定期購入の規制強化<消費者庁、特商法を改正へ> 誤認表示厳罰化も影響限定的か
2020年 8月 6日 10:31
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7月28日に行われた「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」で骨子案が示された。
「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」は、2016年の法改正に合わせ、ガイドラインを整備。以降、執行を強化している。ただ、以降も定期購入トラブルは高水準で推移。定期購入の相談件数は昨年、約4万4000件と前年から倍増した。
骨子案では、「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」を、法改正により独立した禁止行為として規定する。現在、通販関連で直罰規定があるのは、「誇大広告の禁止」(第12条、100万円以下の罰金)だけだが、同行為も新たに罰則(罰金、懲役等)を設ける。ガイドラインの見直しも行い、表示ルールの解釈も明確にする。
民間委託で違反のおそれのあるサイト検索を行うモニタリング事業による監視も強化。今年度は、これ以外のモニタリングを含め8000万円ほど予算計上するが、次年度以降、予算要求を増やし、法執行を強化する。
「いつでも解約」などと表示しつつ、実質的に解約を不当に妨害する行為も禁止する。定期購入トラブルでは、こうした表示を行いつつ、電話による解約手続きに限定したり、電話受付を実質的に拒否することで解約を妨害する行為がある。法改正でこうした行為について新たに条文を設け、行政処分の対象にする。
電話勧誘販売では、同様の規定がある。
消費者庁は今年1月、定期購入トラブルをめぐりRarahira(ララヒラ)に対し、6カ月の業務停止命令と指示処分を下した。同社は、健康食品等の通販を行うが、「電話勧誘行為」で処分されている。「いつでも解約できる」と勧誘しつつ、電話がつながりにくい状況を放置して解約を困難にしていたとして、処分された。通販にも同様の規定を設ける。
このほか、「解約権」など民事ルールも検討する。対象範囲は、定期購入契約の表示に限定し、通販全体を対象にはしない考え。違反表示で誤認した消費者が事業者を対象にした民事訴訟や交渉でトラブル解決を図りやすくする。
定期購入規制に複数の通販企業は、「影響はない」とする。聞き取りを行った企業の多くは、受注と解約の窓口が同じ。「一時的につながりにくくなる状況はあるが、応答率は99%を目指している」、「解約は電話、ファックス、ウェブでも即座に受け付けている」としている。
定期契約の要件に関する表示も「新規獲得しづらい面はあるが、弁護士2人がチェックするなど厳しいぐらいの体制を敷いている」。”定期縛り”をめぐる一連の規制強化を受け、「今後、定期縛りは止める方向にある」と話す企業もいる。
消費者庁も今回の法改正に「真っ当な事業者に影響はでないようする」(取引対策課)としており、影響は悪質業者の排除に向けた限定的なものにとどまりそうだ。