千趣会 JFRオンラインの全事業譲受、シニア層との接点拡大へ
千趣会は12月27日開催の取締役会において、Jフロントリテイリング連結子会社のJFRオンラインを、千趣会が100%子会社として新設するフィールライフが譲受することを決めた。事業譲受契約の締結日は2月中旬、事業譲受期日は3月1日を予定。金額は非公表だが、譲受資産と負債はそれぞれ最大で5億円未満を見込んでおり、譲受額も僅少となる見通し。
千趣会は中長期経営計画における重点施策のひとつにシニア層の獲得を掲げており、今回の事業譲受により「大丸・松坂屋」の冠を引き続き使用した通販カタログで当該層へのアプローチ強化につなげるとともに、JFRオンラインが持つ約30万人のシニア女性を中心とした顧客基盤を活用し、30代~50代後女性を主要顧客とする千趣会通販事業との連続性を図りたい考え。
JFRオンラインについては、1988年に大丸(現・大丸松坂屋百貨店)が行うカタログ通販事業の分社化により大丸ホームショッピングとして設立し、11年に商号変更。「大丸・松坂屋 通信販売カタログ」を主力媒体としてファッションからインテリアまで幅広い商材を提案してきた。
15年4月のJフロントと千趣会との資本業務提携以降は、同社の通販ノウハウをJFRオンラインに活用し、カタログ媒体制作や顧客管理などの強化に取り組んできたものの、JFRオンラインの16年2月期業績は売上高が前年比21・0%減の116億2300万円、営業損失は3億9400万円、当期純損失が6億9000万円で、売上高はこの3年間で約56億円目減りし、利益面も3年連続の赤字となり、今期も厳しい環境にあることから、自力再生は難しいと判断した。
新会社のフィールライフは1月中旬に設立予定で、資本金は2億5000万円。社長には千趣会からJFRオンラインに取締役として出向中の貝原利顕氏が就任する。また、同社には千趣会から4人が出向しているが、新会社には約20人が出向するという。Jフロントからの出向者に関しては、同社グループ内の別会社に再配置する形となるようだ。
今後、JFRオンラインが使用している物流拠点やコールセンター、システム、フルフィルメント業務などは、経費削減と事業の効率運営の観点から千趣会の中で一体運営していくと見られる。加えて、JFRオンラインの顧客はシニア層が多いため、ウェブ経由の売上高は全体の3%にとどまっているが、ネット受注比率の高い千趣会グループが事業を引き継ぐことで、ウェブ活用についてもメスが入ることになりそうだ。
今回の千趣会による事業譲受に関して、カタログ事業で競合する総合通販各社からは、「JFRオンラインが昨年、下請法に基づく勧告と指導を受けたこともJフロントが事業を手放す一因になったのでは」との声や、「カタログ事業の厳しさを考えると他人事ではない」とする百貨店通販の担当者の意見に加え、「全チャネルが補完し合うオムニ化の流れの中にあって、カタログ単独で生き残るのは難しい」とし、ウェブ受注の強化や店頭連携などの取り組みに注目する向きもある。
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JFRオンラインについては、1988年に大丸(現・大丸松坂屋百貨店)が行うカタログ通販事業の分社化により大丸ホームショッピングとして設立し、11年に商号変更。「大丸・松坂屋 通信販売カタログ」を主力媒体としてファッションからインテリアまで幅広い商材を提案してきた。
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今後、JFRオンラインが使用している物流拠点やコールセンター、システム、フルフィルメント業務などは、経費削減と事業の効率運営の観点から千趣会の中で一体運営していくと見られる。加えて、JFRオンラインの顧客はシニア層が多いため、ウェブ経由の売上高は全体の3%にとどまっているが、ネット受注比率の高い千趣会グループが事業を引き継ぐことで、ウェブ活用についてもメスが入ることになりそうだ。
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