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オットージャパンの挑戦 再成長へブランド一新、マスターブランド戦略推進

2019年 5月30日 13:30

 オットージャパンは、5月上旬に展開ブランドを一新した。認知度の高い”オットー”の傘の下に4つのブランドを配置。ブランド間の波及効果が期待でき、リソースの効率運営にもつながるマスターブランド戦略に切り替えた。60代以上の既存顧客を大事にしながらも、40~50代女性を新客開拓のターゲットに据え、シーンや気分、目的などに応じて買い回りしてもらえるように各ブランドのポジショニングも明確に分けた。まずは自社の顧客リストに紙媒体を配布してアクティブ化を図るが、システム投資も行ってウェブ上での提案力を高める。



 
 同社がリブランディングに着手したのは、従来の基幹ブランド「オットー」と約6年前に立ち上げた「ファビア」の両事業が課題を抱えていたからだ。旧オットーと旧オットーマダムは60~70代の顧客が大半で、インターナショナルで個性的なファッションテイストを好み、さらにカタログ顧客が多いことから、このままでは事業として伸びないという危機感があった。

 カタログ中心の事業体からウェブに移行し、持続的な成長を目指す上では、人口が多く、子どもも育って自分のために時間やお金を使えて、ITリテラシーも高い40~50代女性を新規客の主要ターゲットに据える必要があった。

 一方の「ファビア」は新規開拓を目的に2013年に開発した日本のオリジナルブランドで、働く女性のために仕事服を提案している。昨年も大々的にテレビCMを放映するなどして新客獲得や売り上げ拡大につなげたものの、持続的に新客を獲得し、育成してLTVを高めるには社内のリソースが十分ではなかった。

 基幹事業は既存顧客に支えられたオットーで、ファビアでも新客開拓の成果はあったが、ターゲット顧客層に対するファビアの認知度はオットーよりも低かったという。

 同社はオットーとファビアの2枚看板を掲げてマルチブランド戦略を進めてきたが、ファビアが十分に認知されるまでにはコストと時間がかかり、リソースが分散すれば顧客に良い商品やサービスを届けられなくなると判断。”オットー”の傘の下にオットーとオットーマダムをリニューアルした「オットーコレクション」、今年3月に立ち上げた「オットーピトックスタイル」、新ブランドの「オットーウィズ」、ファビアをアップデートした「オットーファビア・フォーワークスタイル」の4つのサブブランドを置く”マスターブランド戦略”に舵を切った。

 マスターブランド戦略のメリットは、サブブランドのひとつを強化するとマスターブランド(オットー)のイメージが良くなり、他のサブブランドにも波及効果が見込める点だという。

 また、戦略転換の前段階として、ブランド開発の手法も刷新。従来のプロダクトアウト型から顧客視点でのブランド作りに着手した。一環として、昨年8月にマーケティング部を新設した。それまで当該部署はなく、EC部隊の中にマーケティング担当がいる組織体だったが、部署を新設して従来のマーケティング機能に加え、カタログ制作やデザインを担当するクリエイティブ部門、市場分析や競合分析、自社分析を行うCBI(コンシューマー&ビジネスインサイト)のチームもマーケティング部に集約。綿密なマーケティング活動をもとに商品や価格、プロモーション、売り場までを顧客視点で考える体制を作った。

 そうした体制下で「オットーピトックスタイル」を開発。顧客をセグメンテーションし、競合も分析した上でチャンスのある領域に向けて商品開発に乗り出したことが、今回のリブランディングにつながっている。

 「オットーピトックスタイル」は、40~50代女性の価値観などに対する調査をもとにコンセプトや世界観を構築。肩肘張らない大人カジュアル服やライフスタイル雑貨を展開するが、同ブランドがオットーのイメージを変える起爆剤として期待しており、全体のリブランディングに埋もれないように先行して始動。「『オットーは変わったのね』と意識してもらった上でマスターブランド戦略を打ち出し、2段階で刷新した」(松島正仁CMO兼マーケティングディレクター)という。

 また、消費者分析の結果、「オットーピトックスタイル」と「オットーファビア・フォーワークスタイル」ではカバーできない領域として、自分のスタイルを持って人生を謳歌している40~50代女性に着目。当該層を補完するために、華やかなお出かけ服を提案する新ブランド「オットーウィズ」を開発した。
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