スマートフォン向け無料通信アプリ「LINE(ライン)」を提供するLINEは2月26日、企業向けの新サービスとして「LINEビジネスコネクト」を開始すると発表した。LINEで公式アカウントを持つ企業は従来まで一斉かつ同一の内容の情報発信しかできなかったが、LINEがこのたび開放するAPIと企業の顧客情報などを連携させることで、例えば顧客の購買履歴やし好に合わせて最適化したメッセージを送ることが可能になるという。また、商品注文ツールなどとしても活用できるもようで、通販実施企業にとっても注目されそうだ。
「LINEビジネスコネクト」は企業がLINE上に自社アカウントを開設できる「LINE公式アカウント」の各種機能のAPIを開放し、より柔軟なメッセージ配信などが可能となるサービス。同社によると、LINE公式アカウントはサービス開始から2年足らずで100社以上が利用。重複も含め累計3億5000万人以上のユーザーがLINE公式アカウントで企業と「友だち」としてつながっている。同社執行役員の田端信太郎氏は「LINEユーザーにとって企業からメッセージを受け取ることは非常になじみ深い行為になりつつある」と分析する。
ただ、これまではフォローしている「友だち」全員にすべて同じ内容のメッセージを一斉に送ることしかできなかったが、今回、APIを開放することで、LINE側と企業が持っている顧客データベースを接続。企業の顧客データとLINEのアカウントを連携させ、特定のユーザーに最適化したメッセージ配信が可能になるという。
また、企業の業務サービスへの利用も想定され、例えば、宅配ピザ屋があらかじめ人気のピザを「スタンプ(※絵文字の一種)」にしておき、利用者がピザ屋の公式アカウントに当該スタンプを送信するだけでピザの注文ができるなど「LINEならではのショッピング体験が可能になるのでは」(田端執行役員)という。このほか、外出先からの家電の操作や位置情報を活用したホテル・旅館の宿泊予約、通信教育への活用、宅配便の再配達などへの活用も想定されるようで、通販事業者にとっても活用は考えられそうだ。
「LINEビジネスコネクト」の利用料金については、月額固定費と、コミュニケーション量に応じた従量課金の両方で検討しているという。
今回の機能は通販実施企業にとっても利用価値は高くなりそう。実際、LINE公式アカウントの運用を行うネット販売の担当者は「一番欲しかった機能。期待感はかなり高い」とした上で、「すでにCRMの仕組みを構築している企業であれば、新機能で結果を出しやすいだろう」と指摘した。
スタンプと電話も なお、「LINEビジネスコネクト」のほか、LINEユーザーであれば誰でもスタンプを制作して販売することができるプラットフォーム「LINEクリエイターズマーケット」と、LINEから国内外の固定電話やスマホなどに低料金で通話ができるサービス「LINE電話」をそれぞれ開始すると発表した。
「LINEクリエイターズマーケット」は4月頃に始める予定。これまではLINEのオリジナルキャラクターや有名キャラクターのスタンプ、あるいは企業によるスポンサードスタンプに限ってきたが、その枠を広げる。「LINEクリエイターズマーケット」への登録や申請は無料。審査を経て、40種類のスタンプを1セット100円で販売し、売り上げの50%を制作者に配分する仕組み。対象国は全世界とし、様々な国のユーザーがスタンプを制作することで、多様なニーズに対応していく。通販事業者もLINE上のマーケティングの一環として活用できる可能性もありそうだ。
また「LINE電話」は3月から日本や米国など世界6カ国で提供を開始。初期費用や月額基本料金などは発生せず、通話料金のみで利用できる。固定電話への通話は1分2円から、スマホやフィーチャーフォンは1分6・5円から提供する。初期設定などは不要でLINEがインストールされていればすぐに使用が可能という。
田端執行役員に聞く「ビジネスコネクトのEC活用は?」 通販事業者を含む企業が「LINE」を介して、様々な情報発信やサービスを行えるようになるという「LINEビジネスコネクト」。同サービスの責任者である同社執行役員の田端信太郎広告事業グループ長(写真)に「LINEビジネスコネクト」の通販事業者にとっての使い方やメリットなどについて聞いた。
◇
――「LINEビジネスコネクト」の利用イメージとして、"スタンプ"を活用した注文や位置情報を活用したホテルの宿泊予約、通信教育への活用、宅配便の再配達依頼など様々な例を挙げていたが、通販事業者が活用した場合の利用イメージとは。
「通販事業者の活用が現実的には『ど真ん中』の利用の仕方のように思う。色々と使い方は考えられると思うが、一番、シンプルに考えれば現在、eメールで行われているような顧客の購買履歴に応じ最適化されたメッセージを送るというものだろう。
これまでの『公式アカウント』では同じ内容のメッセージをすべての人に送ることしかできなかったわけだが、『LINEビジネスコネクト』を活用することで、それぞれ内容が異なるレコメンデーションメールなども送れるようになるはずだ。
これにより、eメールで行うそれよりもコンバージョン率なり、反応率が上がることになると思う」――まず一部の企業と連携して「LINEビジネスコネクト」を活用したサービスのケーススタディを作っているとのことだが、その中に通販事業者はいるか。
「話をさせて頂いているところもいくつかある」――実際に「LINEビジネスコネクト」を活用したサービスを行う企業が出てくる時期は。
「我々が公開するAPIと連携させるため、導入企業はシステム開発を行う必要があるため、我々からは何とも言えないが、恐らく春から夏にかけて出ているはず。その中にECの事例もいくつか出てくると思う」――利用するための料金は。
「月額固定費とコミュニケーション量に比例した従量課金の両方を考えている」――企業が利用しやすい価格帯になるのか。
「具体的な額は言えない。また、絶対額だけ見て高いとも安いとも言えない。実際にどれだけ効果があるのか、通販で言えば、レスポンスがどのくらいあるのかといった実証値が必要だと思う。そのため、スタート段階では実証実験のトライアルとして、まずは固定額の料金の中で活用いただき、そこでのレスポンスなどを見た上で今後の料金について相談させて頂くなど柔軟に考えている」
「LINEビジネスコネクト」は企業がLINE上に自社アカウントを開設できる「LINE公式アカウント」の各種機能のAPIを開放し、より柔軟なメッセージ配信などが可能となるサービス。同社によると、LINE公式アカウントはサービス開始から2年足らずで100社以上が利用。重複も含め累計3億5000万人以上のユーザーがLINE公式アカウントで企業と「友だち」としてつながっている。同社執行役員の田端信太郎氏は「LINEユーザーにとって企業からメッセージを受け取ることは非常になじみ深い行為になりつつある」と分析する。
ただ、これまではフォローしている「友だち」全員にすべて同じ内容のメッセージを一斉に送ることしかできなかったが、今回、APIを開放することで、LINE側と企業が持っている顧客データベースを接続。企業の顧客データとLINEのアカウントを連携させ、特定のユーザーに最適化したメッセージ配信が可能になるという。
また、企業の業務サービスへの利用も想定され、例えば、宅配ピザ屋があらかじめ人気のピザを「スタンプ(※絵文字の一種)」にしておき、利用者がピザ屋の公式アカウントに当該スタンプを送信するだけでピザの注文ができるなど「LINEならではのショッピング体験が可能になるのでは」(田端執行役員)という。このほか、外出先からの家電の操作や位置情報を活用したホテル・旅館の宿泊予約、通信教育への活用、宅配便の再配達などへの活用も想定されるようで、通販事業者にとっても活用は考えられそうだ。
「LINEビジネスコネクト」の利用料金については、月額固定費と、コミュニケーション量に応じた従量課金の両方で検討しているという。
今回の機能は通販実施企業にとっても利用価値は高くなりそう。実際、LINE公式アカウントの運用を行うネット販売の担当者は「一番欲しかった機能。期待感はかなり高い」とした上で、「すでにCRMの仕組みを構築している企業であれば、新機能で結果を出しやすいだろう」と指摘した。
スタンプと電話も
なお、「LINEビジネスコネクト」のほか、LINEユーザーであれば誰でもスタンプを制作して販売することができるプラットフォーム「LINEクリエイターズマーケット」と、LINEから国内外の固定電話やスマホなどに低料金で通話ができるサービス「LINE電話」をそれぞれ開始すると発表した。
「LINEクリエイターズマーケット」は4月頃に始める予定。これまではLINEのオリジナルキャラクターや有名キャラクターのスタンプ、あるいは企業によるスポンサードスタンプに限ってきたが、その枠を広げる。「LINEクリエイターズマーケット」への登録や申請は無料。審査を経て、40種類のスタンプを1セット100円で販売し、売り上げの50%を制作者に配分する仕組み。対象国は全世界とし、様々な国のユーザーがスタンプを制作することで、多様なニーズに対応していく。通販事業者もLINE上のマーケティングの一環として活用できる可能性もありそうだ。
また「LINE電話」は3月から日本や米国など世界6カ国で提供を開始。初期費用や月額基本料金などは発生せず、通話料金のみで利用できる。固定電話への通話は1分2円から、スマホやフィーチャーフォンは1分6・5円から提供する。初期設定などは不要でLINEがインストールされていればすぐに使用が可能という。
田端執行役員に聞く「ビジネスコネクトのEC活用は?」
通販事業者を含む企業が「LINE」を介して、様々な情報発信やサービスを行えるようになるという「LINEビジネスコネクト」。同サービスの責任者である同社執行役員の田端信太郎広告事業グループ長(写真)に「LINEビジネスコネクト」の通販事業者にとっての使い方やメリットなどについて聞いた。
◇
――「LINEビジネスコネクト」の利用イメージとして、"スタンプ"を活用した注文や位置情報を活用したホテルの宿泊予約、通信教育への活用、宅配便の再配達依頼など様々な例を挙げていたが、通販事業者が活用した場合の利用イメージとは。
「通販事業者の活用が現実的には『ど真ん中』の利用の仕方のように思う。色々と使い方は考えられると思うが、一番、シンプルに考えれば現在、eメールで行われているような顧客の購買履歴に応じ最適化されたメッセージを送るというものだろう。
これまでの『公式アカウント』では同じ内容のメッセージをすべての人に送ることしかできなかったわけだが、『LINEビジネスコネクト』を活用することで、それぞれ内容が異なるレコメンデーションメールなども送れるようになるはずだ。
これにより、eメールで行うそれよりもコンバージョン率なり、反応率が上がることになると思う」
――まず一部の企業と連携して「LINEビジネスコネクト」を活用したサービスのケーススタディを作っているとのことだが、その中に通販事業者はいるか。
「話をさせて頂いているところもいくつかある」
――実際に「LINEビジネスコネクト」を活用したサービスを行う企業が出てくる時期は。
「我々が公開するAPIと連携させるため、導入企業はシステム開発を行う必要があるため、我々からは何とも言えないが、恐らく春から夏にかけて出ているはず。その中にECの事例もいくつか出てくると思う」
――利用するための料金は。
「月額固定費とコミュニケーション量に比例した従量課金の両方を考えている」
――企業が利用しやすい価格帯になるのか。
「具体的な額は言えない。また、絶対額だけ見て高いとも安いとも言えない。実際にどれだけ効果があるのか、通販で言えば、レスポンスがどのくらいあるのかといった実証値が必要だと思う。そのため、スタート段階では実証実験のトライアルとして、まずは固定額の料金の中で活用いただき、そこでのレスポンスなどを見た上で今後の料金について相談させて頂くなど柔軟に考えている」