コールセンターで行う業務の中身が変わりつつある。問い合わせ受付など簡単な内容のものが減ってきており、オペレーターはきめ細かな対応が求められるような電話応対業務に就く。テレマーケティング事業者としては単純な受注確認や問い合わせ対応などについては、効率化を図るように取り組んでいる。
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コールセンター大手のもしもしホットラインは以前から顧客の選択肢を増やすという狙いから、マルチチャネル化を推進しており、電話以外のサービスを複数提供している。
その一例がチャットだ。同社がチャットを活用して提供しているサービス「バーチャルエージェント」では、人工知能や言語解析技術を使い、ウェブサイト内で顧客の問い合わせに対してチャットで自動応答する。人間が行うチャットのようなきめ細かな対応はできないものの、一定の疑問には回答できる。
例えばユーザーが同じページ内に1分程度いると離脱する可能性が高いため、そのくらいで「何かお探しですか?」とポップアップで表示する。ユーザーはそれに対して言葉を入力したり、選択肢の中から該当するものを選ぶ。結果、問い合わせを減らすというわけだ。実際、メール問い合わせフォームの前にバーチャルエージェントを使うと、メールでの問い合わせが半分程度は削減されるという。同サービスはライオンのオンラインショップなどで導入されており、現在、導入先が増えているという。
このように電話以外のサービスを強化している同社は、昨年10月1日に「自動化サービス推進室」を立ち上げた。そこで室長を務める向川啓太氏によると、ノンボイスへの取り組み状況について「今までは通販のお客様も含め、ウェブに誘導してほしいという動き方だった。ただ、それもある程度限界があり、(誘導しても)半分くらいは電話が掛かってくる」という。そこで電話で入ってくる内容についてもできるだけ自動化しようと取り組んでいる。
その一環で着手しているのが「音声認識技術」の活用だ。同社が音声認識を本格的に着手する上で、昨年10月に米ニュアンス社と提携を行った。ニュアンス社はアップル社のiOS向け言語処理サービス「Siri(シリ)」の仕組みを作るなど、音声認識の業界では最大手と言われている。もしもしはニュアンス社と組み、音声認識技術をコールセンターで使うべく開発を進めている。
こうした取り組みの背景として、テレマ事業者が簡単な問い合わせを電話で受け付ける際の単価が低く、収益にならないという側面がある。通販の場合であれば、ユーザーがカタログを見て「この番号の商品を2個ください」というような電話応対業務は収益になりにくく、テレマ事業者にとって自動化したい部分。
「我々としてはカタログの番号を聞いて注文を受けるだけであれば、そこに人間を配置するのは(コストの面で)しんどい。全部とは言わないが、そのうちの半分でも自動でできれば、クライアントにとってもメリットになる」と向川氏。応対品質が求められる収益性の高い業務はオペレーターが電話で対応し、儲けになりにくい簡単な作業は自動化するのが理想像だ。
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もしもしホットラインは今年の10月1日付で社名を「りらいあコミュニケーションズ」に変更する。"もしもしホットライン"という電話のイメージが強い社名を変え、電話以外のBPOやマルチチャネルでノンボイスのサービスを積極的に取り組んでいくという方針を示している。
これに呼応するように、向川氏も「世の中の流れとしてコールは減っていく。そこにしがみついてもいけない。別のところで収益をあげていく」と述べる。
現在、音声認識技術を使って、新規顧客に名前と住所を言ってもらい、そこから受注しようという取り組みを取引先に対して提案している。こうしたやり方は米国では多くの事例があるということだが、日本ではまだこれから。通販企業などと共同で実際の運用を目指している。
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コールセンター大手のもしもしホットラインは以前から顧客の選択肢を増やすという狙いから、マルチチャネル化を推進しており、電話以外のサービスを複数提供している。
その一例がチャットだ。同社がチャットを活用して提供しているサービス「バーチャルエージェント」では、人工知能や言語解析技術を使い、ウェブサイト内で顧客の問い合わせに対してチャットで自動応答する。人間が行うチャットのようなきめ細かな対応はできないものの、一定の疑問には回答できる。
例えばユーザーが同じページ内に1分程度いると離脱する可能性が高いため、そのくらいで「何かお探しですか?」とポップアップで表示する。ユーザーはそれに対して言葉を入力したり、選択肢の中から該当するものを選ぶ。結果、問い合わせを減らすというわけだ。実際、メール問い合わせフォームの前にバーチャルエージェントを使うと、メールでの問い合わせが半分程度は削減されるという。同サービスはライオンのオンラインショップなどで導入されており、現在、導入先が増えているという。
このように電話以外のサービスを強化している同社は、昨年10月1日に「自動化サービス推進室」を立ち上げた。そこで室長を務める向川啓太氏によると、ノンボイスへの取り組み状況について「今までは通販のお客様も含め、ウェブに誘導してほしいという動き方だった。ただ、それもある程度限界があり、(誘導しても)半分くらいは電話が掛かってくる」という。そこで電話で入ってくる内容についてもできるだけ自動化しようと取り組んでいる。
その一環で着手しているのが「音声認識技術」の活用だ。同社が音声認識を本格的に着手する上で、昨年10月に米ニュアンス社と提携を行った。ニュアンス社はアップル社のiOS向け言語処理サービス「Siri(シリ)」の仕組みを作るなど、音声認識の業界では最大手と言われている。もしもしはニュアンス社と組み、音声認識技術をコールセンターで使うべく開発を進めている。
こうした取り組みの背景として、テレマ事業者が簡単な問い合わせを電話で受け付ける際の単価が低く、収益にならないという側面がある。通販の場合であれば、ユーザーがカタログを見て「この番号の商品を2個ください」というような電話応対業務は収益になりにくく、テレマ事業者にとって自動化したい部分。
「我々としてはカタログの番号を聞いて注文を受けるだけであれば、そこに人間を配置するのは(コストの面で)しんどい。全部とは言わないが、そのうちの半分でも自動でできれば、クライアントにとってもメリットになる」と向川氏。応対品質が求められる収益性の高い業務はオペレーターが電話で対応し、儲けになりにくい簡単な作業は自動化するのが理想像だ。
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もしもしホットラインは今年の10月1日付で社名を「りらいあコミュニケーションズ」に変更する。"もしもしホットライン"という電話のイメージが強い社名を変え、電話以外のBPOやマルチチャネルでノンボイスのサービスを積極的に取り組んでいくという方針を示している。
これに呼応するように、向川氏も「世の中の流れとしてコールは減っていく。そこにしがみついてもいけない。別のところで収益をあげていく」と述べる。
現在、音声認識技術を使って、新規顧客に名前と住所を言ってもらい、そこから受注しようという取り組みを取引先に対して提案している。こうしたやり方は米国では多くの事例があるということだが、日本ではまだこれから。通販企業などと共同で実際の運用を目指している。