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厚生労働省、臨床研究に法規制

2014年11月13日 17:44

厚生労働省が、学術目的で行われている臨床研究に法規制を導入する。年内に報告書を取りまとめ、法制化に向けた準備を進める。食品の新たな機能性表示制度(新制度)でも、企業が自ら製品の臨床研究を行って機能性を評価する選択肢があり、参考にする必要がありそう。健康食品は広告で効能効果をうたったと判断されると「未承認医薬品」とみなされる。その前提となる臨床研究に不正があれば罰則が科される可能性もある。

これまで新薬や医療機器は、承認に必要な臨床研究が薬事法で規制されていた。一方、学術目的の臨床研究は、国の倫理指針があるだけで、法的規制はなかった。新たに規制対象となるのは、未承認の医薬品や医療機器に関する臨床研究と、広告に用いることを前提とした臨床研究。後者は、薬の承認を得ていたノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」が広告に使う目的で行った臨床研究で不正があったことから加えた。

 研究に不正があった場合、研究者や研究責任者、研究機関の長に対して罰則が科される。試験機関に依頼した企業は対象にならないが、企業の研究者が研究に関わっていた場合は対象になる。

 罰則は、直罰規定にしない。行政指導や改善命令に従わない場合、罰則を適用する。「直罰規定でない場合、罰金が一般的」(厚労省)という。

 厚労省では今後、薬事法改正か新法の制定かを判断する。執行の主体も広告監視を担う「監視指導・麻薬対策課(医薬食品局)」、立案を担当した「研究開発振興課(医政局)」のどちらが担うかを今後決める。11月26日に開催する検討会で合意を得た上で報告書をまとめ、法制化に入る。

 新制度との関わりに消費者庁は「(臨床研究の指針などは)研究者にとって常識的な部分なので、それをあえて(新制度の)ガイドラインで触れるかは分からない。ただ、記載がなくても臨床研究のベースになるので参考となるもの」とする。

 健食がその範疇で広告を行えば問題ないが、「未承認医薬品」とみなされた場合は規制がかかることになる。健食は効果をうたえば未承認医薬品とみなされ、「医薬品の無許可販売(薬事法第24条)」や「承認前医薬品の広告の禁止(同法第68条)」で規制されてきた。例えば、ガンの治療目的で健食の研究を行い、不正に操作した研究成果などを基に効果をうたった場合、従来の違反行為に加え、臨床研究の不正に対する罰金も科される可能性がある。

 法規制は、「ディオバン」の研究不正操作問題を受け、厚労省に「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を設置して検討。今月6日の会合で骨子案を公表した。

 新薬の承認では臨床研究での倫理性を担保する「倫理審査委員会」の設置が義務づけられているが、学術目的の研究は任意となっている。また、倫理委の役割も従来は倫理的妥当性の判断のみとなっている。骨子案では、研究デザインや統計解析の妥当性も審査するよう、倫理委の役割を明確にして質の確保を図ることなどを求めている。

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