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楽天市場の「送料無料ライン」 自主導入、引き続き促す、施策のメリットを説明

2020年 7月30日 07:30

 楽天は7月22日、オンラインでメディア向けに、仮想モール「楽天市場」の戦略説明会を開催した。同社の野原彰人執行役員は、3月18日に導入された送料無料となる購入額を税込み3980円で統一する施策「送料無料ライン」に関して「現段階では全店舗への一律導入は考えていない」とした上で「大手も含めて、参加していなかった店舗にも段階的に導入してもらっている。メリットをしっかりと伝え、施策に対するユーザーのポジティブな声をフィードバックすることで参加を促したい」と述べた。

 同社では、新型コロナウイルス感染拡大の影響などを鑑み、施策の全店舗への一律導入を見送っていた。同施策の適用対象外にできる特別措置の期限を決めていないものの、5月頃に改めて今後の方針を通知するとしていた。5月21日に配信した店舗向けのサポートニュースでは、同施策がユーザーから支持されており、導入店舗の売り上げが伸びていることを説明しているという。

 現在、同施策を導入しているのは全店舗のうち約80%。野原執行役員は「当社が強引に導入を進めなくても、時間とともに導入の方向へ進むのではないか。経済合理的にも、ユーザーが認めるものが最終的には残るはずだ。1店舗1店舗にていねいに説明していくことで、メリットは確実に伝わるのではないか」とし、現段階では「社内でも強制的に導入する議論はしていない」と強調した。同施策に関しては、公正取引委員会が独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで調査を進めているが「(導入を強制することで)わざわざ波風を立てる必要はない。われわれの敵は役所ではなく、GAFAのような競合だ」とした。

 同社では、セール時に同施策への参加店舗から商品を購入すると、通常よりポイントがアップするキャンペーンを実施している。野原執行役員は「ユーザーから受け入れられる施策は今後も強化していきたい」とし、こうした優遇施策などを通じ、未参加店舗の移行を促したい考えだ。また、新規出店希望者に関しては、同施策を公表した昨年8月以降、施策の導入が出店の条件となっている。

 同施策をめぐっては7月20日から、公取委が出店者を対象としたウェブアンケートを実施している。野原執行役員は「報道でアンケートがあったことは知っている。大規模なアンケートをウェブを使って実施するのは良いことだが、(入力画面に他社が入力した内容が表示されるという)トラブルがあったと聞いており、こうしたリスクには当社としても襟を正さなければいけないと改めて感じた。アンケートそのものについては、公取委が出店者の現状を把握したいと思うのは当然だろうし、その手段としてウェブアンケートを行うというのは、通常調査の一環ではないか」とコメントした。

 
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