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スクロール・堀田守社長に聞く、不況下で打つ次の一手は?、「SPA通販」構築へ、夏号から商品開発期間半分に

2010年 2月15日 12:33

3 .jpg 昨年10月に社名をムトウから変更したスクロール(本社・浜松市中区)。同時にキャンペーンを展開し、新社名の浸透を図っている。創業者の名前を冠した社名を変えることで、ネット時代に合致したブランドの確立を目指す同社。「カタログを主体とした通販は、ビジネスモデルとして生き残れるかどうかの瀬戸際だ」と語る堀田守社長に、今後の戦略を聞いた。

昨年10月の社名変更にあわせてキャンペーンを展開した。

「通販では『ラブ&サプライズキャンペーン』として、顧客参加型のイベント、セール商品の販売、ブーツのキャンペーン、さらにはレコメンド・レビューなど顧客との双方向機能を取り入れた。また、F1層が中心となる通販に比べて、生協の顧客は『ムトウ』という名前への親しみがあるので、新社名を認知してもらうためのさまざまなキャンペーンを実施した。この半年は社名変更にあわせて、顧客との関係を深めるという取り組みを行ってきたわけだ」    

第3四半期(4―12月)は減収減益に終わったが、減益幅は縮小している。  

 「売り上げが落ちても収益バランスを崩さないような仕組みになってきている。当社はF1層に特化したビジネススタイルだが、競合は同業他社ではなく、実店舗だという意識を持つことが必要ではないか」

ユナイテッドアローズのようなSPA(製造小売業)のほか、ユニクロやH&Mといったファストファッションなど、競合は多い。

 「通販というビジネスモデル自体が実店舗と競合するようになった。価格面もさることながら、顧客との接点を持ち、通販にはないスピード感がある。顧客に還元するためのイベントや、イベントに便乗した商品の販売は店舗では当たり前のことだが、これまで通販にはそういう発想が足りなかったのではないか。店舗はいかに顧客との接点を増やすかを考えて、スピード感を持ってさまざまなアプローチをしている」

 「翻って通販は、3カ月に1回カタログを出したら、あとはぼーっとコンピューターの前で受注を待っているだけ。『今の時代にこんなスタイルで成り立つのか』と現場に問いかけている。こまめに情報を発信し、顧客とのコンタクトの頻度を上げる必要がある。そのスタートが社名変更のキャンペーンだ」

具体的には今後どういった取り組みを行うのか。  

 「ネット受注比率が上がっているのが一つの武器。シーズン単位で全体を包含したキャンペーンを行うほか、『ラプティ』などのブランドサイトでは、イベントという位置づけでサイトの中で集客を行い、顧客へのアプローチの頻度を上げていきたい」  

 商品開発ではどのような取り組みをするのか。  

 「これまではカタログ発行の10カ月前から商品を仕込んできたわけだが、夏号からは企画から商品化、カタログの売り場づくりまでの期間を半分にしたい。また、カタログはある程度の部数を発行しないとアクティブ顧客が減るという"常識"にも挑戦しなければならない。利益が取れる見込みのない販促費を使う必要はないし、あらかじめページ数を決めて、売れない商品でも載せてカタログを"埋める"という発想もおかしい」

 「現在のネット受注比率は七三%。F1層が中心のため、ライバルはSPAショップだ。あらゆる世代をカバーする総合通販とは違う、独自のビジネスモデル『SPA通販』を構築したい」
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