アウトドア衣料品などを販売するエル・エル・ビーンインターナショナル日本支社(LLBJ=所在地・東京都武蔵野市、ビル・ポンド代表)は8月以降に発刊する秋冬の通販カタログなどから、戦略商品となる高機能ダウンジャケットや、売れ行き好調な若年向けブランド「L.L.Beanシグネチャー」で上質な皮素材を使ったジャケットなど新商品を投入する。また、伊勢丹やビームスなど日本企業とコラボした商品展開など新たな試みも進める。同社によると前期は増収増益となるなど好調に推移したようだ。今期も新商品の投入などで業績拡大を維持したい考えだ。
LLBJでは今秋冬の新商品を8~10月にかけて順次、通販サイトや通販カタログ、店頭で投入していく予定。今秋冬の注目商品は、主力ブランド「L.L.Bean」では「ダウンテック」を使ったダウンジャケットで「メンズ&ウィメンズ・ウルトラライト850・ダウンジャケット」(価格・2万2000円)や「ウィメンズ・ウルトラライト850・ダウン・ロング・コート」(同3万2000円=写真㊤)など。ダウンそのものに独自の撥水加工を施した「850フィル・パワー・ダウン」を中綿に使用して、吸収する水分量を減らしつつ、逆に速乾性を高め、濡れた状態でも体を温かく保つという。「昨年から一部の商品は販売していたが、売れ行きが好調なことを受けて、今秋冬からはラインを一気に増やした」(同社)という。
30代など若年層の取り込みを狙い、ファッション性を高めたライン「L.L.Beanシグネチャー」での注目商品は上質なイタリアンレザーを使用し、同ラインでは高価格帯ながら「シンプルなデザインでパンツにもワンピースにもマッチする」(同)という「イタリアン・スウエード・ジャケット」(価格・3万8000円=写真㊥の右)や、メリノウールとコットンの混合素材で「ウールのチクチクさがなく肌触りもよい」(同社)というメリノコットンを使用した商品で、昨年から人気だが、従来までの無地に加えて、今秋冬から新たに「フェアアイル柄」を入れた「メリノ/コットン・ドレス」(価格・1万7000円=写真㊦)などが一定の売れ行きが見込めると見ているようだ。
「『シグネチャー』はローンチしてから約3年が立ち、デザイン面などを若干見直した。少しトレンドよりとなっていたものを、アメリカンクラシックなベーシックなスタイルに今秋冬から若干、戻した」(同社)としており、30代など既存顧客層よりも若い層を獲得するという位置づけに変更はないが、主力ブランドとの親和性をより考えたデザインとしているようだ。
なお、同社では今年から新たな試みとして、日本企業とコラボレーションした商品開発を積極化している。今春から伊勢丹新宿店とコラボしてLLビーンの代表的な商品の1つである「トートバッグ」の開発を実施。すでに黒いトートバッグ「ブラック・オン・ブラック・トート・バッグ」を同店限定、数量限定で販売した。7月3日からはその第2弾として紺色のトートバック「ネイビー・オン・ネイビー・トート・バッグ」の販売を開始した。
11月にはセレクトショップを展開するビームスと組んで、同じくLLビーンの代表的な商品である「ビーン・ブーツ」の別注モデルとして、アッパー部分をスムースレザーに変更して履き口をなめらかにしたブーツを赤、紺、緑の3色展開で、ビームス店舗で販売するもの。これら企業とのコラボ商品はLLビーンでは直接販売は行わないが、新規顧客の開拓につながると見ており、積極的に展開していく考えのようだ。
詳細な数字は明らかにしていないが、同社によると、前期(2013年2月)の業績は「日本支社が始まって以来のよい年」(ポンド代表)で店舗、通販の両チャネルともに増収で推移し、全体業績も増収増益で推移した模様。当該年は創業100周年の節目の年で、各種キャンペーンや新商品投入を積極化したほか、日本人の体形を考慮したサイズ・フィットに改良した商品を多く投入したことなども奏功したようだ。また、店舗では東京・日比谷に新店をオープンさせたり、「シグネチャー」が店舗、通販で売り上げを伸ばしたという。
今期も「3月からの立ち上がりは悪くなく、売り上げも伸びている。今後も楽観視している」(同)としており、円安の影響を受けながらも第1四半期(3~5月)の業績が好調に推移している模様であることから、通期でも前年を上回って着地させたい狙いのようだ。