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独禁法はこれまで事業者間取引において適用されてきた。事業者と消費者間の取引に適用例はない。ただ、「適用の可否でいえば、可能性が排除されるものではない」(公取委)としており、今後、独禁法上の新たな規制に対する考え方を整理する。ただ、公表時期は、「とくに明らかにしていない」(同)としており、政府が6月にまとめる成長戦略の実行計画とは異なるスケジュールで進める。
公取委が4月に行った実態調査では、消費者を対象にしたアンケートも実施。無料のデジタル・プラットフォームサービスの利用をめぐり、自身の個人情報や利用データを提供しているとの「認識がある」と答えた消費者が79%、「経済的な価値がある」との認識が66%に上っていた。
また、プラットフォーマーによるこれらデータの収集、利用、管理に「懸念がある」との回答も75%に上った。これを受け、「取引上優越しているか否か」「不当な不利益を与えているか」「競争への影響」といった観点から考えをまとめる。
公取委は今後、モール運営事業者からのヒアリングを通じ実態把握を進め、事業者間取引における独禁法上、競争政策上の考えも整理する。
大手モールを対象にした調査では、「規約を一方的に変更された」など、不満を持つ利用企業の回答が約5~9割に上った。その内容に「不利益なものがあった」とする回答も約4~9割あった。また、出店・出品審査、商品の販売価格や品揃えに関する同等性条件等の要請に不満を持つ声も多かった。アプリストアの取引慣行に対する調査も同様の傾向が見られた。
調査を受け、事業間取引における独禁法上の考え方は、利用料の値上げなど規約の一方的変更による不当な不利益、出店・出品の不承認や競合商品を販売する事業者の不当な排除、価格・品揃えの同等性条件の要請等による事業者の事業活動の不当な拘束など3つの観点から検討を行う。
競争政策上の観点からは、モール運営事業者による運用や検索アルゴリズムの不透明さなどの観点から検討する。
このほか、事業者と消費者による多面的市場を形成するプラットフォームの特性、データの集積を踏まえた審査など、企業結合審査に関するガイドラインの改正も行う。