前号に引き続き、千趣会グループのベルネージュダイレクトの柿﨑富久社長に、事業再編の成果や成長戦略について聞いた。
◇
──前期の売り上げの状況は。
「
15年12月期の売上高は機能性食品事業がかなりの部分を占めている。機能性食品は雪印メグミルクが宣伝・販促を担当し、当社はEC運営を含めた商品の仕入れ販売と、通販に必要なフルフィルメント業務全般を担っている。物流とコールセンターは外部に委託し、管理者として社員が常駐している。ただ、当社の最大の命題は雪印メグミルクの通販事業のプラットフォームとして機能を強化していくこと。とくに、コールセンターは顧客接点機能として、どれだけ価値を生み出せるかが当社の存在意義になる。フルフィルを回すだけのコストセンターではなく、プロフィットセンターになることが大事だ」
──フルフィル部門の内製化については。
「
単品通販の場合は繁閑の差が大きいため、内製化するのはリスクが高い。司令部というかコントロール機能として社員が入り込んでいく」
──今上期の業績は。
「
1~6月期の売上高は前年同期比2桁増となった。増収要因は機能性とギフトの両輪がともに良かったこと。ギフトは昨年3月に仕入れ先を変更してカタログ、商品を一新し、品ぞろえも豊富になった。発送のインフラもレベルアップした。サイトの刷新効果もあり、昨年後半からグッと伸びてきている」
──上期の機能性食品事業は。
「
広告投資が活発で伸びた。また、広告や媒体の制作受託といった本業以外も含めて残ったセグメントがすべて黒字化した。セグメントごとの営業利益はすべて予算を達成し、V字回復に近い状態にある。カタログをやめたことがPL上のインパクトが大きい。通期でも増収増益、黒字化が見えている」
──現状、千趣会との連携は。
「
育児通販をやめたことで商品面での連携はなくなったが、ECノウハウや、新しい基幹システムの開発にはどっぷりと入ってもらっている」
──主婦の友社とは。
「
14年に資本関係がなくなり、15年には社名も変更した。当社の都合で雑誌通販から手をひいたが、もちろん主婦の友社が他の企業と雑誌通販を続ける可能性は十分にある。一部、雑誌に入る広告を当社が獲得する代理店機能があるのと、内祝いは主婦の友社のマタニティー誌に付録としてつけてもらうなどの取り組みは継続しているが、通販の営業権契約などは8月末で解消する」
──企業が長く存続するには変化し続けることも大事だ。
「
社長就任以来、会社の存続と社員の雇用を守ることを最優先に考えてきたため、雑誌通販を続けるという選択肢はなかった。雪印メグミルクは大きな投資をして中期的に事業規模を大きく拡大すると聞いている。その計画に合わせて当社のスタッフはもちろん、機能やインフラ、システムも強固なものにしていく」
──機能性食品の基本方針は。
「
新聞広告や折り込みチラシ、テレビのインフォマーシャル、ラジオなどを活用した販促は雪印メグミルク側で展開しているが、当社も今年からBIツールなどを導入して販促を実施した結果を検証し、PDCAを回して常に改善を目指す。コールセンター機能については、単品通販はアウトバウンドでアップセルをしたり、インバウンドに対してクロスセルをしたりして顧客生涯価値を高めることが求められる。そうした機能は当社が備えていくべき部分だ。メーカーの企業理念も大事で、コールセンターには当社だけでなく、雪印ビーンスタークの社員が常駐して企業理念の浸透を図るなどしている」
──通販サイトのリプレイスについては。
「
サイト改修によって、来年からは"初回お試し価格"での販売などもECでできるようになる。機能性食品は高齢の女性が圧倒的に多く、電話注文が中心だが、ネットの強化は不可欠だ」
──ギフト顧客へのアプローチ手法は。
「
雪印ビーンスタークが産院ルートで配布している内祝いカタログ『ベビーパラダイス』が主力で、主婦の友社のマタニティー誌『プレモ』にも別冊付録をつけおり、今後も続けていく予定だ。両媒体とECの合計3つが顧客獲得の入り口になる。中期的には売り上げ、利益ともに伸ばしたい」
──全社的な中期目標については。
「
今期からの3カ年で売り上げは約1・5倍を計画している。機能性食品については雪印メグミルクの中期計画とすり合わせている。増収の大きな部分が機能性食品にかかっている。今後は人員増強も必要になる。総合通販に取り組んできた社員を単品向けに教育し直すことや、ノウハウを持つ外部人材の登用も含めて短期的に強化する必要がある」
──商材の将来性については。
「
『毎日骨ケアMBP』は拡大しているシニア層をターゲットにしており、唯一、骨密度を高めるという特保を取得している商品で、これから浸透、拡大していく余地は十分にある。中期計画の中には商品ラインアップの強化も出てくる」
──中計の課題は。
「
当社がフルフィルを回す会社になっていく中で、企業価値を高めるとともに、社員のモチベーションをいかに上げていくかにつきる。この数年、資本も含めて事業転換をほとんどトップダウンで決めてきたため、社員全体のマインドスイッチが重要になる」 (おわり ※㊤は
こちら)
──前期の売り上げの状況は。
「15年12月期の売上高は機能性食品事業がかなりの部分を占めている。機能性食品は雪印メグミルクが宣伝・販促を担当し、当社はEC運営を含めた商品の仕入れ販売と、通販に必要なフルフィルメント業務全般を担っている。物流とコールセンターは外部に委託し、管理者として社員が常駐している。ただ、当社の最大の命題は雪印メグミルクの通販事業のプラットフォームとして機能を強化していくこと。とくに、コールセンターは顧客接点機能として、どれだけ価値を生み出せるかが当社の存在意義になる。フルフィルを回すだけのコストセンターではなく、プロフィットセンターになることが大事だ」
──フルフィル部門の内製化については。
「単品通販の場合は繁閑の差が大きいため、内製化するのはリスクが高い。司令部というかコントロール機能として社員が入り込んでいく」
──今上期の業績は。
「1~6月期の売上高は前年同期比2桁増となった。増収要因は機能性とギフトの両輪がともに良かったこと。ギフトは昨年3月に仕入れ先を変更してカタログ、商品を一新し、品ぞろえも豊富になった。発送のインフラもレベルアップした。サイトの刷新効果もあり、昨年後半からグッと伸びてきている」
──上期の機能性食品事業は。
「広告投資が活発で伸びた。また、広告や媒体の制作受託といった本業以外も含めて残ったセグメントがすべて黒字化した。セグメントごとの営業利益はすべて予算を達成し、V字回復に近い状態にある。カタログをやめたことがPL上のインパクトが大きい。通期でも増収増益、黒字化が見えている」
──現状、千趣会との連携は。
「育児通販をやめたことで商品面での連携はなくなったが、ECノウハウや、新しい基幹システムの開発にはどっぷりと入ってもらっている」
──主婦の友社とは。
「14年に資本関係がなくなり、15年には社名も変更した。当社の都合で雑誌通販から手をひいたが、もちろん主婦の友社が他の企業と雑誌通販を続ける可能性は十分にある。一部、雑誌に入る広告を当社が獲得する代理店機能があるのと、内祝いは主婦の友社のマタニティー誌に付録としてつけてもらうなどの取り組みは継続しているが、通販の営業権契約などは8月末で解消する」
──企業が長く存続するには変化し続けることも大事だ。
「社長就任以来、会社の存続と社員の雇用を守ることを最優先に考えてきたため、雑誌通販を続けるという選択肢はなかった。雪印メグミルクは大きな投資をして中期的に事業規模を大きく拡大すると聞いている。その計画に合わせて当社のスタッフはもちろん、機能やインフラ、システムも強固なものにしていく」
──機能性食品の基本方針は。
「新聞広告や折り込みチラシ、テレビのインフォマーシャル、ラジオなどを活用した販促は雪印メグミルク側で展開しているが、当社も今年からBIツールなどを導入して販促を実施した結果を検証し、PDCAを回して常に改善を目指す。コールセンター機能については、単品通販はアウトバウンドでアップセルをしたり、インバウンドに対してクロスセルをしたりして顧客生涯価値を高めることが求められる。そうした機能は当社が備えていくべき部分だ。メーカーの企業理念も大事で、コールセンターには当社だけでなく、雪印ビーンスタークの社員が常駐して企業理念の浸透を図るなどしている」
──通販サイトのリプレイスについては。
「サイト改修によって、来年からは"初回お試し価格"での販売などもECでできるようになる。機能性食品は高齢の女性が圧倒的に多く、電話注文が中心だが、ネットの強化は不可欠だ」
──ギフト顧客へのアプローチ手法は。
「雪印ビーンスタークが産院ルートで配布している内祝いカタログ『ベビーパラダイス』が主力で、主婦の友社のマタニティー誌『プレモ』にも別冊付録をつけおり、今後も続けていく予定だ。両媒体とECの合計3つが顧客獲得の入り口になる。中期的には売り上げ、利益ともに伸ばしたい」
──全社的な中期目標については。
「今期からの3カ年で売り上げは約1・5倍を計画している。機能性食品については雪印メグミルクの中期計画とすり合わせている。増収の大きな部分が機能性食品にかかっている。今後は人員増強も必要になる。総合通販に取り組んできた社員を単品向けに教育し直すことや、ノウハウを持つ外部人材の登用も含めて短期的に強化する必要がある」
──商材の将来性については。
「『毎日骨ケアMBP』は拡大しているシニア層をターゲットにしており、唯一、骨密度を高めるという特保を取得している商品で、これから浸透、拡大していく余地は十分にある。中期計画の中には商品ラインアップの強化も出てくる」
──中計の課題は。
「当社がフルフィルを回す会社になっていく中で、企業価値を高めるとともに、社員のモチベーションをいかに上げていくかにつきる。この数年、資本も含めて事業転換をほとんどトップダウンで決めてきたため、社員全体のマインドスイッチが重要になる」 (おわり ※㊤はこちら)