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日本トイザらス 店頭との在庫連携拡大、対象店舗も2月から全国で

2020年 4月 9日 13:20

 玩具やベビー用品などを販売する日本トイザらスでは、実店舗との連携強化をはじめネット限定商品の展開などを進めており、EC事業成長への効果が徐々に表れている。

 昨年度は10月からの消費増税が影響。11月~12月のクリスマス時期に需要が重なるビジネスでもあることが響いた。また、毎年、安定的な売り上げを作るキャラクター関連商品について、昨年度は数年ぶりに大ヒット商品が生まれなかったという背景もあり、玩具業界全体で低調だったという。「オンラインでのトラフィックは前年比で増加することができ、いくつかのKPIも達成できたが、全体の成果としては厳しいイメージだった」(同社)としている。

 チャネル別で見ると、スマホ比率が伸長するトレンドが続いており、サイトの作りこみに関してもモバイルでの見せ方でのテコ入れが進んだ。昨年初頭に導入した24時間以内に商品を閲覧した人数を表示する「ソーシャルプルーフ機能」については、閲覧人数が商品の注目度を示す目安にもなっており、購入率の向上に寄与。また、ポップアップで関連商品をレコメンドする機能も入れており、パーソナライズ対応は着実に進行している。

 また、実店舗とECのシームレス展開において、通販の物流センターに在庫がない商品について、実店舗の在庫から顧客に出荷する「シップ・フロム・ストア」では、昨年度に対象アイテムを大きく拡大した。それぞれの在庫状況を見ながら、注文のあった顧客に近い実店舗に発送依頼を行うというもので、以前から行っていたが、当初は自転車など限られたアイテムからのスタートだった。その後も大型商品をメインに対応していたが、ECでの売り逃しを防ぐ観点から、昨年1年間かけて対象商品を大きく増加。対象店舗も当初は数十店舗だけだったが、今年2月にシステム対応を行い、基本的には全店舗で行えるようになったという。

EC限定商品の販売も奏功

 商品施策ではEC限定展開商品の販売が好調となっている。現状では、実店舗で取り扱っていないようなジャンルや高額品などニッチな商品を中心に実施。「メーカーから直接送ってもらう形で、ニッチな商品は前の年の倍以上のアイテム数になった。子供向けということに限定するのではなく行っている」(同社)とする。具体的には数万円のかるたや、精巧なダイキャストミニカー、人気映画キャラクターの数十万円のフィギュアなど、子供向け玩具とはまた違った趣旨でのラインアップとなっている。

 高額商品の場合、全国すべての実店舗に在庫を仕入れて行うことは現実的には難しく、供給元のメーカーとしても販売チャネルが限られてしまうという傾向がある。しかし、EC限定で展開し、注文後にメーカーから商品を送ってもらう形式であれば同社も在庫リスクが起きず、また、想定以上の成果を上げた商品については実店舗での販売につながった事例もあるなど、その後の可能性が広がる取り組みにもなっている。

 「例えば戦隊モノなどの本格的な高級フィギュアは子供ではなく大人のコレクターの人が買うので、当社がターゲットとしていなかった新しい層を開拓できる」(同社)とそのメリットを説明した。今後については、スポーツ用品など、現状では入門・娯楽用を展開している商品についても、より高額で本格的なものを扱っていくことを検討するなど、アイテムの拡大を目指している。
 
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