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クレディセゾン  広告配信を最適化、潜在需要を喚起

2016年 6月16日 13:27

 クレディセゾンはこのほど、クレジットカード会員の属性データやカードの利用情報など、同社が保有するデータを活用した、データマネジメントプラットフォーム(DMP)を構築した。より個人に最適化した販促を可能にするもの。クレディセゾンでは、ポイントサイト「永久不滅ドットコム」に出店する通販企業にも広告出稿を呼びかけていく。

 「セゾンDMP」をデジタルガレージと共同で構築した。これまで分散されていた会員の属性データや利用情報、さらにはネットサービスの利用データといった各種データについて、DMPに統合。特定の個人が識別できるデータについては、元に戻せない処理を加える(ハッシュ化)ことで識別不可能にしている。なお、ネットでの行動履歴は、永久不滅ドットコム用のツール「永久不滅プラス」の利用者で、ログ提供に同意して登録したモニター会員のデータのみが収集されている。

 その上で、デジタルガレージのデータ解析技術を用い、行動データの相関性やカード会員の類似性を解析する。セゾンDMPにはカードの明細情報を識別するための独自の辞書を搭載。約500種類のカテゴリーがあり、利用した店舗や商品にタグを付与、カテゴリー分けしている。その後、「この属性の会員はこんな商品を買う」といった分析は機械処理する。これまで、会員に対する情報配信は属性や利用状況に関わらず、画一的なものだったが、今後はよりパーソナライズされたものとなる。

 永久不滅ドットコムのほか、カードの利用明細が確認できる「ネットアンサー」、さらにはアドネットワークや広告配信プラットフォームを用いて外部メディアにも広告を出す。例えば「20代女性」「限度額間近」「海外利用無し」という属性の会員が、「ハワイ旅行」や「旅行サイト」を検索していたとすれば、ネットアンサーには「初めての人向けハワイ旅行」の広告を表示。さらに、永久不滅ドットコムではトラベル関連グッズの訴求を、外部メディアには限度額増額の案内を出す。

 15日にはネットアンサーのトップページのデザインを刷新し、広告配信を開始。また、今後は永久不滅ドットコムの加盟店に対して広告の営業を行う。

 入会時に本人確認済みの正確な個人情報を把握できている点や、実店舗も含めて国内外のカード利用実績がデータとして蓄積されている点が強み。こうしたメリットを通販企業に訴求することで、キャンペーンなどでの出稿を促していく。これまでも、加盟店の要望に応じて対象者を絞ったキャンペーンは行っていたが、絞り込みにはかなりの時間と手間を要するため、需要を逃してしまう恐れがあった。DMP構築でよりタイムリーな配信ができるようになったほか、例えば「海外旅行の広告をクリックした」など、顕在化したデータを持つユーザーを解析し、そのユーザーと共通項を持つ潜在層を抽出、広告を配信することで需要喚起が期待できる。

 今後はクレディセゾンが提供するスマートフォン向けのアプリとも連携する。アプリユーザーの場合、アプリを開いて請求額を確認する月間の回数は、ウェブで確認するユーザーの月間来訪回数よりも約2倍多いことから、より効果的な情報配信が可能になる。また、今後はアプリのプッシュ通知機能を使った情報配信も行う。例えば、ウェブ行動履歴から「家電購入ニーズがある」と分類されたユーザーが東京・池袋を訪れた際に、池袋の家電量販店の特価情報を配信する、といったものだ。

 クレディセゾンでは、個人に最適化した情報の配信でカードの利用率を上げるほか、加盟店から得る広告手数料の増加も狙う。
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