「機能性表示食品」の第一弾商品が出そろった。消費者庁は4月17日、7社8商品の届出を受理。機能性表示では、トクホに例のない「肌」訴求の商品が誕生した。一方、「目の疲れ」という個人の"主観的な指標"を使い、機能を評価する企業もある。9月に発売を予定するリコムを除き、すべての会社が6月中の発売を予定している。
「肌」など、特保にない部位表示も
これまでの届出件数は112件(4月16日時点)。このうち8件は企業自ら届出を取り下げている。まず、機能性評価をみていく。
評価は「製品の臨床試験」か「最終製品、成分のシステマティックレビュー(SR)」の2択がある。前者は3件、後者は5件。トクホでは許可されていない新たな"部位表示"も生まれた。
機能性表示できる範囲は、(1)血圧や血糖値など「容易に測定可能な体調の指標の維持・改善」、(2)目や関節の健康維持など「身体の生理機能、組織機能の良好な維持・改善」、(3)疲れやストレスなど「身体の状態を本人が自覚でき、一時的な体調の変化の改善」――の3つ。8商品の内訳は、(1)がライオンやキリンビバレッジ、麒麟麦酒、ファンケル(健脂サポート)、リコムの5件、(2)がキユーピーとアサヒフードアンドヘルスケアの2件、(3)がファンケル(えんきん)の1件だ。身体の部位も言及できるが、トクホではこれまで「歯」「骨」「おなか」しか許可実績がなかった。
今回、キユーピーとアサヒフードアンドヘルスケアは、ともにキユーピーが原料供給する「ヒアルロン酸Na」を機能性関与成分に評価。「肌」に言及している。
トクホでは、昨夏に資生堂が「肌」訴求の「素肌ウォーター」(関与成分・グルコシルセラミド)で安全性審査をクリアしたが、いまだ許可には至っていない。これを待たず、新たな部位への訴求が誕生したことになる。
ファンケルの「えんきん」は"個人が感じる主観的指標"で評価した点が新しい。評価は日常的に"目の疲れ"を感じている中高年を対象に実施。手元のピント調節機能に加え、目の疲労に起因する肩や首筋のこりも自覚症状で評価した。複数の機能性関与成分で検証した商品も初めて。これまで「クッキリした毎日を」と表示していた包装は「手元のピント調節力に」に変わる。
特保の許可実績で迅速に商品化
トクホで実績のある成分を使って安全性、機能性を評価したのは、キリンビバレッジと麒麟麦酒、ファンケル。いずれもSRによる評価だ。
キリンビバレッジの「食事の生茶」、麒麟麦酒の「パーフェクトフリー」は、ともに「難消化性デキストリン」が機能性関与成分。2つともトクホで実績のある中性脂肪、血糖値で届出を行い、「脂肪の吸収を抑える、糖の吸収をおだやかにする」といった表示を行う。
加えて、「食事の生茶」は、「整腸作用」でも届出。これも難消化デキストリンのトクホで認められている表示だ。トクホでもこれまで3機能で取得した例はないとみられ、最近、売られているダブルトクホを超える"トリプルトクホ"並みの訴求ができる。
ノンアルコール飲料の「パーフェクトフリー」も2機能を表示。トクホではノンアルコール飲料を巡り、消費者委員会と消費者庁でひと悶着の末、花王とサッポロビールが取得した。条件付きで許可したが、「パーフェクトフリー」はこうした審査を経ずに表示できる。
ファンケルが「健脂サポート」の機能性関与成分としている「モノグルコシルヘスペリジン」もトクホで実績のある成分になる。
原料メーカーも積極的に届出
ダイエット関連で特に注目されるのは、ライオンとリコム。ともに最終製品の臨床試験で検証しているが、その手法を比べると、ライオンは「BMI25以上で腹部肥満傾向の人」を対象にBMIと腹部内臓脂肪断面積の変化で評価。リコムは、「BMI25以上で体重が95キログラム以内の人」を対象に、体重、BMI、内臓脂肪面積等で評価している。今後、ダイエット関連の機能を評価する参考になりそうだ。
原料メーカーとしての側面を持つのは、キユーピーとリコムの2社。リコムは、「独自に規格化した原料で、今後、OEM供給にも対応していく」とする。(つづく)