ファンケルは8月6日、キリンホールディングスと資本業務提携を発表した。キリンは9月6日付で1293億円を出資し、ファンケルの発行済株式の30・3%(議決権ベースで33%)を持つ筆頭株主になる。ファンケルは、キリンの持分法適用会社になる。(
写真左からファンケルの島田和幸社長兼CEO、池森賢二会長、キリンHDの磯崎功典社長)
ファンケル会長で創業者の池森賢二氏やその親族から株式を譲受する。提携に伴い、キリンは、ファンケルに3人の役員を派遣する。
提携の理由について、キリンの磯崎社長は「健康寿命の延伸という社会課題に取り組むファンケルの方針は、健康事業を成長の柱として育成するキリンの方針と完全に一致する」。ファンケルの島田社長は、「事業は重複が少なく相互に補完関係にある。幅広い分野でシナジーが期待でき、研究開発型メーカーとしての強みを発揮できると確信している」と話す。
両社は、研究開発力を強みに、独自の素材や製剤技術を持つ。今後、独自素材を活かしたサプリメント、キリンの酵母・発酵技術を活かしたスキンケアの共同開発や共同研究を進める。キリンの自動販売機チャネルや、ファンケルの直販チャネルなど互いの販売網も活用。原料の共同調達によるコスト低減、生産設備などインフラの相互活用も進める。
提携の背景について、池森会長は、「今年82歳になり、ファンケルの将来をきちんと判断できるうちに、社員、役員にとって最良の道筋をつけることが自分に課せられた役割と考えた」と話す。
キリンを提携先とした理由は、「ファンケルのブランドを守り続け、独立性を維持しつつ社員、役員を大切にしてくれると思った。キリンHDは協和発酵工業(現・協和キリン)を子会社化して11年経つが同社の企業風土を尊重し、良好な関係を築き続けている前例もある。以前から品位のある会社として好印象を持っていた」と話す。「ブランド価値を守るため、買値を競わせる売り方はしたくなかった」と、当初から1社に絞り話し合いを進めてきたという。
経営の独立性について、島田社長も「尊重してもらっている。経営理念、お客様との関係など重視する点を理解し、従業員を大切にしてくれる会社であることが決め手になった」と話す。
経営の独立性維持、池森会長「会社の将来に最良の道筋」
<会見での一問一答>
池森賢二会長は資本業務提携で、「ファンケルの将来、社員、役員にとって最良の道筋をつける」と話した。資本業務提携により、キリンホールディングスはファンケルに対する一定の影響力を持つことになる。会見における一問一答は以下の通り。
◇
――一般株主を含め、33%からさらに株式取得を進めることは検討したか。
磯崎社長「一定の影響力を持ち、ファンケルの経営にコミットする機会もあるが、現段階で満足している」
――経営の独立性を担保する契約はあるか。
島田社長「ファンケルの上場維持は約束してもらっている。ほかに数点あるが詳細は控えたい。ただ、一般株主を幅広く見て企業価値を高めていく上での独立性と考えている」
――キリンはファンケルの独立性の尊重をどう考えている。
磯崎社長「グループの協和キリンはマジョリティの出資だが、少数株主の方をしっかり尊重している。今回はマイノリティの出資。十分独立性は保てると考えている」
――ファンケルの経営体制はどう変わる。
池森会長「提携が成立した段階で退きたいと考えた。ただ、両社から慰留がある。存在そのものが弊害になってはいけない。いることがプラスかマイナスか、自分自身で考えて結論を出す」
――ファンケルは成長の余力を残した中での決断。市場の競争関係からの判断はあるか。
池森会長「一切ない。決断理由の一つは年齢。もう一つは経営に復帰し業績低迷から再建を果たし、自分の役割はここまでと判断した」
――グループ再編は。
島田社長「協和発酵バイオはサプリのECを展開しているが、中高年、とくに男性に強い。ファンケルは女性のお客様が多い。補完関係にあり現時点で再編の予定はない」
磯崎社長「まずは資本業務提携の中でシナジーを創出していくことが課題。再編は考えていない」
――どのようなシナジーを創出していく。
島田社長「両社が持つ素材、商品、ブランドをいかに組み合わせて活用するか。研究ノウハウを活かした共同開発、インフラの相互活用で効果を出したい。すでにB〓Bの実績もあり、ブランドを組み合わせさらに強力なシナジーが期待できる」
磯崎社長「同じ考え。キリンも研究開発型企業としてよい素材を持っている。ただ、それをどうマーケティングするかという点は単独では難しい。むしろ先行するファンケルの知見に期待したい」
――海外展開におけるシナジーは。
島田社長「中国で化粧品、サプリメントが支持を得て、インバウンドも伸長している。中国本土の展開に向け保健食品の許認可を進めており、来年末からおそらく販売できる。提携で、より中国の方のニーズに合った商品が開発できる。売り上げ伸長につながると期待している」
ファンケル会長で創業者の池森賢二氏やその親族から株式を譲受する。提携に伴い、キリンは、ファンケルに3人の役員を派遣する。
提携の理由について、キリンの磯崎社長は「健康寿命の延伸という社会課題に取り組むファンケルの方針は、健康事業を成長の柱として育成するキリンの方針と完全に一致する」。ファンケルの島田社長は、「事業は重複が少なく相互に補完関係にある。幅広い分野でシナジーが期待でき、研究開発型メーカーとしての強みを発揮できると確信している」と話す。
両社は、研究開発力を強みに、独自の素材や製剤技術を持つ。今後、独自素材を活かしたサプリメント、キリンの酵母・発酵技術を活かしたスキンケアの共同開発や共同研究を進める。キリンの自動販売機チャネルや、ファンケルの直販チャネルなど互いの販売網も活用。原料の共同調達によるコスト低減、生産設備などインフラの相互活用も進める。
提携の背景について、池森会長は、「今年82歳になり、ファンケルの将来をきちんと判断できるうちに、社員、役員にとって最良の道筋をつけることが自分に課せられた役割と考えた」と話す。
キリンを提携先とした理由は、「ファンケルのブランドを守り続け、独立性を維持しつつ社員、役員を大切にしてくれると思った。キリンHDは協和発酵工業(現・協和キリン)を子会社化して11年経つが同社の企業風土を尊重し、良好な関係を築き続けている前例もある。以前から品位のある会社として好印象を持っていた」と話す。「ブランド価値を守るため、買値を競わせる売り方はしたくなかった」と、当初から1社に絞り話し合いを進めてきたという。
経営の独立性について、島田社長も「尊重してもらっている。経営理念、お客様との関係など重視する点を理解し、従業員を大切にしてくれる会社であることが決め手になった」と話す。
経営の独立性維持、池森会長「会社の将来に最良の道筋」
<会見での一問一答>
池森賢二会長は資本業務提携で、「ファンケルの将来、社員、役員にとって最良の道筋をつける」と話した。資本業務提携により、キリンホールディングスはファンケルに対する一定の影響力を持つことになる。会見における一問一答は以下の通り。
◇
――一般株主を含め、33%からさらに株式取得を進めることは検討したか。
磯崎社長「一定の影響力を持ち、ファンケルの経営にコミットする機会もあるが、現段階で満足している」
――経営の独立性を担保する契約はあるか。
島田社長「ファンケルの上場維持は約束してもらっている。ほかに数点あるが詳細は控えたい。ただ、一般株主を幅広く見て企業価値を高めていく上での独立性と考えている」
――キリンはファンケルの独立性の尊重をどう考えている。
磯崎社長「グループの協和キリンはマジョリティの出資だが、少数株主の方をしっかり尊重している。今回はマイノリティの出資。十分独立性は保てると考えている」
――ファンケルの経営体制はどう変わる。
池森会長「提携が成立した段階で退きたいと考えた。ただ、両社から慰留がある。存在そのものが弊害になってはいけない。いることがプラスかマイナスか、自分自身で考えて結論を出す」
――ファンケルは成長の余力を残した中での決断。市場の競争関係からの判断はあるか。
池森会長「一切ない。決断理由の一つは年齢。もう一つは経営に復帰し業績低迷から再建を果たし、自分の役割はここまでと判断した」
――グループ再編は。
島田社長「協和発酵バイオはサプリのECを展開しているが、中高年、とくに男性に強い。ファンケルは女性のお客様が多い。補完関係にあり現時点で再編の予定はない」
磯崎社長「まずは資本業務提携の中でシナジーを創出していくことが課題。再編は考えていない」
――どのようなシナジーを創出していく。
島田社長「両社が持つ素材、商品、ブランドをいかに組み合わせて活用するか。研究ノウハウを活かした共同開発、インフラの相互活用で効果を出したい。すでにB〓Bの実績もあり、ブランドを組み合わせさらに強力なシナジーが期待できる」
磯崎社長「同じ考え。キリンも研究開発型企業としてよい素材を持っている。ただ、それをどうマーケティングするかという点は単独では難しい。むしろ先行するファンケルの知見に期待したい」
――海外展開におけるシナジーは。
島田社長「中国で化粧品、サプリメントが支持を得て、インバウンドも伸長している。中国本土の展開に向け保健食品の許認可を進めており、来年末からおそらく販売できる。提携で、より中国の方のニーズに合った商品が開発できる。売り上げ伸長につながると期待している」