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ヤマト運輸  信書とEMSの制度見直しを提起

2017年 2月 2日 10:12

 ヤマト運輸は1月27日、信書と国際スピード郵便(EMS)の制度見直しを提起する特設サイトを開設した。2015年11月に行った宅配便の公平・公正な競争を求める一般紙への意見広告に関し、これまで特設サイトを設けてきたが、今回はその後の情勢変化などを追うとともに、具体的な事例を掲げて日本郵便への優遇などの問題点を挙げるとともに意見募集を行っている。定義が曖昧とし送り主も処罰リスクのある信書では「外形基準」を採用して罰則規定を見直すこと、税関や検疫などで優遇されるEMSは信書以外の荷物でユニバーサルサービス適用を廃止した上で通関と検疫の簡素化を見直すことを訴えている。

 信書に関しては「問題は放置されたまま」というのがヤマト運輸の見解。「内容基準」のため、同じ文書でも送付する状況や文面のわずかな違いにより、信書に該当したりしなかったりという点が問題という。このような曖昧な制度である上に、郵便や信書便以外で信書を送った場合には運送事業者だけでなく送り主も罰せられる点の理不尽さを訴え、送り主への罰則を廃止すべきとしている。

 日本郵便が昨年10月に法人対象だった小さな荷物用のメール便の一種「ゆうパケット」を個人向けにも発売したが、ヤマト運輸は同サービスが郵便ポストへ差し出すことができることから、利用者が信書を送れるものと誤認することを懸念している。このことからも送り主への罰則規定は廃止するべきで、さらにゆうパケットのような荷物を運ぶサービスを郵便ポストで引き受けるべきではないとの見解を示している。

 またヤマト運輸は15年3月末にメール便「クロネコメール便」を廃止したが、その後に日本郵便がいくつかのサービスに関し値上げしたことに触れている。昨年6月に大口利用の区分郵便の割引率引き下げ、同月のEMSの一部料金の値上げがあったほか、今年6月にハガキや一部定形外郵便物、メール便「ゆうメール」の値上げを予定している。ヤマト運輸がクロネコメール便を廃止することがなかったならば(公平・公正な競争があったら)、据え置かれた可能性があったと見ている。

 このほか信書に関しては日本郵便の「レターパック」や「スマートレター」などは信書と非信書も送れるサービスとして販売されているが、貨物市場を侵食して民間の競争を妨げるものと懸念を示している。

 一方、EMSについては、諸外国でユニバーサルサービスとして除外されているという。それにもかかわらず日本ではユニバーサルサービスと位置け、航空機からの荷卸し時における優先取り扱い、通関・検疫などでの一般貨物と異なる簡易な取扱いといった優位な状況にあるとしている。

 インターネットの普及により越境通販が拡大し、中国の通販商品の輸送手段としてEMSの利用が多くを占め、さらに13年からは生鮮食品などを輸送する「クールEMS」も登場している。本来、個人向けサービス(総務省の09年の見解)であるはずのEMSが商業貨物での利用が拡大・増加していることにより、民間事業者の提供する国際小口輸送サービスと競合する状況になっていると訴えている。そこでEMSの利用実態をしっかりと調査・把握した上でコ草的な貨物市場のイコール・フィッティングを確保するために、EMSを郵便事業の範疇でなく貨物運送事業の対象としユニバーサルサービスから除外するよう見直すべきとしている。

 またEMSの簡易な通関手続きなどが不正薬物やコピー商品の流入を助長していること、未知の最近や病原菌が国内に持ち込まれる危険もあることなども問題点としてあげている。

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