ベルーナの2014年3月期連結業績は、売上高が前期比6・4%増の1254億1200万円、営業利益は同10・1%増の77億9800万円だった。M&Aなどもあり増収となったものの、主力の総合通販事業が不振で、昨年公表した短期経営計画の目標を下回った。今期も総合通販事業は減収を見込んでいるが、どう立て直していくのか。また、大幅な拡大を見込む店舗事業の進捗状況は。今後の戦略について、安野清社長に聞いた。(聞き手は本紙記者・川西智之)
総合通販、再成長目指す――昨年度を振り返って。
「目標に達せず、業績が低迷した。昨年夏頃には物流関連で混乱があった。SKUを増やしすぎたのが要因で、収益を圧迫した。もう一つは単価の下落。傾向としてはこの10年間で30~40%ほど出荷単価が落ちている。『前年対比』の数字だけみていると勘違いしがちだが、長期的にみると業績に大きな影響を与えている」
「とにかく、総合通販という事業モデルが儲からなくなってきているのは確かだろう。長期的に単価が下がっているという傾向は、当社だけではなく、競合他社も同じではないか。ネット販売の総売上高に占める比率は上がっても儲かっていない企業がほとんどだろうし、ユニクロやしまむらといったファストファッションに価格面で引っ張られているという面もある。利益を上げるためにどうしたらいいかを考えていきたい」――収益回復策は。
「サイズや色展開を絞ることで在庫を減らし、実質的な原価率を低減していく。要は在庫のロスを減らすということだ。また、『中身のない売り上げはやめよう』ということで、例えば物流費用がかさんで利益の出ない大型家具などは扱わない方向だ。出荷単価に関しては、2月から上げるための取り組みを実施しており、現在は前年同期比で3~6%程度アップしている。低価格帯商品の比重を下げており、商品1点あたりの単価も上がっている。物流費用が増加しているので、単価を上げるための取り組みは必須となる」
「特にこの5年ほどは、稼働客数を増やすために単価を下げてきたのだが、やりすぎた感もある。今後はもっとバランスを良くしてきたい。収益を上げなければ意味がないし、単価が下がるばかりでは疲弊する一方だ」――購入点数を増やしたり、リピート率を上げたりしていくための取り組みは。
「良い商品を提供していくしかないだろう。そのためにもメーカーとの連携を密にし、品質を上げていきたい。ポイント制度を導入するといったことは考えていない。顧客リストの活用も重要だ。ダイレクトメールなどを使って離反した顧客を取り戻し、既存顧客の年間購入金額を増やしていく」――単価はどの程度上がると想定しているか。
「できれば二桁以上は上げていきたいが、足元は3~6%程度の増加なので、恐らくその範囲ではないか。単価は5年連続で下がっていたので、流れは変わったと思う。とはいえ、売り上げも重要なので、数字をにらみながら、ということになる」――総合通販事業の売上高は前期比3・4%減の753億8800万円で、短期経営計画で公表していた目標値を大きく下回った。
「今期も減少する見込みだが、売り上げが減ったからといって焦らず、再度成長するための踊り場としたい。中身の改善が必要だ」――新規顧客獲得数は、同23・0%減の71万6000人と大きく減った。原因は。
「無理をせず、リストの収集を抑制気味にした。特に、ネットでの露出を抑えた。以前はかなりアクセルを踏んでいたのだが、ネット経由の顧客は収益にはなかなか貢献しないからだ。紙媒体については、ミセス向けは変わりないが、若年層向けは抑えている」(つづく)
総合通販、再成長目指す
――昨年度を振り返って。
「目標に達せず、業績が低迷した。昨年夏頃には物流関連で混乱があった。SKUを増やしすぎたのが要因で、収益を圧迫した。もう一つは単価の下落。傾向としてはこの10年間で30~40%ほど出荷単価が落ちている。『前年対比』の数字だけみていると勘違いしがちだが、長期的にみると業績に大きな影響を与えている」
「とにかく、総合通販という事業モデルが儲からなくなってきているのは確かだろう。長期的に単価が下がっているという傾向は、当社だけではなく、競合他社も同じではないか。ネット販売の総売上高に占める比率は上がっても儲かっていない企業がほとんどだろうし、ユニクロやしまむらといったファストファッションに価格面で引っ張られているという面もある。利益を上げるためにどうしたらいいかを考えていきたい」
――収益回復策は。
「サイズや色展開を絞ることで在庫を減らし、実質的な原価率を低減していく。要は在庫のロスを減らすということだ。また、『中身のない売り上げはやめよう』ということで、例えば物流費用がかさんで利益の出ない大型家具などは扱わない方向だ。出荷単価に関しては、2月から上げるための取り組みを実施しており、現在は前年同期比で3~6%程度アップしている。低価格帯商品の比重を下げており、商品1点あたりの単価も上がっている。物流費用が増加しているので、単価を上げるための取り組みは必須となる」
「特にこの5年ほどは、稼働客数を増やすために単価を下げてきたのだが、やりすぎた感もある。今後はもっとバランスを良くしてきたい。収益を上げなければ意味がないし、単価が下がるばかりでは疲弊する一方だ」
――購入点数を増やしたり、リピート率を上げたりしていくための取り組みは。
「良い商品を提供していくしかないだろう。そのためにもメーカーとの連携を密にし、品質を上げていきたい。ポイント制度を導入するといったことは考えていない。顧客リストの活用も重要だ。ダイレクトメールなどを使って離反した顧客を取り戻し、既存顧客の年間購入金額を増やしていく」
――単価はどの程度上がると想定しているか。
「できれば二桁以上は上げていきたいが、足元は3~6%程度の増加なので、恐らくその範囲ではないか。単価は5年連続で下がっていたので、流れは変わったと思う。とはいえ、売り上げも重要なので、数字をにらみながら、ということになる」
――総合通販事業の売上高は前期比3・4%減の753億8800万円で、短期経営計画で公表していた目標値を大きく下回った。
「今期も減少する見込みだが、売り上げが減ったからといって焦らず、再度成長するための踊り場としたい。中身の改善が必要だ」
――新規顧客獲得数は、同23・0%減の71万6000人と大きく減った。原因は。
「無理をせず、リストの収集を抑制気味にした。特に、ネットでの露出を抑えた。以前はかなりアクセルを踏んでいたのだが、ネット経由の顧客は収益にはなかなか貢献しないからだ。紙媒体については、ミセス向けは変わりないが、若年層向けは抑えている」
(つづく)