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【藤原義昭執行役員に聞く コメ兵のマーケティング戦略は?】 商品の編集力で価値高める、稼げる自社メディアを育成

2019年 2月21日 16:45

 リユース品販売大手のコメ兵は、主要顧客層の40~50代に加え、ミレニアル世代との接点作りを強化している。自社のリソースを活用したオウンドメディアの拡充や外部ECモールへの出店も加速している。通販サイトで気になった商品を購入前に店舗で確認できる取り寄せサービスも好評で、店頭の接客力を武器にEC関与売上高を伸ばしている。同社の藤原義昭執行役員マーケティング統括部長に、ブランディングを含めたマーケ戦略などについて聞いた。

 ――フリマアプリの浸透もあって消費者のリユース品に対する抵抗感は薄れてきている。

 「CtoCのリユース市場は間違いなく広がっている。ユーザーの消費行動が中古と新品で分かれているのではなく、消費者のスマホの中にプラットフォームが入っていて、服を探すときにメルカリをチェックする”メルカリファースト”といった動きもある」

 ――売ることを前提に新品や中古品を買う人が増えているという。

 「リセールバリュー(再販価値)については、ハイブランド品を扱う当社では今に始まったことではない。時計でロレックスが売れるのは再販価値があるからだ。買う側も再販価値を意識しているし、当社も店頭接客時に後々の売りやすさも伝えている。供給量よりも需要の高いブランド、商品の再販価値は高まる。一方で、誰も知らないような時計は安くなるが、時計のマニアからすると『こんなに安く売っているの?』という宝探しのような楽しさもある。ECでも実店舗でもセレンディピティー(偶然の発見)はあり、品ぞろえの中には単に安いものだけでなく、レア化したものも重要だ。当社では、商品は作れないが『商品を編集する』という部分で価値を出せる」

 ――実店舗とECの主要顧客層に違いは。

 「両チャネルとも40~50代が多く、課題はデジタルネイティブなミレニアル世代の獲得だ。若者のブランド離れとか、車離れなどと言われているが、欲しくても買えないというのが実情ではないか。当社に限らずラグジュアリー市場は若い人との取っかかりを作ることが大事になる。最近はルイ・ヴィトンもストリート系ブランドとコラボした商品を展開するなど、クールに見せることを心がけている。リユース品はどうしてもワンテンポ遅れるが、そうした若い層に向けた商品も入ってくるため、『自分には関係ない』と感じているミレニアル世代にも届けていきたい」

 ――ミレニアル世代を含め、店やECに来店してもらうための接点作りを強化している。

 「デジタル領域ではオウンドメディアに力を入れている。男性向けの高級時計にまつわる情報マガジン『トケイ通信』を2015年にスタートしたが、最近ではブランド通な女性のためのメディア『KOMEHYOのブランドブログ』を始めた。時計や宝石、バッグなど、お客様によって関心のある領域が異なるため、ひとつの領域を深堀りすることが大事になる」

 ――ブランド品に関するノウハウも生きる。

 「その通りだ。『トケイ通信』であれば、当社には時計の知識を持つ社員がたくさんいる。店頭接客は1対1だが、ウェブ上では1対nとなる。広告運用でEC集客を図ることもしているが、もう少し手前の段階で、例えばロレックスについて調べたいというユーザーに向けたメディアが少ないのが現状だ。当社では記事も内製化しており、『トケイ通信』を始めてから時計を購入する比率も高くなり、稼げるメディアに育ってきている」

 ――外部ECモールへの出店も強化している。

 「基本的にひとつのプラットフォームに肩入れしてそこだけでグッと伸ばすようなことはしない。ビジネス全体として見ており、いろいろなプラットフォームに出て新しいユーザーとのタッチポイントを作りたい。昨年3月には『ゾゾユーズド』がマーケットプレイス事業を始めたのにあわせて出店した。ファッション好きが多く集まるという点で他のモールと特徴が異なる。大体予想通りに推移しており、顧客層が10歳くらい若いため売れるものも違う」

 ――今年1月末には「ワウマ!」や「リーボンズ」にも出店した。

 「シンガポール発のオンラインマーケットプレイス『リーボンズ』については、アジア市場が大きくなるのは間違いないため、将来を見据えて出店した。システムを組む前に販売テストを行ったが、女性ユーザーを中心にバッグや財布、ブランドジュエリーなどの反応が良く、日本で鑑定されたリユースアイテムへのニーズの高さを感じた。携帯キャリアが手がける総合ECモール『ワウマ!』でもテスト販売の結果を受けて本格出店を決めた。顧客数の分母が大きいau経済圏ではリーチできる層が圧倒的に広がる」(つづく)

 
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