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パナソニック  「メーカー通販」の活用促進、ノートPCの重要な販路に

2013年 7月11日 14:49

3-1.jpg 業績不振にあえぐ日本の電機業界。中でも、パナソニックは前期(2013年3月期)、巨額の最終赤字を計上した。こうした中で、同社では「顧客との接点を有する販路」として、直販事業の活用を進めている。

 通販サイトは、子会社のパナソニックコンシューマーマーケティングが運営。「クラブパナソニック マイモール」の中に、ノートパソコンを販売する「My Let's倶楽部」、デジタルカメラを扱う「LUMIX CLUB」、オリジナル商品や消耗品などを販売する「パナセンス」という3つの通販サイトを置いている。

 メーカー通販の最大の弱点は「値引き販売ができないこと」だ。パナソニックの直販では、配送の関係上、薄型テレビや冷蔵庫、洗濯機といった大型商品は扱っていないが、そもそもこうした単価の高い商材は、販売店との関係上安売りが不可能な直販向きではない。そのため、メーカーならではの商品企画で消費者の取り込みを進めている。

 ノートPCではBTO(部品の組み合わせが指定できる注文方式)形式で、直販でしか購入できない商材を展開。注文を受けてから製造するため、部品のロスが少なくて済む、というのはメーカーならではの利点だ。

 PCは低価格化が進む商品だが、直販限定の高付加価値商品を訴求することに成功。単価は20万円を超えているという。量販店ルートなども含めたPCの全販売額のうち、15%は直販となっている。

 また、直販サイトオリジナル商品としては、2009年に公開されたアニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」とのコラボ商品を販売。プロテクターシールや天板が人気を博した。

 その他のジャンルでも、音波振動歯ブラシ「ポケットドルツ」では、デコレーションを施したオリジナル商品を販売、著名人によるデコレーションのデザイン企画も行われるなど、ヒット商品となった。そこで、デコレーションをテレビなどのAV機器に応用して販売したものの、こちらは不発に終わった。ただ、パナソニックコンシューマーマーケティング サイトグループ戦略企画チームの小西茂永チームリーダーは「直販は大量生産するわけではないので、失敗はそこまで痛くない。テストマーケティング的なことができるのも利点だ」と話す。

 さらには、「直販限定商品でも実際に手に取ってみたい」という顧客からの要望に応えた、O2O的な取り組みも実施。バッグのマスターピースとコラボし、ウェブ限定デザインのウエアラブルカメラ(服などに取り付けてハンズフリーで使うカメラ)とコラボバッグを、マスターピースの店舗で展示販売している。

 直販サイトでは、メーカーならではのサービスとして、モニター販売制度を行っている。パナソニックにとっては、応募時に実施するアンケートで「どの色に人気があるか」などが確認できるため、生産計画に反映できるほか、モニター使用後のアンケートで個別機能の評価検証や次期モデルへの消費者の意見反映が可能だ。一方、消費者にしてみると、いち早く商品が使えるというだけではなく、市場価格よりやや安い値段で購入できることが多い、などのメリットもある。

 パナソニックとって、直販サイトの位置付けは難しい。販売店との関係を考えると、デリケートな部分が多いからだ。小西チームリーダーは「お客様に満足していただくことで売り上げや利益に貢献したい」と話す。

 直販サイトの売上高は非公開だが、ノートPCに関しては重要な販路となっているし、販売店とぶつかりにくい消耗品販売には、利益率が高いという利点もある。

 「日本一高いパナソニックショップ」(小西チームリーダー)と自称する直販サイトだが、巨額の赤字を出したパナソニックにとって、販売チャネルの見直しは重要な検討事項であるのは間違いない。値引き販売こそできないが、例えばミキサーとセットでオイシックスの「お試しセット(5000円相当)」を1980円で販売するなど、工夫を重ねることで、サイトの利用者増を目指す。

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