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資生堂グループのアユーララボラトリーズは1994年の設立以来、百貨店を中心に約80の店舗網を敷く。百貨店業界の冷え込みで多くの店舗事業者が苦戦を強いられるが、アユーラの場合、少し事情が異なるようだ。「現代女性の"癒し"をテーマにしたコンセプトが不況下で当たっている」(販売企画部)というのだ。
アユーラは明確に敏感肌向けをうたっているわけではないが、そのコンセプトは東洋美容を取り入れた"癒し"。女性の社会進出に伴う、仕事上のストレス等のリフレッシュを目的にした入浴剤や、睡眠不足解消を目的にしたスキンケアがヒットしている。ターゲット層は30代前後の女性。90年代後半に起きたヨガブームなどを背景に徐々にコンセプトがみじかになり、店舗売り上げは横ばいを維持する。
一方、設立以来、電話やハガキで対応してきた通販もライフスタイルの変化に対応し、昨秋から強化に乗り出した。昨年10月、購入金額に応じてポイントを付与するプログラムを通販限定で導入。今では売り上げ構成比が10%超にまで高まり、15%に迫る勢いという。今期(10年3月期)の通販売上高も前期比約2ケタ増となる見通しだ。
現在、新規獲得はネットのリスティングやアフィリエイトが中心。設立から10年以上が経過して知名度があり、くちコミでサイト集客ができているという。ウェブ会員には月2回のオンライン通信と同メールニュースで新商品情報を流し、アフターフォローを行う。
また、百貨店を主軸とする中で重視するのがカウンセリング。対面販売を念頭に置いた商品が少なくないからだ。10人のコールセンタースタッフには、月1回商品説明のロールプレイング研修を行うほか、隔月で新商品勉強会などを行っている。
ただ、課題を残す部分も少なくない。ウェブ会員は増加しているものの、「限定コスメ等の購入後、休眠する顧客が少なくない」(同)ことだ。顧客の購入履歴等の分析を加えたターゲティングもまだ未着手。顧客の継続化やクロスセル促進は今後の課題となっている。
今年4月からは年間購入金額に応じた顧客のセグメントを開始。ポイントプログラムを強化して顧客の囲い込みを図る考えだ。