ハースト婦人画報社は、ファッション通販サイト「エル・ショップ」を紹介する２種類の紙媒体を活用し、新客開拓と既存顧客のアクティブ率向上につなげている。

　新客の獲得に向けては、従来から年２回程度、ファッション誌「エル・ジャポン」のブックインブックで通販サイトを紹介しているが、新たに交通広告と組み合わせた媒体配布を行って成果を上げている。

　同社では、今年６月に地下鉄の表参道駅構内で柱巻きの広告を掲出したのと同時にラックを設置。ブックインブックの増し刷りを置いたところ、「エル」の世界観に敏感な女性を中心に注目を集め、１万部弱が消費者の手に渡ったという。

　次回は、「エル・ショップ」の開設３周年を記念してブックインブックも充実。大手セレクトショップとコラボした商品も掲載する。また、１万円以上の買い物で１０００円引きになるクーポンを付け、実売につながりやすいか検証する。

　10月１日からは配布部数を５万部に拡大して展開する。このうち、１万部は前回と同様に地下鉄の駅構内にラックを設置し、柱巻広告で視認性を高める。残りは、一部のセレクトショップ店頭や都内のカフェで配布するほか、「エル・ショップ」の休眠客にも送付する。

　コラボ商品は「エル・ショップ」に加え、セレクトショップ店頭でも取り扱い、「エル」のファン層とセレクトショップの親和性を検証する。

　一方、既存客のアクティブ化促進策では、小冊子「エル・ショップ　エクスプレス」を今年３月にスタートし、雑誌「エル・ジャポン」の定期購読者などに雑誌と同封して届けている。

　ブックインブックは通販サイトで販売中のアイテムを取り上げているが、「エクスプレス」はまだサイトでは扱っていない商品をクローズアップし、ファッション感度が高い「エル」ファンに一足早く新商品を見せることで、購買意欲を刺激する役割を担う。

　８月末に発刊した「エクスプレス」の第２号（画像＝Ａ４判）では誌面展開も創刊号の倍となる８ページ建てとし、試験的に「エル・ショップ」の一部既存客にも送付したところ、送付しなかった層と比べてコンバージョン率で10％以上の差が出たという。

　このため、「紙媒体は既存客とのコミュニケーションツールとして有効」（田能哲コマース本部副本部長）とし、今後もシーズン立ち上がりなどに合わせて定期的に既存客、休眠客に送付して消費喚起を図る。