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ジェンク・グロル社長に聞く イオンリンクの次の一手は?

2016年 1月14日 10:33

 2-1.jpgイオンリンクはネット販売事業を強化している。昨年12月に、グループで通販事業を行うイオンダイレクトを吸収、ネット販売のポータルサイト「AEON.com」を開設した。「チャネルが多いほどオムニチャネルによってお客様は便利になる」と語るジェンク・グロル社長に、イオングループが目指すネット販売やカタログ通販、オムニチャネルの方向性について聞いた。



──小売業界でオムニチャネル化が進んでいる。どのように考えているか。
 
 「オムニチャネルはお客様が欲しい商品を、最適なチャ ネルや条件で購入できることだと考えている。つながっているチャネルが多ければ多いほどお客様は便利になる。イオンは総合スーパーやスーパーマーケット、 専門店など多様なチャネルを持ち、アイテム数が多い。このため、これらをつなぐことはとても複雑で時間がかかる。だが、衣食住すべてをカバーできた時に、 お客様の買い物は大変便利になると思う。有店舗小売がオムニチャネルを実現できれば調達力と開発力、安全性で、成長スピードが速いIT企業に対して優位に なると考えている。そのためには、まずはネット販売を成立させることが先決だ
 
──イオングループのネット販売の状況は。
 
 「昨 年は人員を強化し、ネット販売の基盤やフロント、バックオフィスなどコア部分の内製化を進めた。ネット販売で勝つには、ベンダー依存型の体制から脱却し、 自社でスピーディに低リスクで開発する必要があると考えたためだ。昨年12月にはショッピング玄関サイト『AEON.com』を開設した
 
──「AEON.com」とは。
 
 「グ ループのネット販売のポータルサイトと位置付けるものだ。グループの商品を集約し、お客様は商品を横断的に閲覧できるようになった。商品だけでなく、サー ビスも探しやすくなれば、イオングループそのものがお客様の近くに集約されることになる。今後は、支払いを一本化することや、商品の受け取り方法を選べる ようにすることなどを段階的に進めたいと考えている

──イオングループのメリットは。
 
 「プラット フォームを共通化しているので、お客様がどういった買い方をして、どのような商品が売れるのかを把握できるようになった。すべてのカテゴリーで、お客様の 消費行動を解析して、カテゴリーごとに強化していくことになる。データが貯まってお客様のことを分かれば、いろいろなサービスが開発できるようになる
 
──「AEON.com」の顧客数は。
 
 「『イオンスクエア』の顧客1400万人からスタートする。店舗の年間ビジター数は何十億人規模なので、それを活かせばもっと増やせる
 
──集客策は。
 
 「SEOや、『イオンスクエア』経由の集客などさまざまだ。検索ワードによって購買行動が違うため、キーワード分析は重視しているものの1つ。様々なキーワードから『AEON.com』に辿りつけるようにし、滞在時間などの解析につなげる

──イオングループには玄関サイト「イオンスクエア」がある。分けた理由は。
 
 「『イオンスクエア』はキャンペーンサイトとして、ネットと店舗の連動を行っている。ただ、『イオンスクエア』を利用するお客様の情報と購買データが紐付いていなかった。キャンペーンから購買への引き上げが難しいなどの課題があった。
  今回、『AEON.com』と『イオンスクエア』の基盤を裏側で連携させ、購買データとキャンペーンデータを紐付けた。セグメントしたお客様に最適な商品 やサービス、情報をピンポイントで配信する。例えば、お客様が反応するキャンペーンが分かれば、その人にだけ配信するといったパーソナライズ化を進める
」 
 
──昨年12月にイオンダイレクトを吸収した。狙いは。
 
 「イオンダイレクトの持つ通販の商品開発力や調達力、カタログビジネスのノウハウと、イオンリンクのITのノウハウを合わせて、デジタルカンパニーの中核を目指していく。さらに、ノンストアビジネスを集約することによって、商品力とコンテンツ力をもっと強化できる
 
──カタログは継続するのか。
 
 「カ タログは続ける。イオンダイレクトは、グループの戦略の1つである『シニアシフト』を担っていた。これまで、シンプルなカタログの発行や部数をテストして 最適な量を検証してきた。今後も食品やおせちなど、カテゴリー別のカタログを発行し、ターゲットに最適な情報を届けていく。将来的には、お客様に合わせて カスタムメイドすることが理想だ。デジタルを活用すれば、コストをかけずに実現できると考えている
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