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敏感肌向けブランド2社の戦略・ディセンシア編

2010年 3月25日 18:14

3kata.JPG 女性の社会進出に伴い、肌に感じる外的刺激やストレスが増加する中、自称"敏感肌"の女性は七割に達し、敏感肌向けスキンケアの市場は「約800億円に上る」(業界関係者)とされる。敏感肌向けスキンケアが注目される中、市場には医薬品に近いイメージで訴求する商品とは別に、化粧品のイメージを重視する"コスメ系"事業者も存在する。その"コスメ系"と目されるディセンシアとアユーラの二社が転換期を迎えている。取り組みの現状を追った。

 まず、注目されるのがポーラ・オルビスホールディングス(HD)傘下の子会社であるディセンシア(本社・東京都品川区、小林琢磨社長)だ。

 HDの社内ベンチャー制度の1号案件として2007年から事業展開する同社は今年2月、2代目社長に小林氏(写真)が就任した。主力の保湿クリームに採用する特許技術を開発した初代社長は「研究畑」の出身。1方の小林氏は、02年のポーラ入社以降、1貫して「マーケティング畑」を歩んでおり、「創業者の理念を継承しつつ、シェア獲得に挑む」(小林社長)と意気込む。

 創業から2年、これまでのディセンシアはブランド認知の浸透に力を注いできた。これには創業時の経緯も関係している。

 アトピー研究の過程で得た特許技術を背景に"製品ありき"でブランドを立ち上げた同社は、グループの2本柱に成長した「ポーラ」「オルビス」の知名度や信用力、リストを活用することなく、これまでブランドを育成してきた。「2社が持つイメージが影響すること」(同)を懸念したためだ。このため創業時、わずか2アイテムをラインアップした時点で銀座に店舗を出店。ブランド認知を高めてきた。これには、敏感肌向けブランドにとって対面販売によるカウンセリングが重要であることも関係している。一方で媒体戦略でもブランド認知に重点を置く。

 女性誌への出稿はタイアップ広告が中心。「順広告を出稿して特許技術をPRしても読んでもらえない」(同)ためだ。著名人の信用力でブランドの知名度を補うことで読者の興味を引き、複雑な特許技術の説明に目を向けてもらう。これにネットのSEO対策やリスティング広告を組み合わせることでサイトに集客。新規客を獲得してきた。

 だが、シェア獲得に向け、課題を残す面もある。「複雑な特許技術」の説明だ。従来、"乾燥性敏感肌"をキーワードにコアターゲットとなる層へ訴求してきた反面、商品訴求がおろそかになっていた面があったという。

 これを昨年末頃から改善。特許技術を"バリア膜"というキーワードに置き換え、商品訴求を始めたところ新規獲得も好調に推移し始めたという。

 前期(09年12月期)売上高は前々期比2倍増で着地。「敏感肌の方にもコスメを使う楽しさを伝えたい」と語る小林社長は、"コスメ系"にこだわり、シェア獲得という次なるステップに挑む。(つづく)
 女性の社会進出に伴い、肌に感じる外的刺激やストレスが増加する中、自称"敏感肌"の女性は七割に達し、敏感肌向けスキンケアの市場は「約800億円に上る」(業界関係者)とされる。敏感肌向けスキンケアが注目される中、市場には医薬品に近いイメージで訴求する商品とは別に、化粧品のイメージを重視する"コスメ系"事業者も存在する。その"コスメ系"と目されるディセンシアとアユーラの二社が転換期を迎えている。取り組みの現状を追った。

 まず、注目されるのがポーラ・オルビスホールディングス(HD)傘下の子会社であるディセンシア(本社・東京都品川区、小林琢磨社長)だ。

 HDの社内ベンチャー制度の1号案件として2007年から事業展開する同社は今年2月、2代目社長に小林氏が就任した。主力の保湿クリームに採用する特許技術を開発した初代社長は「研究畑」の出身。1方の小林氏は、02年のポーラ入社以降、1貫して「マーケティング畑」を歩んでおり、「創業者の理念を継承しつつ、シェア獲得に挑む」(小林社長)と意気込む。

 創業から2年、これまでのディセンシアはブランド認知の浸透に力を注いできた。これには創業時の経緯も関係している。

 アトピー研究の過程で得た特許技術を背景に"製品ありき"でブランドを立ち上げた同社は、グループの2本柱に成長した「ポーラ」「オルビス」の知名度や信用力、リストを活用することなく、これまでブランドを育成してきた。「2社が持つイメージが影響すること」(同)を懸念したためだ。このため創業時、わずか2アイテムをラインアップした時点で銀座に店舗を出店。ブランド認知を高めてきた。これには、敏感肌向けブランドにとって対面販売によるカウンセリングが重要であることも関係している。一方で媒体戦略でもブランド認知に重点を置く。

 女性誌への出稿はタイアップ広告が中心。「順広告を出稿して特許技術をPRしても読んでもらえない」(同)ためだ。著名人の信用力でブランドの知名度を補うことで読者の興味を引き、複雑な特許技術の説明に目を向けてもらう。これにネットのSEO対策やリスティング広告を組み合わせることでサイトに集客。新規客を獲得してきた。

 だが、シェア獲得に向け、課題を残す面もある。「複雑な特許技術」の説明だ。従来、"乾燥性敏感肌"をキーワードにコアターゲットとなる層へ訴求してきた反面、商品訴求がおろそかになっていた面があったという。

 これを昨年末頃から改善。特許技術を"バリア膜"というキーワードに置き換え、商品訴求を始めたところ新規獲得も好調に推移し始めたという。

 前期(09年12月期)売上高は前々期比2倍増で着地。「敏感肌の方にもコスメを使う楽しさを伝えたい」と語る小林社長は、"コスメ系"にこだわり、シェア獲得という次なるステップに挑む。(つづく)

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