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再来訪を促す新たな一手・千趣会イイハナ、アンケートツールを導入

2015年11月12日 17:28

千趣会グループで花とギフトのネット販売を手がける千趣会イイハナは、ウェブアンケート作成ツールなどを導入して"カート落ち"した消費者の再訪問と商品購入で成果が出ているという。

 同社は、カートに商品を入れたものの、買わずにサイトから離脱する利用者が一定数いることが課題で、とくにスマートフォンサイトでのカート落ちが顕著だった。

 花のネット販売は母の日をはじめとするギフト利用が多いのが特徴で、ギフトサービスの購入フローでは注文主と届け先の2つの情報を入力する必要があるため、同社では入力フォームのユーザビリティーが離脱の原因という仮説を立てていたという。

 ところが、今年4月下旬の1年でもっとも訪問者が増える母の日商戦の後半に、クリエイティブサーベイ社のアンケートシステム「ISS(インサートサーベイ)」を使って調査すると、予想外の結果が出た。

 「ISS」は、サイト上のユーザー行動をトリガーにしたアンケートシステムで、特定ページの閲覧やページ滞在時間など、さまざまな行動トリガーを設定できる。千趣会イイハナの場合は、「カートからの離脱」という行動トリガーを設定。とくにスマホの離脱者が多いことから、スマホユーザーがカート画面を閉じようとした際にアンケート画面を表示したところ、離脱の原因にユーザビリティーを挙げた利用者は少なく、スマホで閲覧後に自宅のパソコンで購入するという顧客がもっとも多くなるなど、入力フォーム改修の必要はないことが分かった。

 同社では"閲覧はスマホ、入力はパソコン"というユーザー行動が明らかになったため、カート内の商品情報をメールで知らせるツールを新たに導入。9月の敬老の日商戦ではカート画面を閉じようとした訪問者に対して「ISS」の機能を使ってポップアップ画面で「カート情報を後で確認しますか?」と尋ね、メールアドレスの記入を促した。

 千趣会イイハナは、同手法で得たメールアドレスにカートの商品画像や価格といった情報を送ったところ、当該メールを開封、クリックしてサイトに再訪問した消費者のコンバージョン率は約65%に上るなど、「過去3年間で一番成果があった施策」(杉本伸二社長)とする。

 同社によると、カート落ちしてサイトを離れた消費者のその後の行動は追えないが、「ISS」のアンケートツールを使うことで離脱理由が明確になり、「見込み客に対する打ち手ができたことが大きい」(杉本社長)としている。

 とくに新規客は複数サイトを閲覧して商品を探す傾向があるため、気になった商品を忘れるケースもあるが、一度は興味を持った商品の情報をメールで送ることで、再訪問後の購入モチベーションは高いようだ。

 千趣会イイハナでは今回の実績をもとに、売り上げの大きい母の日商戦に合わせて再度、離脱者へのアプローチを強化する考えだ。

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