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アットシェルタ  店舗とECで在庫共有化、オムニチャネルの基盤確立

2016年 2月 4日 10:26

 4-1.jpgアバハウスインターナショナルの子会社でネット販売を手がけるアットシェルタは、リアル店舗とECの在庫共有化に乗り出している。

 アバハウスグループでは従来から顧客のIDやポイントは店頭とECで共通化しているほか、2014年3月にはショップブログの進化版「アバハウスショップポータル」を開設。同サイトでは展開するブランドの新作案内やニュース、店頭販売員のコーディネート紹介といったブログ機能にとどまらず、店舗に商品を取り置きできるサービスを会員限定で始めている。

 加えて、昨年10月中旬からはタブレット端末を活用したEC在庫利用システムを靴ブランド「ピシェ」の実店舗でスタート。店頭ではサイズや色違いの欠品が生じやすいため、ネットと在庫を連携することで、店頭で欠品してもネット用の在庫から購入者の自宅に届けるか店舗で受け取れるようにし、機会ロスの低減を図る。

 同システムは店頭スタッフがiPadで接客しながら利用するが、店頭会員、EC会員ともに自宅住所などの情報は登録されているため、ログイン画面だけ会員本人に入力してもらう形だ。決済については、注文確定後にショップのレジで会計処理するため売り上げは店舗に計上され、返品・交換も店頭で対応することになる。
 
 同じブランドの商品であれば、店頭で扱っていないアイテムもウェブ在庫があれば購入でき、「店頭スタッフのアドバイスを受けながらECで購入しているイメージ」(木村保行社長)で利用できるのが特徴だ。
 
 セール時期はサービスの対象外だが、店頭でのEC在庫利用は順調に増えており、店舗間の在庫移動件数は半減しているという。今年2月からは服のブランドにも導入するが、店頭にipadを設置していない一部のブランドは3月から始動する予定だ。
 
 また、同システムは接客履歴や他店舗在庫も把握できるため、接客ツールとして活用できるようにブラッシュアップしていく考え。
 
 一方、自社通販サイト「アットシェルタ」(=画像)での店頭在庫活用も今年1月末にスタートした。EC在庫がなくなっても実店舗に商品があれば引き当てて販売し、売り上げはECに計上されるが、昼間は商品の動きが多いため、引き当て作業がエラーにならないよう、原則、午後9時以降に引き当てる仕組みとする。
 
 つまり、リアル店舗とECの在庫共有化により、日中は売り上げの大きな店舗側がEC在庫を含めて店頭で販売。店舗の営業時間外はECが店舗在庫も活用することで、「在庫が24時間眠らないようにする」(木村社長)という。
 
 店頭在庫の利用については全ブランドを対象にしているが、まずは都内の店舗からスタートして結果を見ながら順次、エリアを広げる計画だ。また、店頭在庫を引き当てる場合は商品の横持ちが発生するため、通常よりも商品発送が遅れることになる。同社では、物流センターから近い実店舗を優先するものの、引き当てが同じ店舗に集中しないように設計しているようだ。
 
 昨今、アパレル業界では店頭よりもECの方が売り上げを伸ばしやすい環境にあり、アバハウスグループでも生産数の多いアイテムについてはECへの在庫配分を高め、上位品番の販売量を伸ばしていく考え。また、店頭とECの相互で在庫を活用し合う取り組みが始まったが、今後は利用状況などを分析することで、新しい在庫の持ち方や一元管理に向けたステップとなりそう。
 
 なお、14年にスタートした商品の取り置きサービスについては、従来の電話依頼に比べて手間をかけずに申し込めるようになった分、申し込み件数は増えているものの、成約率は電話よりも低いことが課題だ。そのため、現在の取り置き期間は1週間だが、今後は会員ランクの低いユーザーは期間の設定を短くし、延長するには何らかのコミュニケーションを必要とすることも検討しているようだ。

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