楽天子会社で日用品などのネット販売を行うケンコーコムは2月12日、前期連結業績を公表した。楽天による株式公開買い付けが成立したため、同社は3月9日付での上場廃止が決まっており、これが最後の決算発表となるが、前期も主力のリテール事業(通販サイト「ケンコーコム」と、楽天市場内で実施する「楽天24」での日用品のネット販売事業)は営業赤字に。日用品ネット販売では、アスクルの「ロハコ」や爽快ドラッグなどが攻勢を強めており、難しい舵取りを迫られている。
リテール事業の売上高は前期比12・8%増の214億200万円、営業損益は2億4300万円の赤字(同8500万円の赤字)。楽天が実施する大型セールへの積極的な参加で売り上げは伸びたものの、物流倉庫の移転費用などにより、赤字幅が膨らんだという。
同社では前期第2四半期決算から、「ケンコーコム」事業と楽天24の売上高を合算した数値をリテール事業の売上高としている。前期第1四半期の段階では、楽天24の売上高は5倍増となったものの、「ケンコーコム」は減収減益だった。楽天の完全子会社になったことで今後は楽天24に注力していくとみられる。
楽天としては、同社の名前を冠した日用品販売サイトを強化することで、楽天市場への来訪回数増につなげる狙いがあるだろう。ただ、ここで問題になるのが楽天市場内での競合だ。中でも、爽快ドラッグは「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー」で7年連続グランプリを受賞する看板店舗。昨年にはケース飲料を送料込み、常時安値で販売する「爽快ドリンク専門店」を支店として開設するなど、攻勢を強めている。
「完全子会社になったとはいえ、当社が優遇されることはない」(橘田尚彦社長=
写真)。楽天24がユーザーに「普段使い」してもらうサイトになるには、価格戦略が重要となるが、リテール事業は現状では営業赤字。「地道にコスト改善や倉庫内の生産性向上などを続けることで収益を改善する」(同)としているものの、こうした取り組みは一朝一夕で成果が出るものではない。
個人向けの日用品ネット販売は、単価が安い上に注文件数が非常に多いという特徴がある。そのため、「個別に柔軟な対応が必要なため、物流の自動化には向いておらず、人による手作業に頼らざるをえない」(同)。ただでさえ低い日用品の利益率を物流コストが圧迫しているわけだ。
同社は楽天市場だけではなく、ヤフーの「ヤフーショッピング」やアマゾンジャパンの「アマゾンマーケットプレイス」にも出店している。特にヤフーショッピングでは、モールが定期的に開催するセール「5のつく日」にあわせてポイント10倍セールを開催するなど、積極的な販促を展開。橘田社長は「仮にヤフーから撤退したり注力しないとすると、得をするのは(ヤフーの連結対象であるアスクルが運営する)ロハコ。つまり、楽天の子会社である当社の動きで楽天が不利になる」と話す。とはいえ、ケンコーコムのポイント施策でヤフーショッピングの流通総額が向上しているのも事実だけに、難しい立ち位置といえる。
爽快ドラッグやロハコだけではなく、アマゾンやヨドバシカメラなど、日用品に力を入れる大手通販サイトが増えている。価格面はもちろん、サービス競争も激しくなる一方だ。楽天では、日用品などを短時間で配送するサービス「楽びん!」を都内の一部で展開しているが、「当社の商品を楽びん!で配送してもらうなど、いずれはサービスに乗りたい」(橘田社長)という。
非上場化するとはいえ、「リテール事業は売り上げ的に大きく、人員も割いているだけに損益改善に取り組まなければいけない」(同)ケンコーコム。近い将来、スタイライフのように楽天へ吸収合併される可能性もありそうだが、まずは地道なコスト削減による価格競争力の向上が求められる。
リテール事業の売上高は前期比12・8%増の214億200万円、営業損益は2億4300万円の赤字(同8500万円の赤字)。楽天が実施する大型セールへの積極的な参加で売り上げは伸びたものの、物流倉庫の移転費用などにより、赤字幅が膨らんだという。
同社では前期第2四半期決算から、「ケンコーコム」事業と楽天24の売上高を合算した数値をリテール事業の売上高としている。前期第1四半期の段階では、楽天24の売上高は5倍増となったものの、「ケンコーコム」は減収減益だった。楽天の完全子会社になったことで今後は楽天24に注力していくとみられる。
楽天としては、同社の名前を冠した日用品販売サイトを強化することで、楽天市場への来訪回数増につなげる狙いがあるだろう。ただ、ここで問題になるのが楽天市場内での競合だ。中でも、爽快ドラッグは「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー」で7年連続グランプリを受賞する看板店舗。昨年にはケース飲料を送料込み、常時安値で販売する「爽快ドリンク専門店」を支店として開設するなど、攻勢を強めている。
「完全子会社になったとはいえ、当社が優遇されることはない」(橘田尚彦社長=写真)。楽天24がユーザーに「普段使い」してもらうサイトになるには、価格戦略が重要となるが、リテール事業は現状では営業赤字。「地道にコスト改善や倉庫内の生産性向上などを続けることで収益を改善する」(同)としているものの、こうした取り組みは一朝一夕で成果が出るものではない。
個人向けの日用品ネット販売は、単価が安い上に注文件数が非常に多いという特徴がある。そのため、「個別に柔軟な対応が必要なため、物流の自動化には向いておらず、人による手作業に頼らざるをえない」(同)。ただでさえ低い日用品の利益率を物流コストが圧迫しているわけだ。
同社は楽天市場だけではなく、ヤフーの「ヤフーショッピング」やアマゾンジャパンの「アマゾンマーケットプレイス」にも出店している。特にヤフーショッピングでは、モールが定期的に開催するセール「5のつく日」にあわせてポイント10倍セールを開催するなど、積極的な販促を展開。橘田社長は「仮にヤフーから撤退したり注力しないとすると、得をするのは(ヤフーの連結対象であるアスクルが運営する)ロハコ。つまり、楽天の子会社である当社の動きで楽天が不利になる」と話す。とはいえ、ケンコーコムのポイント施策でヤフーショッピングの流通総額が向上しているのも事実だけに、難しい立ち位置といえる。
爽快ドラッグやロハコだけではなく、アマゾンやヨドバシカメラなど、日用品に力を入れる大手通販サイトが増えている。価格面はもちろん、サービス競争も激しくなる一方だ。楽天では、日用品などを短時間で配送するサービス「楽びん!」を都内の一部で展開しているが、「当社の商品を楽びん!で配送してもらうなど、いずれはサービスに乗りたい」(橘田社長)という。
非上場化するとはいえ、「リテール事業は売り上げ的に大きく、人員も割いているだけに損益改善に取り組まなければいけない」(同)ケンコーコム。近い将来、スタイライフのように楽天へ吸収合併される可能性もありそうだが、まずは地道なコスト削減による価格競争力の向上が求められる。