高島屋の今上期(3~8月期)におけるカタログ通販事業の売上高は前年同期比9・8%増と好調を維持した。
ファッションや食料品、リビングの各カテゴリーで伸ばしたが、とくにファッション領域では戦略的に拡大している中価格帯商品の企画「スタイル・プリュ」が好調で、従来のレディース衣料だけでなく、上期の後半からはメンズ衣料も始めた。商標登録も行い、下期中にも「スタイル・プリュ」のネームタグをつけたアイテムを展開する。
高島屋クロスメディア事業部では、ファッションカタログ「アイトゥロア」を最後にプライベートブランドは展開していなかったが、カタログ通販の構造改革を経て収益改善し、在庫水準も低くなったため、買い取り契約で「スタイル・プリュ」の強化に乗り出す。
現状、「スタイル・プリュ」はチラシの体裁でカタログと同送しているが、来春をメドに冊子化する計画だ。同社によると、基幹カタログ「タカシマヤファッション」の巻頭アイテムよりも値ごろ感がある中価格帯衣料品のニーズは高く、「スタイル・プリュ」の商品は「高島屋オンラインストア」でも販売して売り上げにつながっている。
また、新聞広告の活用も継続。全国紙を中心にファッション商材と食料品を打ち出して新規顧客の獲得につなげているほか、カタログ通販の有料会員制度「ハイランドクラブ会員」新規獲得用の新聞広告も出稿。加えて、有料会員については、従来は顧客負担だった返品送料を同社負担に、通常送料も1万円以上で無料にするなど特典の見直しを図ったことでハイランドクラブ会員の減少に歯止めをかけることに成功している。
ただ、足もとでは消費意欲が衰えてきた80歳以上の顧客の離脱が増えてきており、カタログのアクティブ会員数は前年と比べて横ばいで推移している。
下期については、カタログと同送するショッピングガイドを今冬号から見直し、文字と写真を大きくするなど、従来以上に高齢の顧客にも見やすく、分かりやすいガイド作りを心がけた。また、電話注文だけでなく、ウェブ経由の注文のガイドも新たに作成するなど、意識的にEC送客の施策も始めている。
顧客の声に応える取り組みも強化する方針で、顧客の不満の多くがコールセンターへの電話のつながりにくさだという。現在の応答率は65~70%で推移しているが、これを高めるためにオペレーターの人数を増やしたり、ハイランドクラブ会員にはカタログを先行配布して注文時期を分散化させる工夫も行っている。
一方、一般会員の購入時に欠品してしまうケースもあることから、今後は需要予測の精度向上に努めるとともに、ハイランドクラブ会員の受注状況に応じて追加発注できる仕組みの構築が課題としている。
通期におけるカタログ通販の売上高は、前年比8%増と5年前の水準に戻す見通しだが、オペレーターの人数など、「縮小した事業規模に合わせてきた部分に”ひずみ”も生じてきている」(郡一哉クロスメディア事業部長)とし、今後は事業拡大に合わせた投資も必要だという。
なお、2020年は高島屋の通販開始70年となるため、来春号から1年間、特別企画を展開する予定で企画内容を詰めており、カタログモデルとコラボした商品の開発なども視野にあるようだ。(
おわり)
ファッションや食料品、リビングの各カテゴリーで伸ばしたが、とくにファッション領域では戦略的に拡大している中価格帯商品の企画「スタイル・プリュ」が好調で、従来のレディース衣料だけでなく、上期の後半からはメンズ衣料も始めた。商標登録も行い、下期中にも「スタイル・プリュ」のネームタグをつけたアイテムを展開する。
高島屋クロスメディア事業部では、ファッションカタログ「アイトゥロア」を最後にプライベートブランドは展開していなかったが、カタログ通販の構造改革を経て収益改善し、在庫水準も低くなったため、買い取り契約で「スタイル・プリュ」の強化に乗り出す。
現状、「スタイル・プリュ」はチラシの体裁でカタログと同送しているが、来春をメドに冊子化する計画だ。同社によると、基幹カタログ「タカシマヤファッション」の巻頭アイテムよりも値ごろ感がある中価格帯衣料品のニーズは高く、「スタイル・プリュ」の商品は「高島屋オンラインストア」でも販売して売り上げにつながっている。
また、新聞広告の活用も継続。全国紙を中心にファッション商材と食料品を打ち出して新規顧客の獲得につなげているほか、カタログ通販の有料会員制度「ハイランドクラブ会員」新規獲得用の新聞広告も出稿。加えて、有料会員については、従来は顧客負担だった返品送料を同社負担に、通常送料も1万円以上で無料にするなど特典の見直しを図ったことでハイランドクラブ会員の減少に歯止めをかけることに成功している。
ただ、足もとでは消費意欲が衰えてきた80歳以上の顧客の離脱が増えてきており、カタログのアクティブ会員数は前年と比べて横ばいで推移している。
下期については、カタログと同送するショッピングガイドを今冬号から見直し、文字と写真を大きくするなど、従来以上に高齢の顧客にも見やすく、分かりやすいガイド作りを心がけた。また、電話注文だけでなく、ウェブ経由の注文のガイドも新たに作成するなど、意識的にEC送客の施策も始めている。
顧客の声に応える取り組みも強化する方針で、顧客の不満の多くがコールセンターへの電話のつながりにくさだという。現在の応答率は65~70%で推移しているが、これを高めるためにオペレーターの人数を増やしたり、ハイランドクラブ会員にはカタログを先行配布して注文時期を分散化させる工夫も行っている。
一方、一般会員の購入時に欠品してしまうケースもあることから、今後は需要予測の精度向上に努めるとともに、ハイランドクラブ会員の受注状況に応じて追加発注できる仕組みの構築が課題としている。
通期におけるカタログ通販の売上高は、前年比8%増と5年前の水準に戻す見通しだが、オペレーターの人数など、「縮小した事業規模に合わせてきた部分に”ひずみ”も生じてきている」(郡一哉クロスメディア事業部長)とし、今後は事業拡大に合わせた投資も必要だという。
なお、2020年は高島屋の通販開始70年となるため、来春号から1年間、特別企画を展開する予定で企画内容を詰めており、カタログモデルとコラボした商品の開発なども視野にあるようだ。(おわり)