策定し、12月4日の第6回会合で議論するという。また年内に最終の検討会で提言を決定する方針。

 
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