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景表法19年度速報 国の措置命令40件、「通販」が半数、「痩身効果」2割

2020年 5月14日 11:49

  2019年度の国の景品表示法に基づく措置命令件数は、36社に対する40件だった。通販関連は、17社で半数を占めた。消費者庁の創設以降、過去最高の執行件数は17年度の50件。以降、減少傾向にあるが、例年、40件を越える高水準で推移する。

 地方を含む措置命令件数は55件。内訳は、「優良誤認」による処分が40社、「有利誤認」による処分が12社だった。課徴金命令は、17社で総額4億6559万円。昨年3月、酵素配合の健康食品で処分されたジェイフロンティアを対象に、通販、食品分野では過去最高額となる約2億5000万円の課徴金納付命令が下された。

 「痩身効果」を対象にした処分は、12社で2割を占めた。HMBを配合した健食で筋肉増強効果と痩身効果をうたったエムアンドエムに対する処分のほか、EMS機器を販売する通販4社に対する一斉処分、「貼るだけで痩せる」などと表示し、ダイエットパッチを販売した3社に対する一斉処分が行われた。

 健康食品を中心とする食品関連は、18社に上った(通販以外を含む、うち健食は8社)。痩身効果以外の監視も厳しくなっている。

 ECホールディングス(昨年6月)と、あすなろわかさ(今年3月)は、「黒髪にする効果」、イマジン・グローバル・ケア(昨年11月)は、「疾病の治療・予防効果」、ふるさと和漢堂(今年3月)は、「体重の増量効果」で措置命令を受けた。ゼネラルリンク(同)が販売する「妊活サプリ」に対する措置命令は、過去に例がない処分とみられる。

 景表法による監視強化が進む中、企業側が不服を申し立てるケースも増えている。

 明らかになっているものでは、2017年から18年かけて、優良誤認で処分を受けただいにち堂、有利誤認で処分を受けたアマゾンジャパンが処分取り消しを求め提訴している。アマゾンは昨年11月、だいにち堂は今年3月に東京地裁が請求を棄却。ただ、いずれも控訴している。

 昨年6月には有利誤認で処分されたライフサポートが大阪地裁に提訴。光触媒技術を使ったマスクの表示で処分を受けた大正製薬が審査請求を行ったことが明らかになった。

 自治体による措置命令も活発化している。自治体への命令権限の委譲は14年末。当初は低調だったが、17年度に8件、18年度9件とノウハウの習熟とともに増えている。

 今年度は15社に対する15件。大阪の6件(前年は6件)、埼玉の4件(同0件)、東京と2件(同2件)、茨城、岡山、鹿児島の各1件(同0件)と続く。

 大きく件数を伸ばしたのが埼玉。定期購入契約トラブルに対する強い問題意識を持っているとみられる。昨年9月には、育毛剤通販を行うRAVIPA(=ラヴィパ)が行っていた「いつでも解約」等の表示を有利誤認で処分。併せて優良誤認も認定した。今年3月には、健食通販のニコリオに対しても景表法の優良誤認と有利誤認に加え、特定商取引法による処分を行った。 
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