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自治体による国への要望は、春と秋の年2回、予算の拡充など定例的に行っている。今回の要望はこれとは別。相談件数の急増を受けた異例の要望になる。
要望は、松本純内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全、防災担当)宛て。
特商法で定められている表示事項「商品もしくは権利の販売価格または役務の対価」(第11条第1号)について、定期購入の場合を考慮し「総額」を明記することを求めている。また、注文内容を最終的に確認する画面で、定期購入の総額を表示することを特商法の施行規則やガイドラインの改正で対応することを要望している。
「法改正にすぐ持ち込むのは難しいため、ガイドラインで対応するのが現実的」(県消費生活課)とする。近く、具体的な改正の方法論について国に説明を行う予定。「他県に先駆けての要望だが、ほかの県でも同様のトラブルは増えている」(同)としており、必要な措置に結びつかない場合、全国知事会で賛同を求めていくことも検討する。
一方、消費者庁は要望に対し、「問題意識は分かるので注視する」としつつ、「現行法で対応可能」と、法律やガイドライン改正は行わない意向を示した。特商法にも景表法の有利誤認と同様に表示を規制する規定(第12条、誇大広告の禁止)があり、これを運用していく。「総額」表示は「定期購入は期間(4~6回など)に一定の定めのある場合の方が少ないため、総額表示を求めるのは難しい」として否定的な見方を示した。
県によると定期縛りを巡る相談件数は、5年前の11年度に97件。15年度は483件に増え、16年度は9カ月間(昨年12月末)で約8倍となる797件まで増えた。SNSなどを通じた広告で「お試し」「送料のみ負担」などと表示。1回だけの購入のつもりが定期購入になっており、中途解約を拒否されるトラブルが増えている。
定期縛りのトラブルを巡っては、これまで消費者団体が企業に表示改善の申し入れを行って対応するケースが多かった。埼玉県内の適格団体もこれらトラブルで申し入れを実施。「申し入れを行っていることは把握しているが、消費者団体から直接(法改正等を求める)要望はきていない」(同)としている。