“持たないニーズ”掴みじわり拡大、注目各社のサブスクリプションサービスの現状は?
2019年 3月25日 15:15
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楽曲ダウンロードや映像配信などの利用形態の1つとして定着化しつつある、「買う」のではなく借り受けて利用期間に応じて代金を支払う形のいわゆるサブスクリプション方式。デジタル商品だけでなく、モノにおいても”持たないニーズ”の高まりを受けて、買わずに借りることができる様々な”サブスク”が出そろい始めている。通販事業者が新たなビジネスとして展開しているものもあり、一定の成果をあげているところも出てきているようだ。注目各社のサブスクリプションサービスの現状を見ていく。
定額で最新クラブを何度でも
ゴルフダイジェスト・オンライン
ゴルフ用品のネット販売などを行うゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)は昨年10月から、最新のゴルフクラブを軸としたサブスクリプション型サービス「TRY SHOT」を開始後、利用者数を順調に伸ばしているようだ。
「TRY SHOT」とは通販サイト内の対象商品について1カ月(月々の支払額は税込3980円)、3カ月(同2980円)、6カ月(同)のプランの中から希望の利用期間を選び注文すると、購入前に商品を実戦で試すことができるもの。プラン満了時には「そのまま購入」か「返却」を選ぶことができる。
そのまま購入する際は、商品代金からそれまで月額で払っていた利用料金を引いた残価のみを支払う仕組み。対象商品は通販サイトでのクラブ購入時と同様に、「シャフト」「番手・フレックス」「長さ・ライ角」などのモデルスペックから選択することができる。
一般的に実店舗などではケージ内のネットに向かって数回試し打ちをして購入を決めるケースが多いが、同サービスでは練習場やゴルフ場などに持って行って実際に試すことが可能となり、より自分に合ったクラブを見つけることができるという。
現在の利用状況は、そのまま購入する顧客もいれば、最初から購入する意思を持たずに最新クラブを数カ月間だけ借りる感覚で何度も利用する顧客もいるという。地域によっては雪などで年間を通じてゴルフができない場合もあり、限られたシーズンでの利用だけならサブスクリプション型の方が都合が良い顧客もいるようだ。アイテム別の比率ではドライバーが4割台、次いでアイアン、パター。パターに関しては試打のイメージはあまりなかったものの、一定の利用率があるもよう。
また、開始3カ月間の内、利用者の4分の1が初めて同社の通販サイトでクラブを購入した顧客だという。これまでゴルフ場予約サービスの利用やボール、ウェア類の購入は行っていたもののクラブに関しては実店舗で購入していたという層で、数万円のクラブをネットで購入するということに抵抗があった顧客をうまく開拓できた有効な施策と捉えている。現在のところ、同サービスの受注数は計画の3倍となるなど好調に推移している。
中古品販売にも好影響
同サービスで利用されて戻ってきたクラブは、中古商品として販売。発売されたばかりの新モデルを中古販売できるということでリセール市場での価値も高く、安定した収益源になっている。「サブスクリプションで手数料収入が毎月入って、クラブが戻ってくるとそれを(中古品として)再商品化できるので2回の商いができる」(同社)と説明。同市場では最新クラブを顧客から中古品として買い取りで調達するには、競合他社に負けないための買い取り価格設定が必要となるが、同サービス経由であればそうした手順も不要で、最小限のコストで安定した調達ができる。
今後は同サービスを通じてクラブ売り上げを1割程度引き上げる考え。対象商品をクラブ以外にも広げており、距離測定器類の取り扱いも開始している。測定器はクラブよりも品質が劣化しにくく、中古市場では人気がある。また、アイテムの特性上、店内よりもゴルフ場で実際に試したいというニーズが高く見込めることから、利用拡大を期待している。