ファーストリテイリングでは、グループ全体でEC化率の向上を図っている。国内ではアプリを起点に顧客の声を拾う仕組みの充実を図っており、商品制作などにも反映。合わせて実店舗とECの連携も強化していくことで、併用者が増加し、売り上げ拡大に大きくつながっている。
同社の国内外を含めたグループEC事業の2019年度の売上高は2583億円で、EC化率は11・6%。11年から19年までの年平均成長率で見ると前年度比31%増で成長している。20年度については3200億円を目指しており、EC化率では13・7%。今後はEC化率30%を目指している。
事業成長の鍵を握る顧客起点の商品開発体制について、19年8月期の決算説明会で国内外のECを所管する日下正信執行役員(
顔写真)が「製造小売業として製造から販売まで自社でコントロールをしている。いくら良いサービスやシステムを開発しても、欲しい商品がない限り顧客に選ばれることはない。顧客の声を吸い上げて(MDに)反映して良い服を作り続けることに取り組んでいる」と説明。その一例として、19年の秋冬新商品である「スフレヤーンニット」は、顧客から寄せられた「チクチクするニットは嫌だ」という声をもとに作成。糸の段階で特殊な起毛をかけることで、ふんわりとした表面感がありながら、肌に当たりにくく刺激の少ない新しい仕様としたことを紹介した。
顧客の声を吸い上げる仕組みとして効果的な役割を果たしているのが、「ユニクロアプリ」内で昨年より開始した買い物アシスタントサービス機能の「UNIQLO IQ」。AIチャットも搭載していることで、24時間気軽に利用できることからチャット経由の問い合わせが上昇し、19年度の電話やメールなども含めた相談件数ではチャットが全体の57%を占めるまでになった。また、相談件数自体も増えており、17年度は34万件、18年度は42万件だったのが、19年度では70万件となり、多くの顧客の声を吸い上げることができるようになっている。
なお、ユニクロアプリに関しては国内ダウンロード数が年平均成長率で同40%増となっており、19年度での延べダウンロード数は2500万件を突破。直近4年間のアプリ経由の売上高も年平均で同80%増で推移している。
スマートフォン経由の数字を見ると、19年度のデバイス別売上高構成比では全体の74%となり、PCと半数ずつだった17年度から大きく伸長。直近4年間の訪問者数でもスマホが年平均成長率で同30%増の推移となっている。
実店舗・ECの併用が拡大
また、実店舗との融合についてもあらゆる形でサービス連携が進んでいる。通販商品の受け取り場所では、実店舗受け取り比率が44%に拡大。これも実店舗とECを併用する利用者が増えていることが背景にあり、直近3年間の併用者数の年平均成長率では同44%増となった。チャネル別の年間平均購入金額・平均回数については、ECのみが1万4109円で2・2回、実店舗のみが1万7198円で3・9回。併用者の場合については、それらを大きく上回る4万4034円で9・8回となった。
そのほか、ECによる実店舗補完の一つでもあるラインアップ数の拡充については、実店舗の標準店と比べて4・2倍、旗艦店と比べても3・0倍と圧倒的なSKUを確保。特にECでの取り扱いサイズに関しては、実店舗での4サイズ展開の倍となる8サイズ展開をほぼすべての商品で実現している。これらのEC限定サイズやEC特別商品などはEC売上高の30%を占めるようになった。
なお、組織についても大きくてこ入れを実施している。これまで「ユニクロ」や「ジーユー」などブランドごとに個別組織での運営を行っていたが、20年8月期からはブランドを横断した一つの組織へと変更。業務効率化に向けて動き出している。
また、ECのプラットフォームについても国や地域、ブランドごとで別々の仕組みを利用していたが、今後はグローバル全体で統一したEC基盤を自社で開発。スピーディーなアップデートをグローバルで常時実行できる体制を目指していく。
並行してEC事業展開国も拡大。19年9月現在では21の国と地域で展開しているが、今秋にはロシアでも開始。インド、インドネシア、ベトナム、フィリピンといった国でもEC事業を行う考え。
同社の国内外を含めたグループEC事業の2019年度の売上高は2583億円で、EC化率は11・6%。11年から19年までの年平均成長率で見ると前年度比31%増で成長している。20年度については3200億円を目指しており、EC化率では13・7%。今後はEC化率30%を目指している。
事業成長の鍵を握る顧客起点の商品開発体制について、19年8月期の決算説明会で国内外のECを所管する日下正信執行役員(顔写真)が「製造小売業として製造から販売まで自社でコントロールをしている。いくら良いサービスやシステムを開発しても、欲しい商品がない限り顧客に選ばれることはない。顧客の声を吸い上げて(MDに)反映して良い服を作り続けることに取り組んでいる」と説明。その一例として、19年の秋冬新商品である「スフレヤーンニット」は、顧客から寄せられた「チクチクするニットは嫌だ」という声をもとに作成。糸の段階で特殊な起毛をかけることで、ふんわりとした表面感がありながら、肌に当たりにくく刺激の少ない新しい仕様としたことを紹介した。
顧客の声を吸い上げる仕組みとして効果的な役割を果たしているのが、「ユニクロアプリ」内で昨年より開始した買い物アシスタントサービス機能の「UNIQLO IQ」。AIチャットも搭載していることで、24時間気軽に利用できることからチャット経由の問い合わせが上昇し、19年度の電話やメールなども含めた相談件数ではチャットが全体の57%を占めるまでになった。また、相談件数自体も増えており、17年度は34万件、18年度は42万件だったのが、19年度では70万件となり、多くの顧客の声を吸い上げることができるようになっている。
なお、ユニクロアプリに関しては国内ダウンロード数が年平均成長率で同40%増となっており、19年度での延べダウンロード数は2500万件を突破。直近4年間のアプリ経由の売上高も年平均で同80%増で推移している。
スマートフォン経由の数字を見ると、19年度のデバイス別売上高構成比では全体の74%となり、PCと半数ずつだった17年度から大きく伸長。直近4年間の訪問者数でもスマホが年平均成長率で同30%増の推移となっている。
実店舗・ECの併用が拡大
また、実店舗との融合についてもあらゆる形でサービス連携が進んでいる。通販商品の受け取り場所では、実店舗受け取り比率が44%に拡大。これも実店舗とECを併用する利用者が増えていることが背景にあり、直近3年間の併用者数の年平均成長率では同44%増となった。チャネル別の年間平均購入金額・平均回数については、ECのみが1万4109円で2・2回、実店舗のみが1万7198円で3・9回。併用者の場合については、それらを大きく上回る4万4034円で9・8回となった。
そのほか、ECによる実店舗補完の一つでもあるラインアップ数の拡充については、実店舗の標準店と比べて4・2倍、旗艦店と比べても3・0倍と圧倒的なSKUを確保。特にECでの取り扱いサイズに関しては、実店舗での4サイズ展開の倍となる8サイズ展開をほぼすべての商品で実現している。これらのEC限定サイズやEC特別商品などはEC売上高の30%を占めるようになった。
なお、組織についても大きくてこ入れを実施している。これまで「ユニクロ」や「ジーユー」などブランドごとに個別組織での運営を行っていたが、20年8月期からはブランドを横断した一つの組織へと変更。業務効率化に向けて動き出している。
また、ECのプラットフォームについても国や地域、ブランドごとで別々の仕組みを利用していたが、今後はグローバル全体で統一したEC基盤を自社で開発。スピーディーなアップデートをグローバルで常時実行できる体制を目指していく。
並行してEC事業展開国も拡大。19年9月現在では21の国と地域で展開しているが、今秋にはロシアでも開始。インド、インドネシア、ベトナム、フィリピンといった国でもEC事業を行う考え。