通販支援のファインドスターのグループ会社でリピート通販向けデジタルマーケティングを行うワンスターでは、ランディングページ(LP)の最適化サービスを強化している。訪問するユーザーの状況に合わせてLPの内容を出し分けるというもので、一定の成果も出ているようだ。ワンスター・システムソリューション局・局長の櫻井豪氏にLP最適化施策について聞いた。
──現在、注力していることは。
「今期はユーザーのステータスに応じたLPの最適化サービスを強化している。単一商材におけるLPの重要性はすでに認知され、改善が行われている。さらなる向上のためには、訪問者の属性によって別のLPを表示させることが重要であり、その中で最も効果のある『自社サイトの訪問履歴に合わせた最適化』を現在強化している。例えば、一度広告からLPに遷移してもそこから離脱するユーザーが多く、この離脱したユーザーの何割かは、その後別のメディアで再度広告を見てLPに遷移している。この時、同じLPに誘導されてしまい、『前に見たLPだな』と離脱してしまう。そこで、ユーザーの訪問回数に応じてLPを出し分けるという仕組みだ」
──具体的には。
「大きく、トライアル購入者向けの施策と、トライアル未購入者向けの施策がある。まず前者の施策だが、実は商品名検索(指名検索)の広告クリックのうち1~2割は、すでに商品を購入している既存顧客によるクリックだった。つまり、既存顧客に対してすでに購入したトライアル商品を提示しているため、無駄なクリックが発生している」
「そこでトライアルを購入している人が商品名で検索して『トライアルのLP』に来てしまった場合に、自動的に『引き上げ用のLP(既存顧客向け用のLP)』に遷移させる施策を行っている」
──LPではなく、ECサイトに訪問した際は。
「トライアル購入者が、本店のECサイトのトップページに来た場合、通常、トライアル未購入者であればECサイトのトップが表示される。それがトライアル購入者が来た際には、画面の背景を暗くしてその上に定期への誘導を促すバナーを表示させる。バナーをクリックすると引き上げ用のLPに遷移し、定期のコンバージョンにつなげるという流れになる」
──取り組みの成果は。
「健康食品の通販会社で、トライアルをすでに購入している顧客に対してリスティング広告経由のLPを最適化し、定期のLPに自動的に遷移する取り組みを実施したところ、実施前に比べて引き上げ率は6ポイント高くなった」
──トライアル未購入者への施策は。
「未購入者がLPに再訪した際に、初回と2回目以降の訪問時で表示するLPを出し分けるという施策を実施している。一度ユーザーを離脱させてしまったLPを再度表示させず、新しいLPを表示することでユーザーの離脱を防ぎCPAの改善につなげる。例えば初回に動画を使ったLPを見せ、それで離脱してしまったユーザーには別の静止画LPを見せるという具合だ。このシナリオは無限に複雑に組める。今行っているのは既存のLPの中から反応の良いものを順番に使っている」
──施策の実績は。
「化粧品の通販会社で実施した取り組みでは、最初に潜在層向けのLPを見て離脱したユーザーが再度同じ潜在層向けのLPを訪れた時に、このユーザーに対して自動的に顕在層向けのLPを見せるということを行った。結果、コンバージョンレートは実施前に比べて実施後は1・4倍に向上した。新しくLPを作ったわけではなく、すでにあるものの出し方を変えただけだ」
──取り組み件数は。
「現在はまだ社数は少ないが、4社の通販企業向けにLPの最適化サービスを提供している。一定の成果が出ており、今後さらに拡販を進めていく。重要なことは、CPAの高騰が激しくなる中で『より細かく、より細かく』クリエイティブを最適化する必要があり、そこを突き詰めていくということ。その一環が『訪問回数別のLPの最適化サービス』であり、今後も様々な形でクリエイティブの最適化を突き詰め、クライアントの目標達成に貢献していきたい」