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【終わらない「葛の花」事件】 KC's、適法性判断なく「圧力」、一方的な返金要求に不満蓄積 

2018年 4月12日 10:06

 顧客に代わり損害賠償請求権限を持つ特定適格消費者団体(特定適格)の要請が強まっている。消費者支援機構関西(=KC's)は今年3月、「葛の花」の処分企業に顧客への返金を求める「申し入れ兼要請」を実施。顧客への通知や返金、返金状況の定期報告を求めた。だが、法適用の明確な司法判断もないまま、その権限が持つ「圧力」を背景にした要請に企業側の不満が蓄積している。

 KC'sの要請は、景品表示法で「不当表示」との判断が下された「葛の花」の痩身効果が、消費者契約法の「不実告知」にあたるとの前提に行われている。要請書でも「不実告知」であると断定。消費者への返金(契約無効に伴う返金)を求め、3月30日を期限に企業側に回答を依頼している。

 特定適格としての要請では、「葛の花」の購入顧客に「消契法上の不実告知にあたる旨」と「返金を求めることができる旨」の告知を求めている。

 返金の対象者や期間、方法も細かく定め、対象者は、違法認定を受けた表示期間と表示を止めて半年後までに購入した顧客。通知から1年は返金に応じることを求め、方法は「返金入力専用ウェブページ」を開設するなど消費者に負担のない方法の提供を要請している。また、通知や返金実施状況の定期報告も求める。

 こうした要請に応じ、返金している企業に対しては「提訴することはない」とする。一方、回答を拒否する企業には「何らかの対応を検討せざるを得ない」と提訴を匂わせる書面が届いている。

 ただ、違法性の判断を前に企業自らに消契法違反と認めさせようとする行為に「まるで景表法の調査段階で社告掲載を迫る消費者庁と同じ」「(権限付与の)趣旨を超えており違和感を覚える」といった声が相次いでいる。

 KC'sは、書面で特定適格ではなく、"いち消費者団体"としての立場からの要請も行っている。内容は「貴社以外の販売者(=他社)から商品を購入した消費者から返金を求められた時は、これに応じること」というもの。おそらく卸販売などを想定したとみられるが、これにも「そこまで要請されるいわれはない」「要請の意味が分からない」と不満がある。

 本紙掲載までに回答が得られたすべての企業は、顧客から申し出があった場合、返金に応じるとしている。ただ、判断が分かれるのは返金の「通知」。ある企業は「社告掲載時に"何かあれば問い合わせフォームへ"と手紙を出した。そこに返金に応じる旨も含まれる」と改めて通知をしない。

 一方、「社告掲載時は違反の事実とお詫びを伝えただけ」と捉える企業は改めて顧客に通知する。再通知にかかる費用は数百万円。だが、要請書では「通知に要請内容が十分反映されていると考える場合は『通知内容の写しを添付せよ』と書かれている」として応じる。「企業の対応に多少の差が出るのは仕方がないこと。ただ、自分達なりに通知もし返金にも誠実に応じているのに一言一句まで指定され、自らの考えに従わない企業に圧力をかけるのはおかしい」といった声も上がる。

 定期報告にも大半の企業が「応じる」としている。ただ、その期間や手法があいまいなため、「KC'sの回答待ち」という企業もある。

 要請に「完全無視」を決め込む企業もある。「適切な対応は行っており、法判断があいまいな段階で適格団体に介入されることが不快」というのがその理由。個々の顧客に通知し、返金の申し出にも応じているものの、団体への回答はしない考えを持っている。

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