千趣会の2019年12月期連結業績は、構造改革に伴う通販事業の規模適正化やフィールライフの清算、ベルネージュダイレクトとモバコレの連結除外などが影響し売上高は前年比21・3%減の891億5000万円となった。
利益面は在庫評価損の減少などによる売上原価率の大幅な改善と販管費削減によって営業利益は7億7200万円(前年は40億6300万円の損失)に、上期に実施したノンコア資産の処分によって当期純利益は81億8200万円(同60億2700万円の損失)となり、3期振りに黒字転換した。
赤字脱却に向けて前期の上期はとくに、在庫適正化ルールの策定・運用と調達面の改革に道筋をつけた。具体的には企画・開発部隊と分けて調達部を発足。売上高と売上総利益率、仕入れ、在庫を連動させた調達とKPI管理の運用を開始したほか、主要取引先との関係を強化して直輸入コストの適正化を図った。
前期の下期は会員基盤の再構築を重視。会員の獲得と育成、休眠顧客復活の各フェーズで有効なマーケティング施策を100以上試したほか、顧客のライフステージに合わせたジャンル横断型カタログを発刊した。また、昨年11月にはベルメゾンの新ブランドスローガンとして「愛、のち、アイデア。」を策定。”愛からはじまるアイデア”の思いを込めた主力商材「ホットコット」のテレビCMを放映したことで同月は復活会員、新規会員ともに増えたという。
前期は営業利益ベースで48億円の大幅改善となったことから、「やり切ることの重要性を改めて感じた。自信を持って構造改革を続けられる」(梶原健司社長=
顔写真)とした上で、道半ばの会員基盤再構築についても、「仮説に基づいてマーケティング施策を実施し、成果を検証して次の施策に生かす部分でも全体的に組織力が高まった」(同)と一定の手応えを得たようだ。
主力である通販事業の売上高は前年比29・1%減の613億円、営業損失は8億500万円(前年は56億3300万円の損失)で、5年連続の赤字となったが、赤字幅は縮小した。
商品型数はカタログ非掲載商品を中心に約4割絞った一方、1型当たりの売上額は4割増となった。カタログの売り場面積(発行部数×ページ数)は上期が前年の3割減、下期は横断型カタログの発刊もあって3~4割増やした。ベルメゾンの年間購入者数は販管費の抑制や商品型数の削減、クーポン施策の縮小などによって27万人減の約238万人に、新規購入者数は微増の56万6000人となった。
アパレルは苦戦したが、リビング商材は好調に推移。増税前の駆け込み需要に対し、増税後の落ち込みは想定内だった。また、アパレルも「ホットコット」がテレビCMの影響で健闘したこともあり、暖冬による影響は大きくなかったという。
今期は通販事業も黒字化見込む
3カ年計画の2年目となる今期は、通販事業では会員基盤の再構築に向けて継続投資による効果発現を目指すほか、商品力・提案力の強化やオペレーション改革にも引き続き取り組む。
会員基盤の再構築については、会員数の下げ止めに向けた各種施策の結果を踏まえ、上期を中心に本格展開を計画。新規獲得では産院でのカタログ配布に加え、リアルイベントやクーポン施策にも取り組む。
商品力強化に向けては、新規会員増や復活会員増につながる看板商品育成に向けたプロジェクトを発足したほか、ブランドスローガンに合わせた品ぞろえや媒体、顧客コミュニケーションを再整理する。同社では、「ベルメゾンのブランドイメージが不明瞭なことが苦戦の原因」(梶原社長)とし、千趣会ならではの提供価値を突き詰める。
前期に創刊したジャンル横断型カタログの「花笑むとき」や「暮らしの景色」は再編集カタログに近く、自社の他媒体で扱う商品が多かったものの、提案の仕方を変えたことで反響があった。今期は提案力に加えて商品自体に磨きをかけてジャンル横断型カタログの本格展開につなげる。
20年12月期の連結業績は、売上高が前年比3・2%増の920億円を計画する。営業利益は運賃値上げや会員獲得用の販促強化などの影響があるものの、グループ全体の売上高増加に伴う粗利増と原価率改善、販管費の効率化などによって同132・9%増の18億円を、当期純利益は同73・1%減の22億円をそれぞれ見込む。
通販事業は売上高が633億2000万円、営業利益は8000万円と増収増益を計画する。前期は在庫削減に重点を置いたが、今期は打ち出す商品を明確にして販売面にも力を注ぐ。とくに上期に販促費を投下することで復活会員などの獲得を図り、通販事業としても黒字化を見込む。
利益面は在庫評価損の減少などによる売上原価率の大幅な改善と販管費削減によって営業利益は7億7200万円(前年は40億6300万円の損失)に、上期に実施したノンコア資産の処分によって当期純利益は81億8200万円(同60億2700万円の損失)となり、3期振りに黒字転換した。
赤字脱却に向けて前期の上期はとくに、在庫適正化ルールの策定・運用と調達面の改革に道筋をつけた。具体的には企画・開発部隊と分けて調達部を発足。売上高と売上総利益率、仕入れ、在庫を連動させた調達とKPI管理の運用を開始したほか、主要取引先との関係を強化して直輸入コストの適正化を図った。
前期の下期は会員基盤の再構築を重視。会員の獲得と育成、休眠顧客復活の各フェーズで有効なマーケティング施策を100以上試したほか、顧客のライフステージに合わせたジャンル横断型カタログを発刊した。また、昨年11月にはベルメゾンの新ブランドスローガンとして「愛、のち、アイデア。」を策定。”愛からはじまるアイデア”の思いを込めた主力商材「ホットコット」のテレビCMを放映したことで同月は復活会員、新規会員ともに増えたという。
前期は営業利益ベースで48億円の大幅改善となったことから、「やり切ることの重要性を改めて感じた。自信を持って構造改革を続けられる」(梶原健司社長=顔写真)とした上で、道半ばの会員基盤再構築についても、「仮説に基づいてマーケティング施策を実施し、成果を検証して次の施策に生かす部分でも全体的に組織力が高まった」(同)と一定の手応えを得たようだ。
主力である通販事業の売上高は前年比29・1%減の613億円、営業損失は8億500万円(前年は56億3300万円の損失)で、5年連続の赤字となったが、赤字幅は縮小した。
商品型数はカタログ非掲載商品を中心に約4割絞った一方、1型当たりの売上額は4割増となった。カタログの売り場面積(発行部数×ページ数)は上期が前年の3割減、下期は横断型カタログの発刊もあって3~4割増やした。ベルメゾンの年間購入者数は販管費の抑制や商品型数の削減、クーポン施策の縮小などによって27万人減の約238万人に、新規購入者数は微増の56万6000人となった。
アパレルは苦戦したが、リビング商材は好調に推移。増税前の駆け込み需要に対し、増税後の落ち込みは想定内だった。また、アパレルも「ホットコット」がテレビCMの影響で健闘したこともあり、暖冬による影響は大きくなかったという。
今期は通販事業も黒字化見込む
3カ年計画の2年目となる今期は、通販事業では会員基盤の再構築に向けて継続投資による効果発現を目指すほか、商品力・提案力の強化やオペレーション改革にも引き続き取り組む。
会員基盤の再構築については、会員数の下げ止めに向けた各種施策の結果を踏まえ、上期を中心に本格展開を計画。新規獲得では産院でのカタログ配布に加え、リアルイベントやクーポン施策にも取り組む。
商品力強化に向けては、新規会員増や復活会員増につながる看板商品育成に向けたプロジェクトを発足したほか、ブランドスローガンに合わせた品ぞろえや媒体、顧客コミュニケーションを再整理する。同社では、「ベルメゾンのブランドイメージが不明瞭なことが苦戦の原因」(梶原社長)とし、千趣会ならではの提供価値を突き詰める。
前期に創刊したジャンル横断型カタログの「花笑むとき」や「暮らしの景色」は再編集カタログに近く、自社の他媒体で扱う商品が多かったものの、提案の仕方を変えたことで反響があった。今期は提案力に加えて商品自体に磨きをかけてジャンル横断型カタログの本格展開につなげる。
20年12月期の連結業績は、売上高が前年比3・2%増の920億円を計画する。営業利益は運賃値上げや会員獲得用の販促強化などの影響があるものの、グループ全体の売上高増加に伴う粗利増と原価率改善、販管費の効率化などによって同132・9%増の18億円を、当期純利益は同73・1%減の22億円をそれぞれ見込む。
通販事業は売上高が633億2000万円、営業利益は8000万円と増収増益を計画する。前期は在庫削減に重点を置いたが、今期は打ち出す商品を明確にして販売面にも力を注ぐ。とくに上期に販促費を投下することで復活会員などの獲得を図り、通販事業としても黒字化を見込む。