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集英社 渋谷スクランブルスクエアに出店、EC在庫の店舗活用をスタート,予約品の店頭試着も

2019年10月31日 13:40

 集英社は11月1日、東京・渋谷に開業した商業施設「渋谷スクランブルスクエア」に、運営する女性向けメディア「ハッピープラス」とファッション通販サイト「フラッグショップ」を融合した実店舗「ハッピープラス」を開設した。同社は通販サイトの実店舗展開を強化しており、同店はそごう横浜店、東急プラザ銀座店、そごう千葉店、西武渋谷店に続く5店舗目で、従来以上に自社メディアおよびECとの連携を強め、出版社の実店舗として存在感を高めたい考え。

 新店は「ハッピープラス」の名称を使った初の店舗で、同商業施設4階で東急百貨店がプロデュースする、モード系を中心としたブランドをセレクトした売り場「428―224(シブヤ224)」内に出店した。

 「LEE」や「マリソル」「エクラ」といった雑誌の企画と連動し、人気ブランドとのコラボ商品や限定品を販売するほか、「シブヤ224」のターゲット層に合わせてデザイナーズブランドに特化した通販サイト「ミラベラ」で扱うアイテムも数多くそろえる(画像)。

 今回、集英社ではECの在庫を実店舗で引き当てて販売するシステムを開発。店頭に在庫がない商品でもタブレット端末を利用し、「フラッグショップ」で扱う20万点以上の商品の中から、EC倉庫に在庫がある商品は店頭で決済してもらって後日、自宅に配送するサービスを始める。同サービスは他店舗にも導入を進める予定で、EC在庫の活用で機会損失の軽減と店頭の購入率改善を図りたい意向だ。

 また、新店ではECの予約販売で人気の商品については、店頭に試着用のサンプルを用意して注文を受け、入荷次第、自宅に配送する取り組みを本格始動する。

 同社は今年5月、通販サイトで人気のブランド「ロスコ」のジャケットを販売した際、モデルの五明祐子さんがXS~Lの全サイズを着用し、サイズごとの着こなしを紹介したところ爆発的に売れた。そこで、横浜店と銀座店では急遽、各サイズのサンプルを用意して店頭で試着できるようにした結果、当該商品の試着を目的とした来店が増え、店頭送客効果があることが分かった。

 その後、「コンバース」の人気スニーカーも全サイズを用意し、試し履きができるようにして好評を得たことから、渋谷スクランブルスクエアの新店でも同様の取り組みで消費者ニーズに応えるとともに、プロパー販売につなげる。

 さらに、店頭で提案できる商品数は限られていることから、モデル着用のコーディネート写真を印刷したポストカードを壁などに配置し、カードに付いたQRコードから「フラッグショップ」の当該商品ページに遷移して詳細を確認したり、購入できるようにする。

 新店の内装については、55インチの大型サイネージを3台設置し、雑誌「シュプール」の編集コンテンツやコーディネート情報などの最新ファッション情報を発信して”情報発信型コマースメディア”を体現していく。

 また、店内には集英社が発行する女性ファッション誌のアーカイブをそろえたコーナーを設置する。オープン時は「ノンノ」や「モア」などの創刊号も展示。自由に閲覧できるようし、過去と現在のファッションがクロスする空間とした。加えて、新店では国内外のデザイナーズ家具を扱う通販サイト「フライミー」の家具を什器として使っているという。

 集英社は、12月に関西にも常設店を構える計画で、今秋冬シーズンに6店舗体制を構築。2年後をメドに実店舗事業で売上高10億円を目指す。

 実店舗強化に向けてはすでに店舗専任チームを発足。店舗運営の知見がある人材を増やしている。店頭販売業務はパートナー契約を結ぶ販売代行会社と連携しているが、3月に出店した銀座店では11月にも子会社であるプロジェクトエイトのスタッフが販売業務を行う体制に移行する計画だ。その後は他店舗でも自社運営体制を整備したい考えで、店舗人員の採用を活発化させる。

 
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