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カタログ事業については前期、増税以降に大きく減らしていた部数やページ数を戻したほか、百貨店友の会会員に向けても積極的に媒体の告知を行って売り上げの底上げにつなげた結果、カタログは前年に比べて4・7%の増収となった。
商材別では、衣料品は上期については順調だったものの、下期は暖冬の影響から重衣料が全般的に不調で、通期では前年比2・6%増にとどまった。ただ、アクティブシニアをターゲットとした商品政策やクリエイティブは「誌面のアクセントになった」(髙橋豊クロスメディア事業部長)とし、コーディネート提案やロケ撮影の商品は動きが良かったようだ。
また、昨年5月からは、婦人服ブランドを手がけるドゥクラッセの服を掲載した冊子を高島屋の基幹カタログなどと同送する取り組みを開始。同社商品は試しやすい価格帯であるのに加え、「店頭と通販のブリッジになるような服が多い」(同)ようで、顧客の反応もいいという。クロスメディア事業部では協業体制の強化を視野に、衣料品の一部のテイストをドゥクラッセに補完してもらうことで、自社のリソースを他のテイストに集中することも模索しているようだ。
前期の食料品の売上高は前年比7・4%増で、おせちなど百貨店の信用力を生かせる分野を中心に好調だ。また、リビングは同6・2%増で、とくに、日用品ではストーブや家具などの重たい商品から、台所回りや身の回り品などを増やしたことが奏功した。
今期については、通販と店頭の併用客は購入頻度や年間購入金額が高いことから、店頭のMDを補完することで高島屋顧客のLTV(顧客生涯価値)を高める。とくに、衣料品は店頭では少なくなってきている"上質の定番商品"を強化。高島屋のカードホルダーや友の会会員の開拓にもつなげる。
これまで、ファッションカタログの表紙は店頭のディレクションを意識していたものの、物作りにまでは反映されていなかったが、今年からは店頭で打ち出す色味やテイストを物作りの段階から連携するとともに、60代後半からの主要顧客層に合わせた商品をお買い得な価格で提供。通販の独自ラインで店頭との補完性を高める。
一方、クロスメディア事業部のコールセンターには毎月約200件の顧客の声が届いていることから、マーケティングの原点として徹底的に顧客と向き合う方針を打ち出しており、商品の見せ方や表現方法についても、カタログ顧客の声を反映させたい考えだ。
また、昨年3月に先行実施した通販サイトに続き、今年3月には食料品宅配事業や通販カタログの顧客についても店頭顧客情報とのつなぎ込みが完了。細かいセグメントに分けて購買情報の分析がしやすくなったことから、LTV向上に向けた高島屋の全体戦略に生かしていく。
(㊦につづく)