スタートトゥデイ100%子会社のクラウンジュエルは、3月1日に「ゾゾタウン」内のブランド古着専門店「ゾゾユーズド」でマーケットプレイス事業をスタートし、ハイブランド品の取り扱いに定評のあるコメ兵など2社が同日から出店した。主戦場の販売チャネルや得意とする商品ジャンルなどに違いはあるものの、リユース市場では競合するクラウンジュエルの宮澤高浩社長とコメ兵の藤原義昭執行役員に、二次流通の市場環境やタッグを組んだ理由、マケプレ事業の出だしの状況などについて聞いた。
――ファッションリユースの市場環境は。
コメ兵・藤原氏(以下、藤原)「近年はリユース市場でもウェブの売り場が増えている。当社は実店舗中心だが、ウェブにシェアをとられているわけではなく、ウェブの普及でリユース品に触れる消費者が増えて市場自体が広がっている。影響を受けている企業もあるが、当社はハイブランドに強く、EC化の流れは歓迎している。高額品の販売は信用力が不可欠なため、店舗も含めた信用力が強みになる」
――古着市場は。
クラウンジュエル・宮澤氏(以下、宮澤)「当社や、メルカリさんなどのC〓C型フリマアプリの成長もあって、この数年で古着の認知が高まっており、服を買うときの選択肢のひとつに入るようになったことでチャンスが広がっている」
――マーケットプレイスを始めた理由は。
宮澤「スタートトゥデイグループの中でユーズド事業は順調に伸びてきたが、このタイミングだからこそ、もっと成長ドライブをかけたいと思った。そのためには商品の量やカテゴリーをもっと厚くしていく必要がある。自社で商品調達に力を注いでいるが、マーケットプレイス型にすることで、お客様のニーズに今まで以上に応えられる」
――競合に売り場を提供することになる。
宮澤「システム開発を含めた物流フローの見直しも必要で、決断のいることではあったが、コメ兵さんに出店してもらうことで、とくにハイブランド品の強化につながるメリットがある」
――出店の決め手は。
藤原「理由はふたつあって、ひとつはリユース業界に貢献できると考えたこと。もうひとつは、リユース市場の主戦場もリアルからデジタルに向かっていくと判断した。そのときに、どうやってお客様を獲得していくかが重要になる。プラットフォームに出店しても顧客データは得られないが、そこは割り切って考えていく」
――競合の売り場に出店することに迷いは。
藤原「『ゾゾユーズド』の中で販売させてもらっているため、認知拡大に期待している。当社の名前が大きく出ているわけではないが、お客様は当社の商品を買っていると想像できるのではないか。売り上げにつながるという期待感ももちろんある」
――客層の違いは。
藤原「当社のターゲットはゾゾさんよりも上の45歳~60歳で、当社としてはデジタルネイティブのミレニアム世代の開拓が課題だ。他のECモールにも出ているが、価格や品ぞろえ、信用力など、各モールでお客様の求めるものが違う。『ゾゾユーズド』はファッション好きのお客様が多く集まるという点で他のモールとも特徴が異なる」
――売れる商品は。
藤原「当社はマスに近い商品がよく動くが、『ゾゾユーズド』では尖った商品が売れる傾向にある。店頭では比較的残りやすかったが、今後は尖った商品も高く買い取れるようになる」
――マケプレの出だしはどうか。
宮澤「すべり出しは良い。既存のお客様がしっかり回遊している傾向が見えていて、高額品の購入もある。これまでになかった価値を提供できているのではないか。今後、『ゾゾタウン』の中で定期的にターゲティングしながらマケプレの認知向上を図っていく。元々、検索流入が多いため、商品が増えれば増えるほど上位表示され、さらに検索流入が増えることも期待できる」
――「ゾゾユーズド」に望むことなどは。
藤原「マーケットプレイスは悪いモノが入ってくると場が荒れるし、既存の出店者も同列で見られてしまうため、質の高い売り場を維持することが重要で、出店企業を厳選しているクラウンジュエルさんの方針は良いことだと思う」
――ゾゾが3カ年計画を発表した。
宮澤「当社もグループの中計に沿ってアクセルを踏む。ゾゾユーザーが増えている中、ユーズド事業としてどのような価値を提供できるかが大事で、自力で用意できない商品を提案できるという意味でもマーケットプレイスの存在は大きい」
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