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好調・集英社の通販戦略㊦ 「エクラ」の通販が復調へ

2015年12月25日 10:22

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前号に引き続き、集英社が手がける通販事業の好調要因などを見ていく。
 同社は、40~50代女性向けの雑誌「エクラ」に紐付いたメーンの通販カタログ「エクラプレミアム」が再び成長軌道に乗っている。同カタログは、雑誌本誌の部数が伸びていることから安定した売り上げを計上してきたが、前期は大ヒット商品が出にくくなっていた。

 というのも、「エクラ」を冠した通販も9年目に入り、顧客年齢層が上がっていく中で、従来のボリュームゾーンを維持する目的で起用するモデルを含めて若返りを図ったこともあり、一時期は売り上げが伸び悩んだが、継続顧客のニーズに合わせた編集企画やモデル起用によって「完全復活した」(同社)という。

 10月号では50代モデルの黒田知永子さんと著名なスタイリストを前面に打ち出した企画「スタイリスト佐伯敦子の知永子スタイル6days」を巻頭で展開。リラックス感がありつつも上品な着こなし提案が受け、一般的な50代女性にはコーディネートに迷うようなロングシャツや黒のスニーカーに加え、高額なかごバッグなどの反応が非常に良かったようだ。

 一方、14年秋に1億円を売る大型企画が成功し、コア事業に成長した「LEEマルシェ」については、雑誌「LEE」11月号で44ページにわたる通販企画「今までで一番スゴいLEEマルシェ」(画像)を展開した。

 当該号の巻頭企画では、スタイリストの福田麻琴さんが監修し、三陽商会が同企画用に作った一生モノのロングトレンチコート(7万9000円)を販売。福田さんによる、一着のトレンチでオン・オフや男性的にも女性らしくも着回せるテクニックの紹介に加え、青森の工場を訪ねて縫製の技術を紹介するなど読み物ページにも力を注いだ結果、200着以上を売る企画となった。

 集英社によると、「LEEマルシェ」は「エクラプレミアム」よりも客単価が低いものの、良質の商品を丁寧に提案したことや、スタイリング写真の出来栄えの良さもあり、「商品に納得できれば高額でも買ってもらえることが分かった」(同社)とする。

 トレンチコートの好調や、メルマガ経由の販売も寄与し、当該号は約1億1000万円を受注。「LEEマルシェ」の過去最高売り上げを更新したという。

 また、同社では新規顧客の開拓などを目的に、ファッション商材以外にも品ぞろえの幅を広げている。7月上旬にはスーパーの成城石井と集英社の通販サイト「フラッグショップ」がコラボし、同サイトで女子が好むビールを提案する取り組みを試したほか、カタログギフトのリンベルと「エクラプレミアム」との企画にも着手。10月号でギフトコンシェルジュの裏地桂子さんが厳選したエクラ別注を含むスイーツ13点を販売したのに続き、16年1月号では"おせち"にも挑戦する。集英社では"おしゃれ"をキーワードにカテゴリーを広げていくことは「エクラプレミアム」の読者にとって有益と判断。コンテンツ
のひとつとして"おしゃれな食"にも取り組む考え。

 なお、同社は16年5月期に通販売り上げ55億円(前年比約22%増)を掲げており、順調に推移しているようだ。 
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