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健食の広告における暗示的表現、いわゆる「イメージ訴求」の是非をめぐる訴訟は、初めてとみられる。その意味で、判決は、行政による今後の表示規制を左右する重要な意味を持っていた。
判決の確定は、消費者庁による健食の暗示規制に対する取締り強化を意味する。一審判決は、消費者庁の主張を支持。判決を受け、消費者庁も「暗示や間接的表現を含め、表示全体から違法認定する従前通りの対応が認められた」とコメントしていた。だいにち堂が控訴したことで、暗示的表現など全体印象から判断する消費者庁の取締り手法の妥当性判断は先送りされる。
ただ、今後の法廷戦術では、だいにち堂はより厳密に自らの正当性を立証することが求められそうだ。
対象となった広告は、「ボンヤリ・にごった感じに」といった表現、眼鏡をかけて読み物をする中高年男性の写真で訴求していた。消費者庁は、こうした表現の積み上げから景表法の優良誤認と判断した。
一方のだいにち堂は、これら表現は、「抽象的表現」であり、商品の優良性を示すものではないと主張。不実証広告規制による根拠要求の対象外であり、同規制の適用は違法とした。抽象的表現に根拠を求めることは、「表現の自由」を侵害するとした。
法廷では、互いが行った消費者認識の調査を戦わせた。広告を見た消費者の印象は、消費者庁調査の6割が「目の症状改善」、だいにち堂調査の6割が「何の効果も期待できない」等というもの。調査の設計の問題点指摘を受け、だいにち堂は、再調査も行い立証を試みた。
ただ、判決は、調査の設計に「議論の余地がある」としつつ、広告を見て「購入したい」等と回答した5%の消費者に着目。その回答者の7割が「効き目がありそう」等と答えたことを採用し、広告は商品の優良性を強調していると判断した。大多数の平均的な消費者ではなく、潜在的な需要者を基準に判断したことになる。このため不実証広告規制の適用も妥当とし、「表現の自由」の侵害にもあたらないと判断した。