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「消費者向けeコマースの取引実態に関する調査」は、昨年1月~11月にかけて実施。アマゾンジャパンや楽天、ヤフーなど仮想モールを運営するIT大手の取引先の小売業者等を主な対象にしているとみられる。また、モールで月1回以上商品を購入する消費者2000人に対するインターネット調査も行った。
モール運営事業者と小売業者、消費者の関係では、小売業者の出店が上位3モールに集中していた(モール事業者名は非公表)。上位3社への出店(複数回答)は、54~71%であるのに対し、4位以下は9%以下。消費者が利用したことがあるモールも上位3社で61~86%を占めた。
出店者が、モールでの販売をやめることに対する難易度は、「容易に取りやめることができる」が32%。一方「可能だが、容易とまではいえない」(40%)、「かなり困難」(16%)、「不可能(著しく困難)」(11%)と、取引依存度の高い事業者が多数存在することも明らかになった。
取引条件に不満を持つ事業者も多く存在する。
利用料の一方的な値上げに「不満がある」と答えた出店者は38%。出店・出品をめぐる審査にも「審査は行われたが、審査基準は開示されなかった」との回答が40%に上った。モールにおける顧客情報の利用制限も「商品の発送以外は顧客情報を利用できない」、「退店後は顧客情報を(自社独自のダイレクトメール等に)利用できない」との回答がいずれも46%に上った。
モール運営事業者が不当に利用料や決済方法を変更して不利益を与えた場合、独禁法「優越的地位の濫用」のおそれが生じる。また、出店・出品の審査基準もモール運営事業者が、独禁法上違法な行為の実効性を確保するために出店・出品を拒否したり、退店させた場合、「単独の直接取引拒絶等」で違反になる。
とくに自ら小売を行う有力モールが、競争者排除の目的で出店拒否や退店を迫ったり、出店者による販売を通じて入手した情報を自らの小売を有利に行うために利用し、出店者に利用させずに出店者の小売を不当に妨害した場合、「単独の直接取引拒絶等」、「競争者に対する取引妨害」で独禁法違反のおそれが生じるとして厳正に対処する方針を示した。
このほか、「モールへの出店制限」や「MFN条項(最恵国条項)」に対する調査を行ったがモールによるこれら要請は確認できなかった。公取委は、出店者の予見可能性を確保するため、モール運営事業者に可能な限り取引条件の透明化に取り組むよう求めた。