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フェリシモ・コレクション事業の現状② 「クラスター化」進める、ファッションはコラボ重視

2017年11月16日 11:43

フェリシモヒンメリ.JPG
 今年3月から展開している、インテリア雑貨の新ブランド「SeeMONO(シーモノ)」。クラスター開発本部コレクション企画事業部の赤木圭史部長は「『こんなものがあったらいいな』という雑貨に、作る楽しさを加えて、『集めて良かった』となってもらえることを目指して立ち上げた」と話す。「楽しいもの」を提案し、毎月届けるというコンセプトの商品だ。

 8月中旬に販売を開始して、人気商品となっているのが「びんの中に閉じ込めた植物標本 手づくりハーバリウムキットの会」。「ハーバリウム」とは、オイルで満たした瓶に入った植物標本のことで、SNSで人気が高まっている。また、春に発売した中での人気商品は、フィンランドの伝統的な麦わらでできた装飾品である「ヒンメリ」が作れる「天井に揺れる北欧のモビール ナチュラルカラーのストローで作る手づくりヒンメリキットの会」だ。赤木部長は「どちらも生活必需品ではないし、何かに役立つアイテムというわけでもない。機能や価格を重視して継続購入するのが一般的だが、シーモノは『うるおい』や『豊かさ』を毎月楽しんでもらえればと思っている。役に立つかどうかではなく『好きだから集める』という気持ちに、どうアプローチできるか」と話す。

 ハーバリウムもヒンメリもニッチな商品だが、どのように需要を発見し、商品開発をしているのか。「SNSで『こんな商品が求められているのかな』と探っている。あとは、需要に合致させるためにどうチューニングしていくかが重要になる」(赤木部長)。

 「ミニツク」もシーモノも近年立ち上げた新たなブランド。シーモノに関しては「インスタ映え」との相性が良いこともあり、今期はインスタグラムなどSNSでの情報発信を重視していることから、新規顧客の獲得数は増加傾向にある。以前は既存顧客から発生するくちコミが重要だったが、最近はフェリシモの顧客ではない消費者がSNSを見て「いいね!」をして、それを見た別の消費者が買いたくなるという広がりが生まれている。「ニッチな商品が多いので、単に広告を出しても費用対効果が厳しい。それが好きな人にどう知らせるか」(同)。

 クチュリエに関しては、売り上げは堅調に伸びており、2017年2月期についても前期並みで推移したという。手芸初心者向け「きほんのき」なども好調だ。インスタグラムで発売前に新商品を告知したり、作り方が難しい商品のライブ配信を行ったりするなど、消費者とコミュニケーションを取る機会を増やしており、好評という。

 ただ、全社でみれば、売り上げの比率が大きいのはファッション関連。客数が減り、全社売り上げも漸減している中で「そろそろ底に来ていると思っており、ゆるやかに売り上げを戻していきたい」(広報)とするが、「ファッションは消費者の選択肢が増えて競争が激しくなっており、気温や気候に左右される面が大きい」(同)のが実情だ。

 ファッションについては、ジャストワン商品を増やしたことで、トレンドカラーを取り入れやすくなった。また、広告宣伝については、折込チラシや雑誌広告から、テレビCMやウェブ広告に切り替えており、テレビからウェブへの連動が進むことで、新規顧客や復活顧客は増加傾向にある。

 また、今後は全社的に「クラスター戦略」を強化する。これは、ニッチではあるが確実にファンがいる商品やサービスを立ち上げるというもの。「さらにニッチな部分を掘り下げて、グローバルに顧客を取り込んでいく」(同)。ファッションについては、著名人とのコラボレーションを進めるほか、ユニークなテイストのブランド「シロップ.」も立ち上げた。

 ただ「ファッションは手強い。雑貨関連の方が独自の世界観を作りやすい」(同)と認めるように、ライバルが多く「フェリシモらしさ」を打ち出すのが難しい分野。同社では「ジャストワン商品を買った顧客にコレクションの魅力を伝える、コレクション商品を購入した顧客に、それに合うジャストワン商品の購入を勧める取り組みも行う」(同)とする。ファッションの売り上げ減に歯止めをかけられるかが、復活に向けたカギになりそうだ。  (おわり)


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