Repro(リプロ)は、企業と顧客の継続的な関係構築を支援するエンゲージメントマーケティングの領域を拡大し、従来のマーケティングプラットフォームから”カスタマーエンゲージメントプラットフォーム”に進化を図る。新客開拓を重視する通販企業が多い中、「既存顧客にフォーカスしないと先細る」と警鐘を鳴らす同社の平田祐介CEO(=
写真)にカスタマーエンゲージメントマーケティングの重要性などを聞いた。
――「リプロ」で提供できるサービス領域が広がっている。
「アプリのマーケティングプラットフォームからスタートし、ウェブマーケティングにも対応した。また、パートナー企業のサービスと連携することでオフラインのデータも取り込めるようになり、実店舗を持つアパレル企業などにはオフラインとオンラインの行動履歴データを使ったOMO施策の手助けもできるようになってきた」
――具体的には。
「実店舗で誰かがTシャツを買った場合、その情報がPOSデータに入り、データを貯めるDMPに飛ぶが、ほぼリアルタイムで『リプロ』に情報を投げてもらうことで、Tシャツに合うジーンズがあれば、そのレコメンドデータを自動的に『リプロ』上で把握し、ユーザーがよく使うコミュニケーションチャネルにサンクスメッセージを届けながら、アプリか通販サイトで見てもらえるようにリンクを貼ってお勧めすることができる」
――レコメンドはシルバーエッグ・テクノロジーと連携している。
「今後は機械的なレコメンドだけではなく、ロイヤルカスタマーや、データをもとにリピーター化すべきユーザーを分類し、大事なユーザーにはその顧客を理解しているスタッフが直接、デジタルチャネルでコミュニケーションをとることで再来店などにつながるかもしれない」
――新規開拓費用が上昇する中、既存顧客の存在はより大事になる。
「日本の人口減少にどう向き合うかは中長期的に最大の課題で、新規に頼るビジネスは先細りになる。先進的な企業は既存顧客向けのマーケティング費用を増やしている。どのユーザーが企業にとって大事な顧客かをデータで捉えながら、その人に対してどんな施策を、デジタルで行うのか、人をつけて行うのかも含めて判断するフェーズにきている」
―― 欧米ではどうか。
「以前から米国は日本よりもロイヤルティプログラムが進んでいる。ハーツというレンタカー会社では、ユーザーが空港からレンタカーを借りる場合、一般客向けとは別にロイヤルティレーンが用意されていて、顔認証ですぐに車を借りられる。欧米のイメージでは『それは差別だ』と怒る人が出てきそうだが実はそれが普通だ。企業にとって大事にすべき人が決められていて、リアルの小売りでも入り口が違うとか、受けられる特典もかなり違う。2‥8の法則を突き詰めている」
――日本のCRMは。
「ポイントシステムを重視する傾向がある。他の企業で買い物されないために例えば購入額の1%をポイントとして付与することで囲い込むが、競合が1・5%を付与した瞬間に顧客が流れてしまう。ポイントだけでCRMを回そうとするとそうなる。米国ではポイントで勝負せず、『ロイヤルティプラグラムを受けられる』ということ自体がステータスになる。小売り業全般で明確に一般客とロイヤルティ顧客を分けるため、リプレイスが起こりづらい囲い込み手段になっている」
――日本でCRMが上手な企業は。
「宿泊系だと一休がうまい。年間購入額をベースに一定水準に達するとレイトチェックアウトが受けられたりする。ポイントプログラムも新規客は宿泊で貯まるポイントを前払いで使えるため、比較検討されたときに有利で、新客開拓がしやすい。その後、ロイヤルに引き上げるためのプログラムが発動される」
――メルマガの一斉送信などもまだある。
「プッシュ通知やLINEなどコミュニケーションチャネルが増えている中、顧客をセグメント化し、どの顧客に何をしたいのかというエンゲージメントを高めるための考え方が整理されていない企業は苦戦する。そこが整理され始めると既存客のリピート率が上がり、自然と新規も増える」
――なぜ新規客も増えるのか。
「以前はファネル型マーケティングが主流だったが、米国などではエンゲージメントマーケティングに置き換わっている。ファネル型は逆三角形の上から認知、興味・関心、比較検討、購入、ロイヤルなどで構成され、下に行くほど数が少なくなる。認知や興味・関心の部分に広告費を投じるのがファネル型マーケで、購入とロイヤルの部分が売上になるが、通販企業は『新規が足りない』と言って上の方に広告費を投下している。人口が減る中で各社が同じように上の方に広告費を投じるため獲得単価が上がる」
「エンゲージメントマーケでは上からロイヤル、購入、比較検討、興味・関心、認知と三角形が広がり、費用は上の部分にかける。そうすると、ロイヤルユーザーによるSNSやくちコミで下の階層のユーザーを上の階層に引き上げてくれる。良いサービスを優良顧客に提供して満足度を上げられれば、優良顧客がインフルエンサーのような活動をしてくれるし、下の階層を引き上げるスピードも早い」(つづく)
――「リプロ」で提供できるサービス領域が広がっている。
「アプリのマーケティングプラットフォームからスタートし、ウェブマーケティングにも対応した。また、パートナー企業のサービスと連携することでオフラインのデータも取り込めるようになり、実店舗を持つアパレル企業などにはオフラインとオンラインの行動履歴データを使ったOMO施策の手助けもできるようになってきた」
――具体的には。
「実店舗で誰かがTシャツを買った場合、その情報がPOSデータに入り、データを貯めるDMPに飛ぶが、ほぼリアルタイムで『リプロ』に情報を投げてもらうことで、Tシャツに合うジーンズがあれば、そのレコメンドデータを自動的に『リプロ』上で把握し、ユーザーがよく使うコミュニケーションチャネルにサンクスメッセージを届けながら、アプリか通販サイトで見てもらえるようにリンクを貼ってお勧めすることができる」
――レコメンドはシルバーエッグ・テクノロジーと連携している。
「今後は機械的なレコメンドだけではなく、ロイヤルカスタマーや、データをもとにリピーター化すべきユーザーを分類し、大事なユーザーにはその顧客を理解しているスタッフが直接、デジタルチャネルでコミュニケーションをとることで再来店などにつながるかもしれない」
――新規開拓費用が上昇する中、既存顧客の存在はより大事になる。
「日本の人口減少にどう向き合うかは中長期的に最大の課題で、新規に頼るビジネスは先細りになる。先進的な企業は既存顧客向けのマーケティング費用を増やしている。どのユーザーが企業にとって大事な顧客かをデータで捉えながら、その人に対してどんな施策を、デジタルで行うのか、人をつけて行うのかも含めて判断するフェーズにきている」
―― 欧米ではどうか。
「以前から米国は日本よりもロイヤルティプログラムが進んでいる。ハーツというレンタカー会社では、ユーザーが空港からレンタカーを借りる場合、一般客向けとは別にロイヤルティレーンが用意されていて、顔認証ですぐに車を借りられる。欧米のイメージでは『それは差別だ』と怒る人が出てきそうだが実はそれが普通だ。企業にとって大事にすべき人が決められていて、リアルの小売りでも入り口が違うとか、受けられる特典もかなり違う。2‥8の法則を突き詰めている」
――日本のCRMは。
「ポイントシステムを重視する傾向がある。他の企業で買い物されないために例えば購入額の1%をポイントとして付与することで囲い込むが、競合が1・5%を付与した瞬間に顧客が流れてしまう。ポイントだけでCRMを回そうとするとそうなる。米国ではポイントで勝負せず、『ロイヤルティプラグラムを受けられる』ということ自体がステータスになる。小売り業全般で明確に一般客とロイヤルティ顧客を分けるため、リプレイスが起こりづらい囲い込み手段になっている」
――日本でCRMが上手な企業は。
「宿泊系だと一休がうまい。年間購入額をベースに一定水準に達するとレイトチェックアウトが受けられたりする。ポイントプログラムも新規客は宿泊で貯まるポイントを前払いで使えるため、比較検討されたときに有利で、新客開拓がしやすい。その後、ロイヤルに引き上げるためのプログラムが発動される」
――メルマガの一斉送信などもまだある。
「プッシュ通知やLINEなどコミュニケーションチャネルが増えている中、顧客をセグメント化し、どの顧客に何をしたいのかというエンゲージメントを高めるための考え方が整理されていない企業は苦戦する。そこが整理され始めると既存客のリピート率が上がり、自然と新規も増える」
――なぜ新規客も増えるのか。
「以前はファネル型マーケティングが主流だったが、米国などではエンゲージメントマーケティングに置き換わっている。ファネル型は逆三角形の上から認知、興味・関心、比較検討、購入、ロイヤルなどで構成され、下に行くほど数が少なくなる。認知や興味・関心の部分に広告費を投じるのがファネル型マーケで、購入とロイヤルの部分が売上になるが、通販企業は『新規が足りない』と言って上の方に広告費を投下している。人口が減る中で各社が同じように上の方に広告費を投じるため獲得単価が上がる」
「エンゲージメントマーケでは上からロイヤル、購入、比較検討、興味・関心、認知と三角形が広がり、費用は上の部分にかける。そうすると、ロイヤルユーザーによるSNSやくちコミで下の階層のユーザーを上の階層に引き上げてくれる。良いサービスを優良顧客に提供して満足度を上げられれば、優良顧客がインフルエンサーのような活動をしてくれるし、下の階層を引き上げるスピードも早い」(つづく)