スクロールは昨年1月、フランスのアウトドア用品販売会社デカトロン エス・エー社から、アウトドア用品・釣り具通販のナチュラムを買収した。ナチュラムは1996年にネット販売をスタートした老舗ネット販売企業だが、競争激化などもあり業績が悪化。スクロールによる買収直前となる2016年12月期には最終赤字を計上していた。近況や今後の戦略を西田耕三社長に聞いた。
――買収から1年が経過した。
「前期は売り上げが多少伸びて、利益面では黒字に転換する見通しだ。私がこの会社に来たときの印象は、KPI管理はしていても、利益に結びついていないということ。ナチュラムでは年3回ほど大きなキャンペーンをやるが、売り上げ優先ということで全商品送料無料にしていた。ちょうど昨年4月にキャンペーンと宅配会社による運賃値上げが重なったので、注文単位での損益管理を徹底することにした」
「運賃値上げにかなりのインパクトがあり、送料無料となる足切りラインの変更や、送料自体の値上げも行った。ただ、『イベントだから全品送料無料にする』といったキャンペーンには経営的に耐えられなくなっており、これを期にやめた」
――売り上げは落ちたのでは。
「低価格商品が動かなくなった。上期の売り上げは前年割れで推移していたが、当然そうなるだろうという予測はしていた。ただ、注文単価に関しては上がっており、比例して発送個数は減っているため、販管費のうち物流費の占める割合がそこまで上がらず、利益は改善していた」
「売り上げが戻れば利益は出せるということを社員に認知してもらいたかった。下期には拡販のための施策を実行し、増収で黒字を確保する見通しだ」
――どんな施策を行ったのか。
「仮想モールに複数出店して売り場を増やした。また、損益管理がある程度できるようになったので、『このラインまでなら利益が出る』ということを前提に販促を打ち、売り上げにつながった」
――ポイント戦略を強化した。
「そうだ。ポイントを付与した上で送料を加味し、注文ごとに儲けが出るか出ないかを見極められるようになった。粗利が薄い商材なので、少しでも判断を誤ると赤字になってしまうが、精度が高まってきた。そして、こうしたキャンペーンが消費者に刺さるかどうかも問題になるわけだが、そういったことも戦略的にできた。4月以降も、こうした施策の精度を上げていきたい」
――他の通販サイトでの購入できる商品が中心なだけに、価格競争は厳しい。
「プロパー品を扱っている業界はどこも厳しいだろう。そういった意味ではやはり商品政策を強化しなければならない。釣り具、キャンプ用品ともにプライベートブランド(PB)を持っているが、現在はキャンプの方が市況は良く、『ハイランダー』というブランドでテーブルなどが売れている。PBを広げるために商品開発にシフトしていく」
「また、大手アウトドアブランドとのコラボレーション商品や、当社でしか扱わないカラー展開などの開発は続けている。価格競争には巻き込まれにくくはなるが、当たる商品もあれば当たらない商品もあるのが実態だ」
PBの商品企画は社内で行っているのか。
「そうだ。生産は国内のメーカーに委託する場合もあれば、中国の工場で製造する場合もある。スクロールは中国に事務所があるので、連携を強めればもっと良い商品ができるのではないか」(つづく)
――買収から1年が経過した。
「前期は売り上げが多少伸びて、利益面では黒字に転換する見通しだ。私がこの会社に来たときの印象は、KPI管理はしていても、利益に結びついていないということ。ナチュラムでは年3回ほど大きなキャンペーンをやるが、売り上げ優先ということで全商品送料無料にしていた。ちょうど昨年4月にキャンペーンと宅配会社による運賃値上げが重なったので、注文単位での損益管理を徹底することにした」
「運賃値上げにかなりのインパクトがあり、送料無料となる足切りラインの変更や、送料自体の値上げも行った。ただ、『イベントだから全品送料無料にする』といったキャンペーンには経営的に耐えられなくなっており、これを期にやめた」
――売り上げは落ちたのでは。
「低価格商品が動かなくなった。上期の売り上げは前年割れで推移していたが、当然そうなるだろうという予測はしていた。ただ、注文単価に関しては上がっており、比例して発送個数は減っているため、販管費のうち物流費の占める割合がそこまで上がらず、利益は改善していた」
「売り上げが戻れば利益は出せるということを社員に認知してもらいたかった。下期には拡販のための施策を実行し、増収で黒字を確保する見通しだ」
――どんな施策を行ったのか。
「仮想モールに複数出店して売り場を増やした。また、損益管理がある程度できるようになったので、『このラインまでなら利益が出る』ということを前提に販促を打ち、売り上げにつながった」
――ポイント戦略を強化した。
「そうだ。ポイントを付与した上で送料を加味し、注文ごとに儲けが出るか出ないかを見極められるようになった。粗利が薄い商材なので、少しでも判断を誤ると赤字になってしまうが、精度が高まってきた。そして、こうしたキャンペーンが消費者に刺さるかどうかも問題になるわけだが、そういったことも戦略的にできた。4月以降も、こうした施策の精度を上げていきたい」
――他の通販サイトでの購入できる商品が中心なだけに、価格競争は厳しい。
「プロパー品を扱っている業界はどこも厳しいだろう。そういった意味ではやはり商品政策を強化しなければならない。釣り具、キャンプ用品ともにプライベートブランド(PB)を持っているが、現在はキャンプの方が市況は良く、『ハイランダー』というブランドでテーブルなどが売れている。PBを広げるために商品開発にシフトしていく」
「また、大手アウトドアブランドとのコラボレーション商品や、当社でしか扱わないカラー展開などの開発は続けている。価格競争には巻き込まれにくくはなるが、当たる商品もあれば当たらない商品もあるのが実態だ」
PBの商品企画は社内で行っているのか。
「そうだ。生産は国内のメーカーに委託する場合もあれば、中国の工場で製造する場合もある。スクロールは中国に事務所があるので、連携を強めればもっと良い商品ができるのではないか」(つづく)