前号に引き続き、ピーチ・ジョンの杤尾学社長に再成長に向けた基本戦略などを聞いた。
◇
―ー新規顧客開拓に向けた取り組み状況は。
「インスタグラムなどのSNS活用を強化している。いろいろなお客様がいるため、インフルエンサーをそろえてアプローチをしないと情報を届けられない。当社には『ピーチスタ』というピーチ・ジョン公認のインフルエンサーチームがあり、常時15人~20人のマイクロインフルエンサーに加入してもらっている」
ーーどんな形で発信してもらっているのか。
「最近だと5月に、プロモーション品番である『ナイスバディブラ』の販促の一環として新宿三丁目店にポップアップストアをオープンし、ピーチスタを含めたインフルエンサーを約500人招待した。ポップアップの一角にフォトスポットを用意し、可愛いミラー越しに自撮りしてSNSにアップしてもらう取り組みを行った」
―ーインスタグラムが軸になるのか。
「自社のSNSアカウントでインスタグラムがフォロワー数18万人と一番多く、前年比20%増以上で伸びている。当社はカタログ制作用にビジュアルコンテンツをたくさん持っているため、SNSでもブランドの世界観を表現しやすい。シーズン感やテーマに沿ったコンテンツを数多く持つことは強みになる。インスタグラムのショッピング機能を使って商品をそのまま購入できるようにしているが、購入者の8割が新規のお客様だ。新規獲得では有効なチャネルとしてとらえており、必ずプロモーション施策と連動させている」
―ーSNS時代にも通販カタログが強みになっている。
「その通りで、カタログ自体が悪なわけでない。実際にカタログの写真にはすごく反応している。ただ、カタログ経由で購入するお客様が減ってきたのは事実だし、ファッション誌なども読まれなくなっている中で、引き続き読んでもらえるカタログをいかに作るかということだ」
―ー新規客の定着化に向けた取り組みは。
「通販では次購入に向けた差し込みを行っている。セール品を購入したお客様には、次回はプロパー商品を買ってもらえるようにプロパー品のお薦め冊子を同封するとか、ベタな手法も行う。今後はカスタマージャーニーの設計に力を注いでいきたい」
―ー2020年3月期の売上高と利益の考え方は。
「今期は売上高よりも利益を重視する。黒字化を目指し今すぐできることを進める。商品の仕込みはすでに終わっており、昨年の時点で拡大策を考えていなければ増収による利益回復は期待できないため、ビジネスモデルの変更によって黒字化を目指す。利益を重視するが、ECを伸ばすための広告費は積極的に使う。増収は来期以降になる」
―ー今期からスタートした中計では海外展開を強化する。
「中期計画では海外戦略をひとつの柱としてとらえ、日本だけでなくアジアで支持されるブランドを目指す。中国、香港、台湾を含めてすべてのお客様に、ピーチ・ジョンの『元気・ハッピィ・セクシー』という価値を提供できる商品戦略、販売戦略をとっていく」
―ー中国市場に期待する部分は大きい。
「海外は中国市場が軸になる。現状、リアル店舗は中国本土に8店舗、香港に4店舗、台湾に2店舗を展開しているが中国は国土が広く、実店舗を特別に多くする方向性ではない。知恵を絞りながら通販で伸ばし、利益を出していくことが大事になる。中国での売り上げ構成比は通販が70%、実店舗が30%で、以前よりも通販比率が大幅に高まり、利益面が改善している」
―ー中国のEC展開で工夫していることは。
「中国では『タオバオ』を通じて販売している。ワコールグループとして中国ワコールと上海ピーチ・ジョンがまとめて商談を行うことで、ワコールの良かった点数が当社の評価にもつながり、ピーチ・ジョンにも無料の広告枠がもらえるなど、グループで連携することを重視している。ワコールは中国で60以上のブランドを展開しており、タオバオも消費者ニーズに合った商品展開を期待している」
―ー海外のMDや広告展開は。
「海外で販売する商品のベースは日本と同じだが、売れ筋が異なるため、量のつけ方を変えている。中国の消費者も今は日本のブランドを好きな人が多いため、日本と同様に中村アンさんを起用した広告ビジュアルで展開している」
ーー中国での売れ方の特徴は。
「中国の消費者はおしゃれへの関心は高まっているが自信がないため、『KOLが薦めるから買う』といった具合になる。誰かに頼るため売れる商品が集中し、当社でも化け物みたいなヒット商品が出てくる。ただ、何が売れるかは当てられない。日本で企画した商品を選んで売ってみたら非常に売れて、次の年はもっと発注するという感じだ。中国市場で売上高を伸ばすには在庫を積むか、売れた商品をすぐ作るかのどちらかしかない。当社は在庫を積み、徹底的に広告費をかけてでも売り切る」
―ー台湾については。
「台湾は自社ECを運営しているため集客面が課題だ。台湾では下着を百貨店で買う人が多い。お店で買いたいニーズが高い独特のマーケットの中で、自社ECでどこまで伸ばせるかになる」(おわり)
◇
―ー新規顧客開拓に向けた取り組み状況は。
「インスタグラムなどのSNS活用を強化している。いろいろなお客様がいるため、インフルエンサーをそろえてアプローチをしないと情報を届けられない。当社には『ピーチスタ』というピーチ・ジョン公認のインフルエンサーチームがあり、常時15人~20人のマイクロインフルエンサーに加入してもらっている」
ーーどんな形で発信してもらっているのか。
「最近だと5月に、プロモーション品番である『ナイスバディブラ』の販促の一環として新宿三丁目店にポップアップストアをオープンし、ピーチスタを含めたインフルエンサーを約500人招待した。ポップアップの一角にフォトスポットを用意し、可愛いミラー越しに自撮りしてSNSにアップしてもらう取り組みを行った」
―ーインスタグラムが軸になるのか。
「自社のSNSアカウントでインスタグラムがフォロワー数18万人と一番多く、前年比20%増以上で伸びている。当社はカタログ制作用にビジュアルコンテンツをたくさん持っているため、SNSでもブランドの世界観を表現しやすい。シーズン感やテーマに沿ったコンテンツを数多く持つことは強みになる。インスタグラムのショッピング機能を使って商品をそのまま購入できるようにしているが、購入者の8割が新規のお客様だ。新規獲得では有効なチャネルとしてとらえており、必ずプロモーション施策と連動させている」
―ーSNS時代にも通販カタログが強みになっている。
「その通りで、カタログ自体が悪なわけでない。実際にカタログの写真にはすごく反応している。ただ、カタログ経由で購入するお客様が減ってきたのは事実だし、ファッション誌なども読まれなくなっている中で、引き続き読んでもらえるカタログをいかに作るかということだ」
―ー新規客の定着化に向けた取り組みは。
「通販では次購入に向けた差し込みを行っている。セール品を購入したお客様には、次回はプロパー商品を買ってもらえるようにプロパー品のお薦め冊子を同封するとか、ベタな手法も行う。今後はカスタマージャーニーの設計に力を注いでいきたい」
―ー2020年3月期の売上高と利益の考え方は。
「今期は売上高よりも利益を重視する。黒字化を目指し今すぐできることを進める。商品の仕込みはすでに終わっており、昨年の時点で拡大策を考えていなければ増収による利益回復は期待できないため、ビジネスモデルの変更によって黒字化を目指す。利益を重視するが、ECを伸ばすための広告費は積極的に使う。増収は来期以降になる」
―ー今期からスタートした中計では海外展開を強化する。
「中期計画では海外戦略をひとつの柱としてとらえ、日本だけでなくアジアで支持されるブランドを目指す。中国、香港、台湾を含めてすべてのお客様に、ピーチ・ジョンの『元気・ハッピィ・セクシー』という価値を提供できる商品戦略、販売戦略をとっていく」
―ー中国市場に期待する部分は大きい。
「海外は中国市場が軸になる。現状、リアル店舗は中国本土に8店舗、香港に4店舗、台湾に2店舗を展開しているが中国は国土が広く、実店舗を特別に多くする方向性ではない。知恵を絞りながら通販で伸ばし、利益を出していくことが大事になる。中国での売り上げ構成比は通販が70%、実店舗が30%で、以前よりも通販比率が大幅に高まり、利益面が改善している」
―ー中国のEC展開で工夫していることは。
「中国では『タオバオ』を通じて販売している。ワコールグループとして中国ワコールと上海ピーチ・ジョンがまとめて商談を行うことで、ワコールの良かった点数が当社の評価にもつながり、ピーチ・ジョンにも無料の広告枠がもらえるなど、グループで連携することを重視している。ワコールは中国で60以上のブランドを展開しており、タオバオも消費者ニーズに合った商品展開を期待している」
―ー海外のMDや広告展開は。
「海外で販売する商品のベースは日本と同じだが、売れ筋が異なるため、量のつけ方を変えている。中国の消費者も今は日本のブランドを好きな人が多いため、日本と同様に中村アンさんを起用した広告ビジュアルで展開している」
ーー中国での売れ方の特徴は。
「中国の消費者はおしゃれへの関心は高まっているが自信がないため、『KOLが薦めるから買う』といった具合になる。誰かに頼るため売れる商品が集中し、当社でも化け物みたいなヒット商品が出てくる。ただ、何が売れるかは当てられない。日本で企画した商品を選んで売ってみたら非常に売れて、次の年はもっと発注するという感じだ。中国市場で売上高を伸ばすには在庫を積むか、売れた商品をすぐ作るかのどちらかしかない。当社は在庫を積み、徹底的に広告費をかけてでも売り切る」
―ー台湾については。
「台湾は自社ECを運営しているため集客面が課題だ。台湾では下着を百貨店で買う人が多い。お店で買いたいニーズが高い独特のマーケットの中で、自社ECでどこまで伸ばせるかになる」(おわり)