米アマゾン・ドット・コムが公表した前期(2017年12月)における日本(=アマゾンジャパン)の売上高は前年比10・2%増の119億700万ドルだった。同社が2月2日に米証券取引委員会に提出した年次報告書で明らかにした。同年の平均為替レート(112・2円)で円換算すると1兆3360億円となり、2016年12月期の日本の売上高を円換算した数字(※同年の平均為替レート109円で計算)は1兆1768億円だったため、それとの比較では13・5%の増収となった。
アマゾンジャパンは前期、配送業者の配送費値上げ要請や同社が取引先などに対して課していた競合サイトと同等かより安い価格・最多の品ぞろえとしなければならないなどの条件が独占禁止法に抵触する恐れがあるとの公正取引委員会の指摘を受けて取引条件の見直しを行ったり、虚偽の参考価格を掲載するなどで景品表示法違反で消費者庁より措置命令を受けるなど様々な問題で揺れたものの引き続き、品ぞろえの拡充や有料会員「アマゾンプライム」の増加施策などが奏功、また、恒例の夏の大規模セール「プライムデー」などの販促策も好調で売れ行き自体は順調に推移した模様。一方で4月からは生鮮品販売サービス「アマゾンフレッシュ」を、9月からは法人向けのネット販売「アマゾンビジネス」をスタート。11月からはAIスピーカー「アマゾンエコー」の販売も開始するなど既存事業だけでなく、さらなる成長のための一手も展開している。また、スピード配送「プライムナウ」用の新たな配送拠点を6月に東京・三鷹市内に設けて同サービスの対象エリアを広げたり、10月には拡販に注力するファッションアイテムの専用配送拠点を大阪・藤井寺市内に新設するなど設備投資も着実に行い、物量のさらなる拡大に備え抜かりなく準備を整えている。
なお、米アマゾンが公開した日本事業の売上高はアマゾンによる直販分や仮想モール事業における手数料収入など日本のアマゾンの売上高となり、「マーケットプレイス」に出店・出品する他社の売り上げを含んだ日本のアマゾンの流通総額ではない。流通総額は明らかにしていないが、関係筋によると2・2兆円程度となっている模様。
同報告書では日本以外にも地域別の売上高も公開しており、米国、ドイツ、イギリスの2016年売上高はそれぞれ1204億8600万ドル(前年比33・3%増)、169億5100万ドル(同19・8%増)、113億7200万ドル(同19・1%増)、それ以外の地域の合計売上高は同53・8%増の171億5000万ドルだった。
米アマゾン全体の2017年12月期の連結決算は売上高は前年比30・7%増の1778億6600万ドル、純利益は同27・9%増の30億3300万ドル。売上高の内訳はデジタルコンテンツを含む仕入れ商品の直販「オンラインストア」が同18・5%増の1083億5400万ドル、「店舗販売」が57億9800万ドル(主に昨年子会社化した米食品スーパーのホールフーズの売り上げのため、前年比は出ない)、マーケットプレイス事業などでの手数料収入などの「サードパーティーセラーサービス」が同38・6%増の318億8100万ドル、有料会員「アマゾンプライム」の会費や定期販売ビジネス関連などの「サブスクリプションサービス」が同52・0%増の97億2100万ドル、グループのアマゾンウェブサービスが展開するクラウドサービスの売り上げなどの「AWS」が同42・8%増の174億5900万ドル、広告サービスやクレジットカード契約など「その他」が同57・7%増の46億5300万ドルとなっている。