通販新聞社が行った2018年度の「健康食品通販売上高ランキング調査」は、前回調査(80社)と比較可能な上位80社の売上高総計が前回調査比8・4%増となる6153億6400万円だった。15年に始まった機能性表示食品制度を追い風に、拡大したとみられる。市場は、研究開発力を強みに独自色を発揮するメーカーの台頭が目立つ。一方、ウェブ周辺では新たなマーケティング手法を積極的に取り入れる新興企業が台頭しており、勢力図が変化しつつある。
(※表は週刊通販新聞本紙で掲載した1~100位までの売上高ランキングの中から上位20位のみを掲載。21位~100位は本紙のみに掲載しております)
前回と比較可能は80社のうち、増収は38社(前回調査は37社)、減収は24社(同26社)で比率に変化はない。機能性表示食品制度という市場の潮目の変化をうまく読んだ企業が成長基調を維持している。
サントリーウエルネスは、化粧品を含む18年12月期実績が、約5%増の909億円だった。台湾の通販など国内外子会社の実績を含む連結売上高は、1000億円に達したとみられる。主力の「セサミンEX」が全般的な健康イメージでベースサプリメントとして定着。一方で、関節ケアや歩行機能関連の機能性表示食品の販売にも着手する。
追随するのが、ファンケル、ディーエイチシー。ファンケルは店舗、卸を含む19年3月期の健康食品事業の実績が約22%増の439億円(青汁、発芽米を含むと約485億円)と伸長。とくに店舗は、インバウンド需要を取り込みやすい百貨店など好立地を厳選して展開しており、前期に前年比約35%増と好調に推移した。卸も「20日分サイズ」の流通専用サプリメントの展開を強化。値ごろ感でドラッグストアの利用率が高い層の取り込みを進めており、同28%増と伸長している。ディーエイチシーも18年7月期の健食事業は500億円近い規模に達しているとみられる。
100億円超のメーカー増加
売上高100億円を越える規模でもアサヒカルピスウェルネス、味の素、ライオン、カゴメ、大正製薬などメーカー系の台頭が目立つ。これを臨む位置にも協和発酵バイオ、富士フイルムヘルスケアラボラトリー、小林製薬が続く。
躍進の背景の一つには、機能性表示食品制度があるとみられる。味の素は睡眠ケアの「グリナ」や歩行機能関連の「アミノエール」、ライオンはダイエット関連の「ナイスリムエッセンス ラクトフェリン」、カゴメは血圧、コレステロール関連の「トマトジュース」シリーズを展開する。
かつての健食は、「機能」や「身体の部位」への訴求は行えず、イメージで訴求することしかできなかった。制度の開始により明確な訴求が行えるようになったことで差別化が図りやすくなり、メーカー各社は研究開発力を背景に強みを発揮している。
ニコリオ、増収率でトップに
独立系で成長基調を維持するのが、富山常備薬グループだ。医薬品通販の解禁にいち早く目をつけ、これに通販ノウハウを導入。「富山の薬売り」のイメージから想起される信頼感などを背景に成長を果たす。
世田谷自然食品は、19年6月期実績が約12%増の234億円と成長を維持。健食の一極集中から脱し、野菜ジュースや味噌汁、オールインワン化粧品など食品・化粧品分野で新たな事業の育成が進む。来年には、研究開発力強化を目的に自社研究施設を立ち上げる計画も進める。
一方、えがおは、16年に景品表示法の措置命令を受けて以降、低迷。ピーク時に売上高は260億円に達したが、減収に歯止めがかかっていない。医薬品通販への参入、最近では本社を構える熊本市内で黒酢商品を扱う店舗を初出店するなど、新たなビジネスモデルの模索が続く。
ウェブを主戦場に前年比118%増と、急成長を果たしたのはニコリオ(旧ビアンネ)。もともとは業界でも知られた老舗企業だが、ウェブへのシフトで70、80代から40、50代への顧客基盤の大幅な若返りが進む。テレビの活用などマス市場における新規獲得を視野に入れており、19年12月期は200億円の売り上げを目指している。
<表の見方>
「18年度健康食品通販売上高ランキング」は、原則、健食通販売上高のみをまとめた。調査期間は、17年6月~18年5月に迎えた決算期。
▽一部企業は公表資料や聞き取りなどによって「本紙推計値(※マーク)」を掲載している。
▽社名の前に「◎」マークの企業は数字に特定の条件がある。(〇内の数字は売上高順位)。
(1)サントリーウエルネスは国内外子会社の実績を除く売上高。一部、海外子会社向け卸を含む。
(3)世田谷自然食品は、食品の売上高を含む。
(4)わかさ生活は、17年9月期が9カ月の変則決算のため、前年比増減率は記載していない。
(6)ファンケルは、アテニアを含む連結売上高に占める健康食品通販売上高(発芽米、青汁の通販を含む)。
(10)アサヒカルピスウェルネスは、原料販売事業の実績を含む売上高。ただし、通販売上高が大半を占める。また、化粧品通販の実績を含む。
(11)キューサイは、昨年、子会社の日本サプリメントの全株式をトゥ・プリティーホールディングスに譲渡した。
(12)ニコリオは今年7月、社名をビアンネから変更した。屋号も「悠悠館」から「ニコリオ」に統一した。
(13)エバーライフは化粧品通販の実績を含む。
(14)味の素は化粧品通販の実績を含む。
(15)ライオンは、ヘアケア通販などの実績を含む。
⑯カゴメは自社通販「カゴメ健康直送便」の実績。外部ECやカタログへの卸は含まない。
(17)ユーグレナは化粧品通販の実績を含む。
(18)金氏高麗人参は、原料販売の実績を含む。
(20)大正製薬は、「大正ダイレクト」の実績。子会社で化粧品通販を行うドクタープログラムの売上高は含まない。
前回と比較可能は80社のうち、増収は38社(前回調査は37社)、減収は24社(同26社)で比率に変化はない。機能性表示食品制度という市場の潮目の変化をうまく読んだ企業が成長基調を維持している。
サントリーウエルネスは、化粧品を含む18年12月期実績が、約5%増の909億円だった。台湾の通販など国内外子会社の実績を含む連結売上高は、1000億円に達したとみられる。主力の「セサミンEX」が全般的な健康イメージでベースサプリメントとして定着。一方で、関節ケアや歩行機能関連の機能性表示食品の販売にも着手する。
追随するのが、ファンケル、ディーエイチシー。ファンケルは店舗、卸を含む19年3月期の健康食品事業の実績が約22%増の439億円(青汁、発芽米を含むと約485億円)と伸長。とくに店舗は、インバウンド需要を取り込みやすい百貨店など好立地を厳選して展開しており、前期に前年比約35%増と好調に推移した。卸も「20日分サイズ」の流通専用サプリメントの展開を強化。値ごろ感でドラッグストアの利用率が高い層の取り込みを進めており、同28%増と伸長している。ディーエイチシーも18年7月期の健食事業は500億円近い規模に達しているとみられる。
100億円超のメーカー増加
売上高100億円を越える規模でもアサヒカルピスウェルネス、味の素、ライオン、カゴメ、大正製薬などメーカー系の台頭が目立つ。これを臨む位置にも協和発酵バイオ、富士フイルムヘルスケアラボラトリー、小林製薬が続く。
躍進の背景の一つには、機能性表示食品制度があるとみられる。味の素は睡眠ケアの「グリナ」や歩行機能関連の「アミノエール」、ライオンはダイエット関連の「ナイスリムエッセンス ラクトフェリン」、カゴメは血圧、コレステロール関連の「トマトジュース」シリーズを展開する。
かつての健食は、「機能」や「身体の部位」への訴求は行えず、イメージで訴求することしかできなかった。制度の開始により明確な訴求が行えるようになったことで差別化が図りやすくなり、メーカー各社は研究開発力を背景に強みを発揮している。
ニコリオ、増収率でトップに
独立系で成長基調を維持するのが、富山常備薬グループだ。医薬品通販の解禁にいち早く目をつけ、これに通販ノウハウを導入。「富山の薬売り」のイメージから想起される信頼感などを背景に成長を果たす。
世田谷自然食品は、19年6月期実績が約12%増の234億円と成長を維持。健食の一極集中から脱し、野菜ジュースや味噌汁、オールインワン化粧品など食品・化粧品分野で新たな事業の育成が進む。来年には、研究開発力強化を目的に自社研究施設を立ち上げる計画も進める。
一方、えがおは、16年に景品表示法の措置命令を受けて以降、低迷。ピーク時に売上高は260億円に達したが、減収に歯止めがかかっていない。医薬品通販への参入、最近では本社を構える熊本市内で黒酢商品を扱う店舗を初出店するなど、新たなビジネスモデルの模索が続く。
ウェブを主戦場に前年比118%増と、急成長を果たしたのはニコリオ(旧ビアンネ)。もともとは業界でも知られた老舗企業だが、ウェブへのシフトで70、80代から40、50代への顧客基盤の大幅な若返りが進む。テレビの活用などマス市場における新規獲得を視野に入れており、19年12月期は200億円の売り上げを目指している。
<表の見方>
「18年度健康食品通販売上高ランキング」は、原則、健食通販売上高のみをまとめた。調査期間は、17年6月~18年5月に迎えた決算期。
▽一部企業は公表資料や聞き取りなどによって「本紙推計値(※マーク)」を掲載している。
▽社名の前に「◎」マークの企業は数字に特定の条件がある。(〇内の数字は売上高順位)。
(1)サントリーウエルネスは国内外子会社の実績を除く売上高。一部、海外子会社向け卸を含む。
(3)世田谷自然食品は、食品の売上高を含む。
(4)わかさ生活は、17年9月期が9カ月の変則決算のため、前年比増減率は記載していない。
(6)ファンケルは、アテニアを含む連結売上高に占める健康食品通販売上高(発芽米、青汁の通販を含む)。
(10)アサヒカルピスウェルネスは、原料販売事業の実績を含む売上高。ただし、通販売上高が大半を占める。また、化粧品通販の実績を含む。
(11)キューサイは、昨年、子会社の日本サプリメントの全株式をトゥ・プリティーホールディングスに譲渡した。
(12)ニコリオは今年7月、社名をビアンネから変更した。屋号も「悠悠館」から「ニコリオ」に統一した。
(13)エバーライフは化粧品通販の実績を含む。
(14)味の素は化粧品通販の実績を含む。
(15)ライオンは、ヘアケア通販などの実績を含む。
⑯カゴメは自社通販「カゴメ健康直送便」の実績。外部ECやカタログへの卸は含まない。
(17)ユーグレナは化粧品通販の実績を含む。
(18)金氏高麗人参は、原料販売の実績を含む。
(20)大正製薬は、「大正ダイレクト」の実績。子会社で化粧品通販を行うドクタープログラムの売上高は含まない。