震災や地デジ化などの逆境を乗り越え、着実な事業展開で前期(2012年3月)も創業以来15期連続で増収を維持、利益面でも前年比で3割超の大幅な増益を確保したジュピターショップチャンネル(JSC)。これまで順調な成長を続けてきたJSCに突如、米投資ファンドが出資を表明し、同社株式の半分を取得する事態となった。果たして今後のJSCはどうなっていくのか。同社の現状と今後についてJSCの篠原淳史社長に聞いた。(聞き手は本紙編集長・鹿野利幸)
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2012年3月期の業績は。 「売上高が前年比8・4%増の1208億7900万円、純利益は同31・7%増の120億7300万円と増収増益だった。期初には震災の影響はあったが、5月の大型連休までには回復した。特に後半は開局記念月間として毎年11月に行う大型キャンペーンや、これに次ぐ規模の3月のキャンペーンでも良い結果を残こせた。また、視聴者減が懸念されていた昨年7月の地上波アナログ放送の停止の影響もさほどなく、順調に業績を伸ばすことができた」
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増収増益の要因は。 「基本である商品力、番組力、オペレーション力を高める努力を続けてきたことに尽きる。当社の顧客は商品にバリュー感があれば絶対額は高くても購入頂ける方も多い。我々としてはこうしたバリューある商品やそれをお伝えできる番組の強化をこの4、5年間に渡って積み重ねてきた。例えば、商品で言えば、インポートのアパレルやファッション雑貨など。番組で言えば、こうした商材を紹介する『ワールドギャラリー』や『大人ガールズプロジェクト』などだ。この結果、現状、小売市場が厳しい中でどちらかというと価格訴求に走りがちだが、そうすることなく、しっかりと客数と客単価(1回の注文額が前年より百~数百円アップ)を上げることができ、前期の増収につながったのだと思う。前期は利益面も大きく伸びたが、これも積み重ねで毎年、経費削減や業務の効率化に取り組んできてきた結果だ。こうした『攻め』と『守り』の両面で成果をあげることができたのが前年度だったと思う」
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今年1月からインフォマーシャルも開始した。売り場の拡大による客数増という意味では今後、重要な施策となりそうだが効果は。 「いくつか商品を入れ替えながら、現在も検証を繰り返しているところだ。無論、本業のライブと2分尺のインフォマーシャルはまったく異なるため、難しさはあるが結果はしっかり残せてはきている。今後も継続して実施していきたい」
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前日、JSCの親会社である住友商事から米投資ファンドのベインキャピタルにJSC株を50%売却するとの発表があった。どうなるのか。 「住友商事が持っていないリソースや知見など、様々なものを持っている新たな株主が来てくれたことは素直に期待したい。ファンドと言うが、ベインは通常のファンドとは異なる動きをする(投資だけでなく経営にも関与する)方々だと思っている。米国や日本などでも様々な小売り企業に投資されており、知見やノウハウなど色々なものを持たれている。具体的な話し合いはまだ始まっていないが、当社にプラスになることは貪欲に求めていこうと思っている(笑)。そこの期待感はすごくある。ただ、現場でやることは何も変わらないし、変えるつもりもない」
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ベインの出資の目的の1つはJSCの海外進出支援だと思うが、具体的なスケジュールは。 「ベインはストラテジックパートナーとなるため、ネット強化などを含め様々なことを一緒にやっていくことになるかと思うが、もちろん、海外進出もその1つだろう。具体的にはまだ決まっていないが年内には(海外進出を)したい」
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進出先はアジア圏の国々との話も出ている。 「我々の『24時間型ライブ放送』というモデルができる国かどうかが大きいと思う。我々の強みはこのモデルありきだ。これが展開できる、つまり安定的なチャンネルが確保できる国ということになる。私は極端な話、それ次第だと思っている。そういった観点からすると中国は厳しいだろうな、という印象を私自身は持っている。逆に東南アジア各国はチャンスがありそうだとは思っている」
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今期の目標は。 「新たに5カ年の新中期経営計画を策定し、今期はそのスタートとなる重要な年だ。これからは先ほど話したアジア展開やネット販売の強化など『次のモデル作り』も行わねばならない。将来に向けたモデル構築は当然、先行投資となるわけで、その分を吸収できるよう、これまで通り、商品力、番組力、オペレーション力の強化と顧客基盤の維持・拡大などを行い、例年並みの伸び率(増収率3~4%)と少しずつでも確実に増収増益を果たしたい。前年は震災があったので単純比較できないが、第1四半期は増収ペースで好調だ。中計スタートの今期にしっかり結果を残して前を向いて加速していきたい」
――2012年3月期の業績は。
「売上高が前年比8・4%増の1208億7900万円、純利益は同31・7%増の120億7300万円と増収増益だった。期初には震災の影響はあったが、5月の大型連休までには回復した。特に後半は開局記念月間として毎年11月に行う大型キャンペーンや、これに次ぐ規模の3月のキャンペーンでも良い結果を残こせた。また、視聴者減が懸念されていた昨年7月の地上波アナログ放送の停止の影響もさほどなく、順調に業績を伸ばすことができた」
――増収増益の要因は。
「基本である商品力、番組力、オペレーション力を高める努力を続けてきたことに尽きる。当社の顧客は商品にバリュー感があれば絶対額は高くても購入頂ける方も多い。我々としてはこうしたバリューある商品やそれをお伝えできる番組の強化をこの4、5年間に渡って積み重ねてきた。例えば、商品で言えば、インポートのアパレルやファッション雑貨など。番組で言えば、こうした商材を紹介する『ワールドギャラリー』や『大人ガールズプロジェクト』などだ。この結果、現状、小売市場が厳しい中でどちらかというと価格訴求に走りがちだが、そうすることなく、しっかりと客数と客単価(1回の注文額が前年より百~数百円アップ)を上げることができ、前期の増収につながったのだと思う。前期は利益面も大きく伸びたが、これも積み重ねで毎年、経費削減や業務の効率化に取り組んできてきた結果だ。こうした『攻め』と『守り』の両面で成果をあげることができたのが前年度だったと思う」
――今年1月からインフォマーシャルも開始した。売り場の拡大による客数増という意味では今後、重要な施策となりそうだが効果は。
「いくつか商品を入れ替えながら、現在も検証を繰り返しているところだ。無論、本業のライブと2分尺のインフォマーシャルはまったく異なるため、難しさはあるが結果はしっかり残せてはきている。今後も継続して実施していきたい」
――前日、JSCの親会社である住友商事から米投資ファンドのベインキャピタルにJSC株を50%売却するとの発表があった。どうなるのか。
「住友商事が持っていないリソースや知見など、様々なものを持っている新たな株主が来てくれたことは素直に期待したい。ファンドと言うが、ベインは通常のファンドとは異なる動きをする(投資だけでなく経営にも関与する)方々だと思っている。米国や日本などでも様々な小売り企業に投資されており、知見やノウハウなど色々なものを持たれている。具体的な話し合いはまだ始まっていないが、当社にプラスになることは貪欲に求めていこうと思っている(笑)。そこの期待感はすごくある。ただ、現場でやることは何も変わらないし、変えるつもりもない」
――ベインの出資の目的の1つはJSCの海外進出支援だと思うが、具体的なスケジュールは。
「ベインはストラテジックパートナーとなるため、ネット強化などを含め様々なことを一緒にやっていくことになるかと思うが、もちろん、海外進出もその1つだろう。具体的にはまだ決まっていないが年内には(海外進出を)したい」
――進出先はアジア圏の国々との話も出ている。
「我々の『24時間型ライブ放送』というモデルができる国かどうかが大きいと思う。我々の強みはこのモデルありきだ。これが展開できる、つまり安定的なチャンネルが確保できる国ということになる。私は極端な話、それ次第だと思っている。そういった観点からすると中国は厳しいだろうな、という印象を私自身は持っている。逆に東南アジア各国はチャンスがありそうだとは思っている」
――今期の目標は。
「新たに5カ年の新中期経営計画を策定し、今期はそのスタートとなる重要な年だ。これからは先ほど話したアジア展開やネット販売の強化など『次のモデル作り』も行わねばならない。将来に向けたモデル構築は当然、先行投資となるわけで、その分を吸収できるよう、これまで通り、商品力、番組力、オペレーション力の強化と顧客基盤の維持・拡大などを行い、例年並みの伸び率(増収率3~4%)と少しずつでも確実に増収増益を果たしたい。前年は震災があったので単純比較できないが、第1四半期は増収ペースで好調だ。中計スタートの今期にしっかり結果を残して前を向いて加速していきたい」