アマゾンジャパンが来春にも生鮮食品の配送サービス「アマゾンフレッシュ」を開始する模様だ。会費を徴収した会員に対し、青果や魚、和洋菓子など日持ちしない新鮮な食品などを受注日の当日または翌日に配送するもの。まずはアマゾン側で選んだ約40社の食品販売事業者の食品で展開する模様で今後、品ぞろえを増やしていくようだ。対象エリアはスタート時点では東京23区のみとなるよう。「アマゾンフレッシュ」は米アマゾンなどですでに展開中のサービスで日本でも近々のスタートが噂されてきた。"日本版アマゾンフレッシュ"の開始は日用品通販各社やネットスーパー各社、食品宅配各社などの競合他社へ影響を与えることは必至で各社の差別化や生き残りをかけた新たな動きが活発化しそうだ。
アマゾンジャパンは来年3月末にも「アマゾンフレッシュ」を始める模様。複数の関係筋が本紙に明らかにした。
同サービスは米アマゾンが2007年から米国ワシントン州・シアトルの一部でスタートした生鮮食品や日用品の配送サービスで当時は299ドルの年会費(※同社有料会員「Amazonプライム会員」加入権込み。すでにプライム会員の場合、年会費は200ドルとなる。なお、2016年10月からは月額課金に改め、月会費を14.99ドルとしている)を徴収した会員に受注日の当日または翌朝までに配送する仕組みだ。現状では野菜や果物などの生鮮品のほか、地元のレストランで販売する食料品、洗剤などの日用品、書籍やPC関連商品などアマゾンで売れ筋の商品など50万点以上を販売しているようだ。現在はシアトルのほか、ニューヨークやサンフランシスコなど米国内の複数の大都市のほか、今夏からは英アマゾンもロンドンで開始している。日本でスタートすれば3カ国目となる。
"日本版アマゾンフレッシュ"に商品を提供予定の複数の事業者によれば、商材は日本でも野菜や果物、海産物、和洋菓子などの生鮮食品を含む食品が中心となるよう。「市場で仕入れたばかりのさばきたての鮮魚の刺身をその日のうちに届けるなど、これまでのネット通販ではできないくらいフレッシュな食品を取り扱うのがコンセプトのよう」(関係筋)としている。
スタート時点ではアマゾン側が選んだ約40の事業者が製造販売する食品などを取り扱う模様で、参画する事業者がそれぞれ取り扱う食品などの商材を前日または当日の受注数に応じて、必要な数をアマゾンの専用物流センターに納入する形をとるようだ。
「アマゾンフレッシュ」の拠点は8月から稼働した神奈川・川崎の「アマゾン川崎フルフィルメントセンター」となるとの話もあるが、同センターのは現状、冷凍・冷蔵設備などはない模様のため、詳細は不明。なお、食品販売事業者の商品納入の利便性など考慮して、都内にも専用の商品納入受取拠点を設けて横持ちなども行う模様だ。
日本での「アマゾンフレッシュ」のサービスの詳細については「現時点で何も話せることはない」(アマゾンジャパン)としており、詳細は不明。だが関係筋によれば、サービス対象エリアはスタート時点では東京23区の在住者に限定して、かつ米アマゾンなどと同じく別途、会費を徴収した"フレッシュ会員"に対してサービスを展開していく模様。なお、会費の額は不明だ。
配送方法や時間などについても米アマゾンの「アマゾンフレッシュ」では購入額50ドル以上で午前10時までの受注は当日中に、午後10時までの受注は翌朝までに配達し、玄関先や敷地内などへの「置き配」にも対応しているようだが、日本での展開は現時点では不明だ。
日本での「アマゾンフレッシュ」については昨夏、アマゾンが埼玉県の食品スーパーと組んで日本での実施を検討中、などとの一部報道があり、近々でのスタートが噂されてきたが、ここにきて、ようやく来春に実現にこぎつけたようだ。
一部地域限定とはいえ、ネット販売の巨人、アマゾンが最大商圏である都内で生鮮品販売に乗り出すことで、日用品EC各社やネットスーパー各社、食品宅配各社など競合サービスを展開する各社の事業に少なからず影響が出てきそう。米アマゾンでは14.99ドル(約1700円)と比較的高い月会費を徴収する「アマゾンフレッシュ」だが、日本では会費の設定をどうするのか。また、品ぞろえの方向性など含め、競合の事業者は「アマゾンフレッシュ」の詳細を注視しておく必要がありそうだ。